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歴史 騎士が心惹かれた弓の音色
会社に勤めていた時、私はソフトウェア設計の仕事だったが、
大抵の場合、既存のソフトウェアがあって、ソースコードを見て、
前任者の設計意図を探り出すことから始める。
思い出せば、入社したての頃は楽しかった。
前任者の意図がまったく理解できない。
先輩に「なんで、ここは、、、」
質問、質問、質問で新しい世界観が見えてくるのが楽しかった。
メカトロニクスソフトウェアは、
性能の低いマイコンや容量の少ないメモリという制約の中で
いかに目的の機能、目標の性能を作るかに
私なりの「作る楽しみ」があった。
ヴァイオリンの設計を始めた時、
私はやはり、ストラディバリの製作意図を探すことから始めた。
しかし、数年前からテールピースやあご当てといった
パーツのデザインを自分で考えるようになり
設計者の意図が最も強く出るのは「アウトライン」だと気が付いた。
私は、間違えていた。私が見るべきは、
「15、16世紀ごろに、ヴァイオリンのアウトラインを考えた人」
なのではないか。
もっと昔へ行こう。
ヴァイオリンの祖先は弓から始まっていることを、
何かの本で読んだ記憶がある。
なるほど、中世の騎士が馬の尻に引っ掛けておいた弓に、
馬毛が擦れて、
「何か気持ちの良い音がする」
という感動が、人を動かし、楽器を作り出した。
ヴァイオリンの原点としてふさわしい話しだと思う。
![](https://assets.st-note.com/img/1663637103662-TIP6c9ThKh.jpg)
弓から始まり現在を経て、未来に残るヴァイオリンを作るためには、
「騎士が心惹かれた弓の音色」
を作れる仕組みを継承していなければならない。
前振りが長かったが、ようやく本題。
ヴァイオリンの原点が弓であるならば、
ヴァイオリンは弦でボディを内側にしならせる楽器である。
![](https://assets.st-note.com/img/1663648620853-kMI6njjpWp.jpg)
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