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帰れない山:Le otto montagne

イタリア・ベルギー・フランス映画「帰れない山」(原題:Le otto montagne 英題:The eight mountains)を観ました。

*ネタバレ含みます。


はじめに


原作はパオロ・コニェッティの2017年の小説『帰れない山』
イタリア文学の最高峰といわれるストレーガ賞を受賞。

監督・脚本はFelix van GroeningenCharlotte Vandermeersch
二人ともベルギー人。フェリックスの方はティモシー・シャラメの「Beautiful boy」の監督でもある。

山好きなので凄く興味があったんです。作品内でもイタリアン・アルプスの雄大な景色を見せてくれ、あ~こんな所登ってみたいなぁ~と思わせてくれます。

しかし、今作の一番のテーマは「友情」になるんですかね?
でもなんだか主役二人の友情は独特な形。私的には友情よりも生き方の対比を描いた作品という感じがしました。

このトレーラーのナレーションが三上博史なのは、彼がBS日テレの小さな村の物語 イタリアでナレーションやってるからですかね?

昔は毎週観てる時期があったんだけど、放送時間が変わってしまって自分の見やすい時間帯じゃなくなって観なくなってしまった。イタリアの市井の人物にスポットを当て(一放送で二人ぐらい)、淡々と彼らの生活を映す番組。かなり地味~な回もあるんだけど、生のイタリアの田舎の空気が感じられ、普通の人の生活を覗き見できる興味深い番組。

あんなに密着されて色々さらけ出させられる…この人たちにもギャラを払ってるんだろうけどいくらくらいかな?とか、田舎の決して裕福そうじゃない人たちに金に物を言わせて了承させて密着してるのかなぁ…とか、まあ裏事情を考えたらちょっとヘンな気持ちになっちゃうこともあるんですけどね(;^_^A。


話戻って「帰れない山」
ストーリーはWikiにがっつり書かれているんですが、

一応自分の感想を交えてあらすじを書くと…

あらすじ的なもの


Torinoトリノ(都会)に住むピエトロ(ルカ・マリネッリ)と、Granaグラナ(山間部の田舎)に住むブルーノ(アレッサンドロ・ボルギ)という二人の人物の関係を描いたお話。

ピエトロの家は割と裕福な家庭。父親は登山好き。都会であるトリノでの生活から癒しを求めてグラナの村に休暇で家を借りて過ごす。そこでピエトロは村に住むブルーノ少年と出会う。

ブルーノは父親が出稼ぎで不在(母親は離婚?死亡?とにかく不在)。叔父の牧場を手伝っている。勉強も殆ど受けていない状況。ハイジのペーター的な感じでしょうかね。

同世代のピエトロとブルーノはすぐに仲良くなる。野山を駆け回り二人だけの絆を強めていく。

ピエトロの父親は二人を連れて登山に行く。ある時には氷河にも登りに行く。野生児ブルーノはピエトロ父の結構無茶な行程にも付いて行けるが、ピエトロはクレバスを飛び越えることが出来ず(高山病だった感じかな)でトラウマになる。(後々このトラウマが原因なのか、ピエトロは父親と距離が出来、一緒に山登りもしなくなり、反抗期を迎え会話さえしなくなっていく)

一方ブルーノの境遇を不憫に思ったピエトロの両親は、彼を引き取ってトリノの学校に通わせてあげたいとオファーする。

ここで面白いなと思ったのは、ピエトロはこの案に猛烈に反対する。
仲のいい友達ともっと一緒に過ごせるようになるから喜ぶのかと思ったら、田舎育ちのブルーノの素晴らしさが都会に行くことで無くなってしまうと、そんなのはダメだ!と訴える。
一方ブルーノ自身はトリノ行きには大乗り気。山に向かって「こんな田舎とはおさらばだ~」みたいなこと言うぐらい。碌な教育も受けられず児童労働当たり前の閉塞感満載の田舎からは抜け出したい…都会視点と田舎視点の対比が顕著ですよね。

ピエトロは大自然の中で自由に動き回るブルーノを尊敬し、彼みたいになりたい憧れがあったんでしょうね。都会っ子の自分とは違うちょっとしたヒーロー感。それが普通の人間になって欲しくなかったのでしょう。
または氷河で挫折した息子よりブルーノの方をベタ褒めしていた父。勉強を教えてあげていた母。二人をブルーノに取られるような気がして嫉妬からそう言ったのか…。どちらも含んでそうではある。

ブルーノ叔父の了承は得ていたが、いざ連れて行こうとした時にブルーノの父親が帰って来てブルーノを建築作業の仕事に連れて行ってしまった。それきり彼と会うことが無くなってしまう。

数年後、15歳ぐらいの時にピエトロがグラナを訪れていた時にバーでブルーノを見かける。お互い別グループで来てるので軽く頷くだけで話も出来ずにスルー。お互いに気まずい思春期真っ盛りという感じ。

さらに16年後。ピエトロ31歳。父親が心臓発作で急死。10年近く会話が無かった。ピエトロは父親に反発して大学を中退し、職を転々としていた。

そしてグラナの村を訪れていた所にブルーノがやってくる。そしてブルーノに連れられて山の中腹にある廃墟に連れて来られる。そこはピエトロの父親が生前に買っていた土地で、ブルーノはこの山小屋を再建することを約束していたという。最初は乗り気では無かったピエトロも結局ブルーノと一緒にその小屋の再建を手伝うことになる。

子供の時以来20年ぶりに親交を深める二人。ずっと建築業などをしていたブルーノはテキパキと仕事をこなし、ピエトロはまたしても彼の逞しさに憧れめいた尊敬の念を感じる。

ここまで殆ど女っけが無いもんだから、アレ?これってもしかしてBL路線に突入するのか?と思っていたんだけど、そっち方面には発展せず(;^ω^)。
シチュエーション的には山の中で二人っきり…ブロークバック・マウンテンと似たようなシチュエーションなんですけどね~w

でもこの二人、特にピエトロのブルーノに対する眼差しは初恋の相手への執着に似た何とも言えない憧れがあるんですよね。性的な部分が一切ない恋情というか…。なんかよく見る友情の感じとは微妙に違う色を感じましたよ。私はね。

そしてさらにピエトロの感情を複雑にするのが、ブルーノがピエトロ父と十年近く前から親交を復活させ、二人で色々な山を登山するほどの仲だったというのが分かる。
自分の知らないところで…ブルーノは僕の友達なのに!!とか僕の父さんを取りやがって!!みたいにはならないのはヨカッタです。ホッ。

ピエトロ父も本来はピエトロとしたかったであろうことをブルーノとし、ブルーノも酒飲みろくでなし実父とは違う、知的で優しいピエトロ父に理想の父親像を重ねていたんでしょう(ろくでなし父とは縁切り済み)。
ピエトロも自分のせいで父親と疎遠になったことを後悔する。それがあるから映画の後半で父親とブルーノが行った山々を自分も登ってみる。そして山頂にある記帳ノートに父親のメッセージを探し、父親の気持ちを知ろうとする。

そして山小屋は完成する。
ピエトロがトリノから連れてきた女友達ラーラとブルーノは恋仲になり結婚し、女の子も誕生する。ブルーノは叔父の残した牧場を再建し、家族もでき、幸せな日々を暮らしている…ように思えたが。

一方のピエトロはどう生きるべきか悩みつつ、レストランで働きながらブルーノがアドバイスしてくれた執筆活動を始める。なんとか本を出版するようにもなる。ネパールを旅行して故郷の山に想いを馳せたり、その経験をまた本にしたり、まだまだ彷徨いながら生きている。

そんなピエトロにネパールで大事な女性が出来た頃、ブルーノの家庭は崩壊していく。実働作業は難なくこなすブルーノだが経営は上手く出来ず(ちゃんとした教育を受けられなかったというのもあるんでしょう)、牧場を手放さなければならないことに。妻と娘は実家に帰り一人きりに。ピエトロに連絡してきて、冬の間山小屋で過ごしてもいいかと訊いてくる。

心配になったピエトロはネパールから帰国し、ブルーノと一緒に過ごすことにする。

数日は順調に過ごしていたが、ある夜、口論になる。
娘に会いに行ってやれというピエトロ。会いに行っても仕方ないというブルーノ。子供をほったらかしにしていたブルーノのクソオヤジと一緒だと言ってしまうピエトロ。これにキレて「ココから出て行け!」というブルーノ。
(この前にカモシカを解体するブルーノの場面があったので、逆らったら何されるかわからん凄味があったからか?ピエトロは極寒の外に出て一晩明かし、翌日山を下りる)

ピエトロはブルーノの妻ラーラに会いに行く。
頑なに山で生きることに固執するブルーノ。レストランやスキーのリフト案内の仕事などがあるのに。
「助けてほしくない人を助けるのは無理だ」と彼女は言う。

ピエトロは再び山小屋を訪れ、ブルーノと仲直りをする。
山でしか生きれない、不器用過ぎる男、ブルーノ。
ヒーローの様になんでも出来ると思っていた男だったのに。
しかしピエトロは子供の時、そんなブルーノには山で生きて欲しいと願っていた。山以外の場所で生きて欲しくないと。
ブルーノにとっての幸せとは…複雑な想いで苦しくなりブルーノを抱きしめ慰めるピエトロ。

1人山を下りたピエトロに後日連絡が入る。
ブルーノからの連絡が途絶え、救助隊が駆け付けたが山小屋にはいなかったと。

春、雪の上で何かをついばむカラスたち。

ピエトロはネパールに渡り、教師をしている想い人アスミと一緒に彼女の教え子達と過ごしている。サッカーをしつつ、最後のモノローグ。

果たして彼にも漸く自分の居場所が見つかったのか…。
それとも帰るべき山(ブルーノ)を失った彼はまた彷徨い続けるのか…。


ザッとこんな感じのお話でした。

ここでコレってメタファー的なものかな?というものを書き出してみます。

メタファーなど

1.山小屋

ピエトロの父親が残した廃墟になった山小屋。

これってピエトロと父親ジョバンニの壊れてしまった父子関係のメタファーなんだと思います。それをブルーノの協力で建て直していく。
結果、この山小屋で過ごすことによってピエトロは山への関心を取り戻し、壊れてしまった父親との関係を(亡くなってもういないが)彼の中で再構築していく。

またはピエトロとブルーノの友情関係とも考えられそうです。
疎遠になってしまった友情関係。それを二人で建て直す。
最初はちょっとイヤイヤだった感じのピエトロも、徐々にやる気になっていき、山小屋が完成する頃には昔のブルーノとの関係そのままに戻っていた。

凄くうまい設定だと思いました。

2.松の木

廃墟の中に生えていた松の木。
ピエトロが引き抜いて別の場所に植え直す。

ピエトロが植えているときにブルーノが言う。
「最初に根付いた場所だとちゃんと育つけど、植え替えると弱くなって育たない」と。

これはブルーノのような山の民のメタファーなのかな?と思いました。
生まれ育った山でしか生きられない男・ブルーノ。
他の場所に移ったとしても心身健やかに生きていけない。子供のピエトロが危惧したように。

しかし山に固執したばかりに不幸な結末ともとれる最期に。

「松の木」自体に何か意味があるかな?と調べてみると、
松は常緑、エバーグリーン。二人の友情が枯れることなく永遠に続くシンボルだったという可能性もありそうです。

3.スメール山と八つの山脈

この映画の原題である「Le otto montagne」8つの山々もしくは8つの山脈。これは、ネパールを旅してきたピエトロがイタリアに帰って来た時にブルーノに話して聞かせる仏教の世界観に関する話の中に出てくるものです。

仏教の世界観には、まず世界の中心に最も高い山「須弥山」があり、その周りに七つの金の山々と鉄囲山(てっちさん)があり、その間に8つの海が存在するという考えで、「九山八海」と言われるんだそう。

図に書いてブルーノに説明するピエトロ

このピエトロが描いた図だとお尻の穴みたいだと言って笑っていた。

須弥山も英語?現地語?だとマウント・スメール(Mt.Sumeru)。スメールっていうのがsmellに掛かって「臭い」的な感じになる。お尻の穴とスメールなのであんなに笑っていたのかな?と思ったけど…でもブルーノが英語話せるとは思えないので単に酔っぱらって何でも面白い状態だったということかな。

ピエトロの図だとピザみたいに八等分に線を引いてるけど、須弥山のWikiなんかを見て貰うと、中心に須弥山があって、その周りを同心円状の7つの山脈で囲まれてるといった状態(鉄囲山だけ独立峰なのかな?)。

で、ピエトロが言う。
「一番高いスメル山に登った人間と、その周りの8つの山々と海を巡った人間とではどちらの方がより多くのことを学んだ、知ったことになるか?」と。

ここでブルーノは自分自身がスメル山の上に立つ者で、ピエトロが8つの山々と8つの海を巡った者だなと言う。

「それでどっちが勝つんだ?」と訊くブルーノ。
ピエトロは「自分だ」と笑いながら即答する。

ブルーノは山の民。グラナ周辺の山については誰よりもよく知っている。山で生きる術も熟知している。しかしこの地方から出たことが無い。一点だけのエキスパートといった感じは確かにMt.Sumeru須弥山という感じ。

一方のピエトロは都会のトリノも田舎のグラナも海外のネパールにも旅して見識を広めている。シェフからライターまで仕事も色々と渡り歩いていろんな世界を知っている。しかし一つのことを極めているエキスパートというほどではない感じがまさに周りの山と海を巡る者という感じ。

ここでピエトロが自分の方が勝っていると即答したのはちょっと驚いた。
このやりとりの時点では、まだブルーノの人生も順風満帆な時期。ブルーノに憧れがある(と思われる)ピエトロにしたら、まだまだブルーノの方が世界の中心で高くそびえる山みたいな存在で、自分は根無し草的な状態であり、そこに卑下があって負けてると思うんじゃないかと思ったから。

しかしネパールを旅してピエトロは既に変わっていたということですね。
色んなものを柔軟に考え、捉えること出来る強さを、仏教の教え、ネパールの人々の暮らしを見ることで学んできたからこそ、自分の方が生きていく上では強いと思えたんだと思う。

一方、高く高く聳えているブルーノは後々柔軟な考えが出来ずに他の仕事に就こうともしない。高ければ高いほどそこから落ちるとダメージも大きい。その結果がブルーノの最後と重なる。

この8つの山々のエピソードを話した辺りが、二人の人生の分岐点だった感じがします。ブルーノの人生はこの後下り坂に。一方のピエトロはそれまでの不安定な状態から心の平穏を獲得していくようになっていく。

4.鳥葬

ブルーノ夫妻の牧場にピエトロと彼の母が訪れて食事をしている時の話。
ピエトロがネパールの山岳民たちの鳥葬の風習について話す。

ネパールでは死体を燃やすほどの木が無いために、死体の皮をはいで切り分けてコンドルたちの餌にする。数日後には骨だけになっており、今度はその骨を潰して粉にし、それを練って鳥の餌に混ぜて食べさせる。最終的に全てを無くしてしまうという。

その話を聞いてブルーノの妻ラーラは恐ろしいと気味悪がる。
しかしブルーノは「自分は好きだな。鳥が食べてどっかに行っちまう」と言う。

このエピソードが最後に活きてくる。
遭難?自殺?したブルーノの遺体らしきものをカラスがついばんでいる。
まさにブルーノがイイと思った通りの死に方になる。
ピエトロが「世界中の山の民は繋がっているのかも?」と言っていた通り、ネパールの山の民の死に方をイタリアの山の民のブルーノもすることに。

ここで鳥葬を取り入れたのは、この地域から出ることも出来ず、雁字搦めで動けなくなったブルーノの心はスメル山から落ちた。それを救うためには鳥になって自由に飛んでいくことしかなかった…ということなんだろうと思います。鳥になることが自由になることのメタファーなんでしょうね。


タイトルの違い

この映画、邦題の「帰れない山」と原題の意味の「The eight mountains」の違いが興味深いなと思った。

原題は8つの山々。つまりそれらを巡った方の人物だと例えられていたピエトロの方を主題にもってきている。

一方、邦題は「帰れない山」。それはもういなくなったブルーノ(や父ジョバンニ)の方を主題にもってきている。

確かに最後のピエトロのモノローグに、人生においての「帰れない山」について話す部分がある。人生において最初の、そして中心にあった山。
だから「帰れない山」をタイトルにするのも分からないではないけど、The eight mountains =帰れない山ではなく、スメル山=帰れない山なわけで、この改変は作り手のメッセージを歪ませてるような気がしてならない。

失った友人、それは帰れない山…物凄く日本人好みのセンチメンタリズムに極振った命名という感じがする。

The eight mountainsだと、ピエトロが山を通して獲得してきた人生観、哲学、宗教観、柔軟な物事の見方など、人間の生き方を問うてくるようなタイトルになってくるように思う。

日本では「帰れない山」が受けるのはわかるけどちょっと違和感が拭いきれない。
原題の方がより映画自体を総括した、映画が伝えたいことを表したタイトルなんだと思います。私的には原題の方がしっくりきます。


どの辺りの何ていう山?

ピエトロとブルーノを見守っていたあの山はなんていう名前の山なんだろう?と映画を観ながらずっと思っていました。ピラミダルな山容が美しい山でした。
上の動画でピエトロが登って山頂から「ブルーノ~!!」って叫んでる山です。

そもそもこのロケーションはイタリアン・アルプスのどの辺りなんだろう?

で、調べてみました。

ピエトロ一家が訪れていたGranaグラナの町はトリノの北、マッターホルンやモンテローザの南側にあるValle d'Aostaヴァッレ・ダオスタ州、valle di Ayasにある小さな集落。
(ValleというのはValley、つまり谷ということみたいです。なのでアヤ(ス)渓谷 アヤ(ス)谷って感じですかね)

そのvalle di Ayasは大体この辺りにあります↓

ブルーノが叔父と住んでいる牧場の場所は、グラナより少し南の標高2000mくらいのLavasseyという所らしい。歩いて一時間ぐらいと映画の中でも言ってました。

ピエトロ父が遺した廃墟の山小屋のある所はBarma Drola。ブルーノの住むところからの方が近い。3人で氷河を登りに行った時もブルーノの牧場に寄ってから行ってましたから。あの時泊まっていた山小屋が20年経って廃墟になっていたと。

そして気になっていた山小屋を見下ろす山の名前はMt. Bieteron。
ビエテロン山
っていうのかな?
地元の人はグレノンGrenonと呼ぶそうで、“the mountain of Grana”グラナの山、つまりグラナを代表する山ってことみたいです。

ピエトロ父がブルーノ叔父に名前を訊いた時に「ピーク一つずつには名前を付けない。全体をグレノンと呼んでいる」と言っていたので、あのピーク自体はビエテロンとその後に名付けられたのかも?でもグレノンの頂上に行くといってピエトロはビエテロン山に登っていたので、まあグレノンでいいんでしょう。

ただ不思議なのは3人で登った時は氷河があったのに、20年後、山小屋修復中にピエトロが一人で登った時は氷河が無さそうだったこと。氷河は夏でも基本消えないし。20年近く経って温暖化で消滅したんですかね?

実際の氷河の撮影はモンテローザ山脈のColle del Felikフェリクのコル(鞍部)というところで撮られたらしい。標高は4061m。グレノンじゃなくてもっと高い別の山を目指していたのかな?単に氷河のシーンを無理矢理作るために関係ない山で撮影しただけ?よくわかりませんでした。

最初にピエトロと父ジョバンニが二人で登った山もまた別の山ですね。マドンナとか呼んでいた山。3010mとか言っていたけどそんなには無かったと思う。ビエテロン山が2 764mなんですよね。高山病になっていたビエテロン山よりも低そうだったし、山頂に雪も無かった。でもあの山は正面にマッターホルンなどの名峰を望めてロケーションはかなり良さそう。この山の情報は見つけられなかったので不明。

モンテローザやマッターホルンは4500m前後の山々。
でもその周りには2000m~3000m級の山がひしめき合ってるんでしょうね。
高山病にならないくらいの山なら登ってみたいもんです。


ということで「帰れない山」Le otto montagne のレビューでした。

なんかまだまだ気付けていないメタファーや勘違いしている部分もありそうです。何よりこの映画が伝えたかったことが未だにボヤ~っとした輪郭でしか掴めていない。そんな自分の読解力の無さ、言語化力の無さが悔しいです。

でも画面の美しさ、ストーリーの奥深さ、キャラクター造形、中途半端なこともなく映画としては非常に上手くまとめられている秀作だと思います。

私的☆評価は星8つ(10点満点中)という所でしょうか?
マイナスはブルーノの内面の掘り下げや葛藤がもう少しあっても良かったかなと。恵まれているピエトロに嫉妬したりしなかったのか?とか、ちょっと何考えてるのか分かりづらかったので(苦笑)。


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