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「ネコのおやつ」で腎臓病予防!?

千葉市で働く臨床経験17年目の獣医師です。

私は「猫が30歳まで生きる日」という本を読んで以降、東京大学大学院医学系研究科宮崎教授のAIM研究を勝手に応援してしています。

前回のNOTEはこちらです。↓

AIMとは宮崎教授が発見したタンパク質で、猫の腎臓病治療薬として開発が進んでいました。ところが現在世界的に猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症により、その猫の腎臓病薬の開発中断が余儀なくされてしまったのです。

このnoteでは宮崎教授のAIM研究を応援するとともに、皆様にAIM研究の情報のアップデートを目的として、

私が日々探して読んでいる宮崎教授のAIM研究に関する記事の中で気になるトピックを共有をさせていただいています。

少し古い記事になりますが、本日私はこのような記事を読みました。↓

この記事の中で私が気になったところを以下にピックアップしてご紹介します。↓

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人間もネコもAIMは血液中に単体で存在しているわけではありません。

通常は「IgM五量体」という大きなタンパク質と結合しています。

体の中にゴミがたまり始めて病気が起こってくるとAIMがIgM五量体から外れます。

腎臓の場合は、尿細管と呼ばれる尿の通り道の最初の部分がゴミで詰まってしまい、組織が炎症を起こすとAIMは外れます。

AIMは炎症の原因になっているゴミに張り付いて、片付け役の貪食細胞にゴミの場所を知らせる働きがあります。


※「IgM五量体」と聞きなれない単語が出ていてイメージがつかみづらいですよね。宮崎教授は「猫が30歳まで生きる日」の中で、以下のように例えていました。

たとえて言えば、健康時(平時)には、「AIMという”戦闘機”」が「IgMという巨大な”航空母艦”」に乗って血液の中を巡回している。しかし、いざ急性腎障害が発症して有事になると、AIMはIgMからスクランブル(緊急発進)し、攻撃対象のデブリ(生体ゴミ)の掃除に向かうというわけだ。

戦闘機と航空母艦に例えるとはとても分かりやすいですよね!

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しかし、ネコのAIMは、IgM五量体に接している部分のアミノ酸配列の特徴が人間や他の動物とは異なっていて、尿細管が詰まって炎症が起きてもIgM五量体から外れません。

IgM五量体に結合したままでは、尿の通り道にあるゴミまで到達できませんし、ゴミにくっつくこともできません。

そうなるとゴミが片付けられず、炎症が広がって腎臓の組織が徐々に壊れていってしまいます。

今回の記事にありますAIMの「活性化」というのは、ネコのAIMをIgM五量体から外すことを意味します。

AIMが外れれば、人間と同じように腎臓の中のゴミを取り、炎症を抑えることができます。

 今回見つかったネコのAIMを活性化する成分は、果物のドリアンから抽出できる成分で、既に食品添加物として流通しています。

AIM製剤のように大規模な培養施設が必要なわけではありませんから、断然低価格で手に入ります。

今後どのくらいの量を摂取させるのが適切か、どのような形状の物がいいのかなど、いろいろ検証とのことですが、

AIM活性化成分入りのおやつやキャットフードを、子ネコの時から食べていれば、腎臓病は少なくとも発症の可能性は低くなるとのことです!


猫の腎臓病薬の完成もとても待ち遠しいですが、まずはこのAIM活性化成分入りのおやつやキャットフードが早く完成してほしいですね!

本日のAIM研究の情報共有は以上です。

もしも私の記事を読んでAIMに関して気になった方がいましたらぜひこちらの本も読んでみてください。↓

この本に関しての私が書いた記事はこちらです。↓

おそらく私のnoteの中で一番熱を持って書いた記事かもしれません。

また現在東京大学では
宮崎徹教授による猫の腎臓病治療薬研究への寄付も行っています。↓

今回のNOTEは以上です。

また気になる宮崎教授のAIM研究に関する記事がありましたら共有させていただきます。

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