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Purikura City -Speculative Architectとして未来を描く-


preface

※この作品はSci-Arc Fiction & Entertainmentにて制作している個人作品です。

私は日本で建築の学部、修士を卒業した後、昨年の9月からアメリカの大学院で未来的なアニメーション・映像の制作をしています。昨今、技術革新、気候変動、社会秩序の急速な変化により未来をスペキュレイトする事がより価値を持つようになって来ました。このような状況の中でArchitectとしてどのように振舞うかは私達、若い世代のこれからの課題であると思います。

私の立場としては、エンターテイメントのフィールドから未来の社会、都市、建築を提案していくSpeculative Architectとしての活動を模索しています。

今回、紹介するのは現在作成中のShort Animation Film: Purikura Cityです。現在コンセプトメイキングが終わり、9月の完成に向けて制作中です。今回、コンセプトのシェアに至った経緯としてサウンドや、構成など共同できる方を探しているという背景があります。読んでみて興味を持って頂いた方はコメントやDM頂けると嬉しいです。面白いと思った方はいいね、シェアの方よろしくお願いします

Synopsis

2049年,AR(拡張現実)が一般化されほぼ全ての人類がスマートコンタクトレンズ、グラスを着用して生活を送っている。一方で一人当たりが使用するデータ量は劇的に増加し、貧富の差がそのままデータ使用量に反映されている。そんな中、女子中高生の間ではドローン型プリクラ、「We」が流行し大勢の女子中高生がシブヤに集まるようになった。そしてシブヤは彼女たちによって占拠される。

Purikura Drone-プリクラを三次元的に翻訳する-

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プリクラといえば箱型のブースを思い浮かべると思いますが、本提案では、ボディスキャンにより三次元的にデコる事を想定しています。「We」は街に浮遊しており、それぞれの機体にアクセスする事でゆっくりと近づいてきます。本体下部の翼が延長し、裏側に埋め込まれている小型カメラがボディスキャンを行います。

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スキャン後は、自分のBodyデータにデコレーションを加えていきます。また、「We」はARをアシストするレンダリングマシンとして機能します。データ制限と戦う女子の強い味方です。

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「We」の翼は発光し回転しながらARを纏わせます。


Digital Ghostと女子高生

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「We」は実際にその場所にいる人だけのものではなくデジタルゴースト、アバターにも対応しています。つまりこヴァーチャルとリアルをつなぐインターフェイスとなり新しいコミュニケーションツールとなります。参照したM&Mによる遠距離プリクラ(下動画)では東京と大阪をつなぎ、全く知らない女の子が一緒にプリクラを撮る事により新しい関係性を作りだしています。

ゲリラ的コミュニティーを作り出すプリクラ

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「We」一機当たりにデコレーションできる範囲は画像のようにスフィアとして定められていて、この範囲であれば自由にデコレーションが可能になります。「We」と接続した瞬間に他のプリクラと同期され他機のARがシェアされます。つまり「We」と接続していない人は見ることができないクローズなコミュニティが形成されます。

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他機と近接し領域をシェアする事によりデコレートできる範囲は増えていきシェアする人数が多くなるほどに町を覆いつくすほどの大きさになります。

Calibration Clothjy

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女子高生はARのデコレーションをより精細にトラックするためキャリブレーションパターン、マーカーが印字された衣類を纏います。キャリブレーションーのパターンは女子高生自身がカスタマイズし、和柄やキャラクター柄などキャリブレーションパターンが機能する範囲でそれぞれがデザインをします。制服というアイデンティティを保ったままARのない状態でのファッションも楽しむ事を意図しています。

Kawaiiとグロテスク

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デコレート後のファッションの一例です。現在のプリクラは二次元であり、そこにフィルター、スタンプ、テキストといった情報がレイヤーされています。この提案では三次元的にモンスター的なものを身に纏ったり、スタンプのようなものを水しぶきやクロスシュミレーションで表現しています。また、デザインについて参照したのはアーティストのFabian Marcaccio, Fantasista Utamaro、建築家のMark Foster Gageといった面々からわかるようにグロテスクとkawaiiの中間にあるようなものを目指しました。

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Fabian Marcaccio New Techno Brutalist Plasticity 2016

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Mark Foster Gage Architects

女子高生のシブヤ

このプロジェクトを考えるにあたり舞台をシブヤにしたのは、”「盛り」の誕生 女の子とテクノロジーが生んだ日本の美意識 (著)久保 友香さん”の影響があります。この本では、非常に興味深い考察がされており、テクノロジーの変化により女の子の顔の盛り方も変化している事が指摘されています。プリ帳から始まりインスタグラムへ移行していく中でビジュアルコミュニケーションの場がリアルからバーチャルへと移行する。僕の興味はARの時代にそれがどのようにデザインされるのかという所にありました。それがシブヤに再び女子高生が戻りシブヤをハックするというストーリにした理由です。

Comfortable Argument Reality

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彼女達は自分自身だけではなくスフィアの内部空間もデコレーションします。通常ARと聞くと、映画「Ghost in the shell」にあるような透明度を持ったものを思い浮かべると思いますが、質感や感触を持ったARを表現したいと思いました。上の写真は車の上に柔らかいクッションのようなARを纏わせたものです。車という形は残したままデフォーㇺさせています。このARをComfortable Argument Realityと名付けました。デジタルで存在する人に対して気持ちのいい感触を与えるようなARです。

City design

ARを都市に実装するにあたりARのON/OFの世界をどうデザインするかは非常に悩ましいところでした(現在も頭を悩ませています笑)。

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画像は、シブヤのスクランブル交差点のビューです。物理的な横断歩道は消しています。

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「We」のARがオンになった世界です。地面には女の子たちの足跡のような軌跡が浮き出ます。

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建物や車、信号、木といったオブジェクトには柔らかいファブリックのようなARが纏っています。


最後になりますが見ていただきありがとうございます。読んでみて面白いと思った方はいいね、シェアの方よろしくお願いします

※女子高生のモデルデータはCGTraderにて購入したものです。

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