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アメリカで出会った100の光景 No.25( 大自然の絶景)ときめきまくり、アラスカのオーロラ

オーロラが見える宿。
現地の代理店から送られてきたメールに添付されていた宿の地図は、手書きだった。
デナリからフェアバンクスの宿を目指して車を走らせる。
黄色い葉が道路の両脇にきらめくきれいな道は、もう十分堪能した。そろそろ宿が出てきてもいい。道は一本しかない。迷いようもない。
しかし、宿に入る道がわからない。地図の目印は、民家のポスト。時速60マイルで走っているとすぐに見逃してしまう。
近くを2往復してようやく宿に続く小道に入った。

建物はロッジ風で、部屋もウッディーでかわいらしい。
ベッドの上には北向きの大きなガラス窓があり、オーロラはここから見えるという。

テレビもラジオもWIFIもない。地図が手書きのわけがわかった。宿のオーナーは、メールを送るために町まで行くそうだ。一番近いお店までは車で30分。
つまりはオーロラに集中するには最適の場所。


夜。カーテンを開けたり閉めたりして外を気にするもオーロラの気配はない。
昼間はどんよりした雲がかかっていた。そもそも9月はオーロラのシーズンにはちと早い。見れればラッキー、くらいな感じなのだ。
1時間くらい毎に起きて、チェックしてみようということにした。カーテンを閉めてしばらく寝ようとすると、他の部屋で動きがある気配がした。
ひょっとして・・・慌てて外に出てみると。

雲は流れ、星がまたたいていた。遠い空に、雲がかかったのかな、と思ったら、それがオーロラだった。
薄い白いカーテンが、ふわっと風になびくような感じで、刻々と形を変えていく。
時折光が強くなったり、放射状にひろがったり。決して見ていて飽きない。

1時間ほど眺めて、部屋に戻り、また小一時間ほどしてから外を見てオーロラが出ていたら外に出る。それを何度繰り返したろう。
現れるか現れないのか、わからない。
そんなオーロラを待つ時間が楽しくてならない。
さながら、今日は電話がくるかなこないかな・・・なんていう青春時代の乙女の気分。
厚着のままベッドに寝転がって外の杉の木のシルエットに目をこらす。杉がさっきよりもはっきり見えていたら、それはきっとオーロラ。
祈るような気分で杉を見て、いつの間にか眠っていた。

宿の朝食。シンプルだけど、ありがたい。夕食はキッチンを借りて自炊をしたのだ。

宿のデッキからは、黄葉した大地が見渡せた。
邪魔するものが何もないアラスカの黄葉は、本当に素晴らしい。


わたしたちのオーロラチャンスは2日間。
昼間は町をブラブラして過ごす、といっても観光できるところはそんなにない。
星野道夫さんの足跡をちょっとだけたどってみたり。

そして夜、再びオーロラハント。
昼間は曇っていたが、幸い夜になると雲が切れた。
11時近くにオーロラの出たのを確認し、外に出る。
他の部屋の人も写真を撮っているのがわかったので、できるだけ明りをつけないように行動する。
それにしても、オーロラがどちらの方角に出るのかわからないので、のんびりチェアに座っては居られない。あっちを向いたりこっちを向いたり、立ったり座ったり。寒くてじっとしていられないから、というのもあるけれど。

段々、オーロラにも慣れてきて、出る度に歓声を上げることはなくなり、
静寂の中にシャッターを切る音だけが響くようになった。
・・・と思いきや、突然聞こえてきたのは、犬たちの遠吠え。エコーがかかっているかのように響き渡る。ずっと鳴いている。
それが、姿がわからないので怖いのなんの。いつでも部屋に駆け込める場所にポジションをとる。
しかし、前日はまったく鳴いてなかったのに、どうしてだろう・・・。
ひょっとして・・・
オーロラのせいだろうか!?
オーロラは前日よりも、だんぜん強い光を放っていたのだ。

建物や木のシルエットがはっきりわかるくらいに明るい光には、犬ならずとも大興奮。
そして、オーロラ自体も興奮しているかのように、パッと明るくはじけた。


何度か部屋と外とを行ったり来たりして、この夜もオーロラショーに満足して、部屋に戻った。
ベッドに入ると、足が冷えきっていてることに気づいた。カイロを貼りまくったが、なかなか眠れないほどに。9月とはいえ、ここはアラスカなのだった。

オーロラがちょっとでも見れれば満足・・・
そして見えたから十分・・・
のはずだったのに、
今度はもっと強い光の違う色のオーロラが見たい!と今はさらに欲深だ。
乙女は電話がきたら、次は会いたくなるものなのだ。


フェアバンクス (アラスカ州)
Fairbanks, Alaska



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