見出し画像

アメリカで出会った100の光景 No.22<大自然の絶景>デスバレーの砂丘の風紋


白い砂丘の盛り上がったところに、プリーツのような風紋がついている。
きれいだなあ。自然の作るアートってなんてきれいなんだろう。

けれど、その風紋を踏みしめて壊しても、もっと先の景色が見たい。
どうせなら、誰の足跡もついていない場所に自分の足跡をつけたい。

そう思うのは皆同じ。
山の方へ向かう足音はここかしこについている。
ああ。風紋。わたしのだけの風紋はいずこに。
ずりっ、ずりっと砂に足を取られながら歩く。足跡が大きくなるわけだ。


過酷さが売りのデスバレーだが、園内にはリゾートホテルもある。人気があるので早くからの予約が必須だが、運良く泊まることができた。

ここに泊まった狙いは、朝日に照らされる砂丘だ。
早起きも早起き、まだ暗いうちに起き出して、砂丘に向かう。
ちなみにわたしは旅先でのみ早起き可能体質。


9月ではあるが、昼間の暑さが信じられないくらいひんやりとしている。
だれもいない砂丘を独り占め、のつもりだったけど、やっぱり大きなカメラを抱えた人たちの姿もチラホラ。

空のグラデーションが日の出を教えてくれた。
シルエットしかわからなかった砂丘が、姿を表す。

これ、これ、これが見たかった。
昇り始めた太陽が砂丘に作る陰影。

そして、キラキラ輝き始めた砂。

くっきりと存在をアピールし始めた風紋。

足元を見れば、人間以外にもこの景色の中にいることがわかる。
へびとかトカゲとか鳥とか、かな。
姿はまったく見えない。
しばらく跡をつけて歩いてみたものの、すぐに根を上げる。すぐそばにあるように見える木でも、歩いて見れば遙かに遠い。

日の出を待つ時間は長かったのに、日が昇り始めたらあっという間。
謎めいた艶は姿を隠し、明るいいつもの風景に変わっていく。

わたしが残した足跡も、風が消していく。

たくさん写真を撮ったけれど、後悔が一つ。

ちゃんとお化粧をしてくればよかった!!

デスバレー国立公園(カリフォルニア州・ネバダ州)
Death Valley National Park

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?