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『あなたの時間を、私にくれませんか?』

今日は珍しく真面目な話を書かせてもらいます。

近頃、ニュースでもよくやっているこの話題。
『糖尿病』という名称を、変更するかどうか、という話。

どこかでチラッと目にされた方も多いのではないか、と思います。

私もこのニュースが気になりまして、ニュースサイトやツイッター、まとめサイトなんかでも色々な人の意見を読んでみたんですが、確かに、『糖尿病』という名前に不快感を感じる人は多いのだなぁ、と思いました。

排泄物の名前が入っているから汚い、とか、“糖尿病“という名前自体、軽い病気に思われるから嫌だ、とか。
ザッと見るだけでも色々な意見がありました。

そして、それらの意見と同じように目についたのが、糖尿病患者を揶揄するような発言でした。

「不摂生な生活をしていたからだろう」、「甘いものばかり食べ過ぎたんじゃないの」、「糖尿病って、おしっこが甘くなる病気なら大したことないじゃん(笑)」などなど。

まあ、確かにそういう病気でもあります。
不摂生な生活を送っていたり、医者に言われても生活改善をしなかったり、本人の自業自得、と言ったら酷ですが、でも、原因のひとつになることがあります。(もちろん、遺伝もありますし、体質もあるので、それが全てではない)

ただし、それは2型の話です。

私の旦那が患っている、1型糖尿病とは全く性質が異なります。

何度かこのnoteでもお話させていただいているので、ご存知の方も多いかと思いますが、1型糖尿病はものすごく簡単に言えば免疫疾患です。

暴飲暴食をし続けた、とか、甘いものを食べ続けた、とか。そういった明確な原因があって、発症するわけではありません。

「運が悪かったんだ」と、旦那は言います。
仕事の都合や色々な理由で、その時期、体に負担をかけてしまった、という原因もたぶんあるけど、それでも普通の人なら発症しないものが、発症してしまったのは「運が悪かった」のだと。

そして、この『糖尿病』という名称。
この名称のせいで、いちばん不快な思いをしているのは、恐らく1型糖尿病患者です。

だからきっと、この“名称変更“に関するアンケート調査でも、回答したのは1型糖尿病患者が多かったのでしょう。


このnoteを見てくれた、あなたにお願いです。
ほんの少しの時間だけ、私にください。
そして、どうか考えてみてください。

あなたは何も悪いことをしていないのに、突然、日に4度の注射が欠かせない、大袈裟に言えば、常に命の危険に晒される病気に罹ってしまったとして。

似たような病名の生活習慣病があるから、と。
それと同じように扱われて、どんなに辛さを訴えても、「いや、だって自業自得な病気なんでしょ?(笑)」と他人から笑われたとしたら。

どう思いますか?

生活習慣病である2型糖尿病だけが常に取り沙汰され、1型糖尿病という名前も、知らない人が沢山います。

今回の話を扱ったニュース番組ですら、1型と2型を一緒くたに混同して、報道している番組も見受けられました。

もう一度言います。
1型糖尿病と2型糖尿病は全く違う病気です。

自堕落な生活を送ったわけでもない、好き勝手に生きたわけでもない、毎日真面目に働いて、普通に生きてるだけの人が、なんの前触れもなく突然発症するのが1型糖尿病です。

そして翌日から、もう2度と、好きなように物を食べることが出来なくなる病気です。

普通の量の食事を、食べることは出来ます。
でも、好きなものをたらふく食べたり、満腹になるまで食べて「もう入らないよ」とは、なかなか言えなくなるのです。(インシュリン注射の単位が理解出来れば、出来ないわけではないです)

あなたがイライラした時にするやけ食いも、もう出来ません。
どれほど体調が悪くても、高熱があって食事が喉を通らなくても、食べなければ死ぬのです。

外食の時でも注射を打ち、時に好奇の視線に晒されて、低血糖で死にかけても、高血糖で体が重くても、誰にも理解してもらえない。
だって見た目だけは健康そのものなのですから。

どんな場所に働きに出ても、決まった時間に食事を取らないといけない、という縛りのせいで、世間からは冷たい目で見られて、陰口を叩かれる。

糖尿病だと人に告げれば、「若いのにね(笑)」とか「痩せてるのにね(笑)」とか、2型糖尿病と混同されて、どんなに深刻な病気であるかもわかってもらえないのです。

今回のニュースを私と一緒に見ていた旦那が、
「嫁のnoteを見てくれてる人だけでも、この病気のこと、知ってくれたらいいのになぁ」
と寂しそうに呟いたので、こうして今回書いてみました。

私はインフルエンサーでもなんでもありません。
このnoteという町の中でも、大した影響力があるわけではありません。

それでも、私が届けられる範囲の人に。
1型糖尿病という病気を知ってほしい。
私が今出来るのは、こんなことだけなのです。
ひとつ、リンクを貼っておきます。

それからもうひとつ、旦那と1型糖尿病について書いた記事があるので、こちらもご紹介させてください。

この記事を見てくれたあなたが、ほんの少しでも、この病気について知ろうとしてくれたら。
そして、もしもどこかで1型糖尿病患者と出会った時に、「大変な病気なんだ」と理解してもらえたら。(優しくしろ、というコトではありません)

私は、書き手としてとても嬉しく思います。

最後に、このニュースを見ながら、旦那が私にゆっくりと話してくれたことを載せておこうと思います。

なんの嘘偽りもない、真っ直ぐな言葉です。
とりとめのない言葉ですが、ひとりの1型糖尿病患者の言葉として、読んでいただけたら嬉しいです。

ご不快になられる方がいらっしゃったら、申し訳ありません。

「糖尿病、という名前なんてどうだっていい。
俺たちは、ハッキリ言ってしまえば2型と一緒にされたくないだけなんだよ。
1型と2型を、キッチリ区別して欲しい、ただそれだけ。
もちろん2型でも、しっかりと血糖コントロールしている人もいる。2型だって、自堕落な生活、それだけで発症するわけじゃないのも知ってる。
でも、だらしない理由で2型糖尿病を発症する患者がいる限り、そういう偏見は、いつまで経ってもなくならないんだよ。
俺はそいつらと同じにされたくない。
だから糖尿病がどうこう、元の名前がどうこうじゃなくて、1型と2型の名前を変えてほしい。
“劇症型膵臓破壊症“とか、“急性高血糖症“とか。
違う病気なんだ、って、わかるようにしてほしい。

ある日突然膵臓が死ぬんだよ。他の珍しい病と同じくらい、苦しい思いをしてるんだよ。
1型糖尿病患者も、気をつければ普通の人と同じように生活が出来る、ってよく色んなところに書いてあるけどさ。
じゃあ普通の人が腹に注射針刺すのか、って。
こんなボコボコした腹になるのかよ。(旦那のお腹は注射の影響でしこりが沢山あり、時折内出血を起こすので、広い範囲が青痣になってしまう時があります)
銭湯に行くと、みんなにジロジロ見られるんだよ。別に慣れてるからいいけど。
俺だって、好きでこんな腹になったわけじゃないのに。

血糖コントロールだって、上手くいってる人なんてほんの一握りじゃない。
仕事をしてたって、家にひとりでいたって、夜眠る時ですら、いつだって低血糖で死ぬかもしれない恐怖と闘ってる。(旦那は以前、睡眠中に低血糖を起こして、死にかけました。私も、一度だけですが、意識を失いかけた旦那を見たことがあります)
なのに、1型糖尿病は国からなんの保障も受けられない。
難病指定されてないから。難病だと認められてないから。
インシュリンがなくなったら自動的に死ぬのに、治療費の1割も国からは払ってもらえない。(健康保険は別です)
借金して(旦那は嫁と出会う前、血糖コントロールが悪く、入退院を繰り返した時期があり、高額な医療費が払えなくて、借金をしていた時代があります)、毎月の注射代を払い続けて、一生懸命働きたくても雇ってくれるところなんかなくて。
じゃあ、いつか借金が出来なくなったら?
働くところが本当にどこにもなくなったら?
1型は死ねってことだよ。結局さ、そういう病気なんだ、この病気は。2型と一緒にされた時から。

俺は嫁と出会ったから、生きてられる。
俺が働けなくなっても、絶対に嫁が助けてくれるって信じてるから、少なくとも注射を打てなくなることはないって心から安心出来る。
でも、他の人は違うよね。誰かに助けてもらいたくても、助けてくれるところもなくて、ただのたれ死んでいく1型の人だっているかもしれない。
俺だって、きっと嫁と出会わなかったらそうなってたんだ。
いつか注射が打てなくなって、そのへんの道端で死んでたんだと思う。

なんで変わらないんだろうね、この国は。
一生治らない病気なのに。治療法なんかほとんどないのにさ。
治る可能性がある2型と一緒にされて、名称が云々、なんて明後日の方向の話ばっかり議論して。
なんでもっと、難病指定にするとか、そういう方向に話が向かわないんだろ。
なんでだろうね……」

ニュースを見ながら、ポツリポツリと話してくれた言葉


もしもサポートをいただけたら。 旦那(´・ω・`)のおかず🍖が1品増えるか、母(。・ω・。)のおやつ🍫がひとつ増えるか、嫁( ゚д゚)のプリン🍮が冷蔵庫に1個増えます。たぶん。