『さよならは言わない』
私のnoteのお友達(言ってしまった!)に、しらたまさんという方がいらっしゃいます。
もうなんか今更なんですけど、私、しらたまさんの文章、好きなんですよね。
淡々と描かれる寂しさとか悲哀とか、でもちゃんと独りでも前を向いていこうとする意志とか。
抽象的に説明すると難しいけど、しらたまさんの文章って常にどこかセンチメンタルな部分が転がってるというか、雨の日の夜みたいな匂いがするんです。で、私はそこがすごく好き。
人それぞれ自分の好みの文章、があると思うけど、こことかすごい刺さった。
私達の関係は、最初はお互いSUPERBEAVERが好き、というところから始まったけど、今はそれだけじゃなくて。
しらたまさん自身が好き。(告白かよ)
SUPERBEAVERに出逢えなかったら、noteをはじめていなかったら、こんな人に出逢うことはなかったんだろう、と思う大切な繋がりのひとつなんです。
なんかしらたまさんの紹介記事みたいになってるけど、今日の内容は実はそうじゃなくて、そのしらたまさんがね、この前、とある記事をアップされてたんですね。
私の記事のコメント欄でたまたま愛車の話になって、「どんな車乗ってるんだろ?」と車好きな我が旦那が反応したのを受けて、もともと書こうと思われていたネタだったみたいなので、アンサー的な感じでアップしてくださったこの話。
ロードスターってね、スポーツカーですよ。
いやぁ、やっぱり現行のロードスターはカッコいい。
私は旦那の影響で、ようやく車種とメーカーが一致するようになった程度のにわか車好きですが、スポーツカー、カッコいいよね。
ロードスターってのはマツダの車なんですが、マツダ繋がりで思い出した話があって。
今日はその話を書こうと思います。
しらたまさん勝手に紹介してごめんなさい。
もし嫌だったらすぐに下ろすから言ってね!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
私が旦那と出逢った頃。
旦那が乗っていた車がマツダ車だった。
マツダの中でも不人気車で、価格も安くて、中身を弄るのにもひとつひとつめんどくさい。
そんな不遇の車、プレマシー。
初めて旦那の車に乗った時は、車高が低くてビックリしたっけ。
でも乗ってしまえば意外と快適で、つるんとした丸っこいフォルムも好きだったし、なんだかんだで乗り心地の良い車だったような気がする。
当時の私は車のことになんか興味のカケラもなくて、でも車大好き!な旦那のうんちくを聴いてるうちに、どんどん私もプレマシーが好きになっていって。
いつのまにか、「プレちゃん」と名前をつけて可愛がるようになっていった。
話は変わるが、私の住む場所は車がないと何も生活できない場所である。
それなりの田舎なので、コンビニすらもちょっと離れたところにあるし、お気に入りのスーパーも少し遠い。
大きなところに遊びに行くには市をまたぐ必要すらあるし、その割にバスは利便性が良くなくて、電車もあまり通ってない。
だから誰かと付き合う時、地元の女性は基本的に相手が「車持ちかどうか」を気にする。
免許持ってれば自分が車出したっていいんだろうけど、私は免許を持ってないから、そういうわけにもいかないしね。
車にも色々ある。
軽、セダン、スポーツカー、ミニバン。
ウチの車は軽だから、私は出来れば軽じゃないのがよかった。
セダンとかミニバンとか、別に車自体に興味はないけど、普段乗れない車にちょっと乗ってみたかった。
旦那がウチのバンドに加入して、はじめての練習日。
颯爽と現れた彼が乗っていたのがプレマシー。
今でも旦那とはよく話す。
「もし旦那が乗っていたのが軽だったら、私達は結婚していなかったかもね」と。
軽よりも、セダンよりも大きくて。
丸っこくて可愛くて。
私も母も、みんながゆったり乗れる車に、もし旦那が乗っていなかったら。
きっと付き合ってもいなかったのかも。
だから“プレちゃん“はきっと、私たちのキューピッドみたいなものなのだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
そんなプレマシーにも寿命が来た。
旦那と私が出逢った時点で、13万キロも走っている子だったけれど、ついに18万キロを突破したあたりから、挙動が少しずつおかしくなった。
まず窓が開かなくなる。
そして、後ろのスライドドアがうんともすんとも言わなくなった。
サーモスタッド?が壊れて、クーラーもヒーターも、どちらも効かなくなった。
ついにはエンジンすらも、徐々にかかりにくくなってきて、プレちゃんの機嫌の悪い日はなかなか動かなくなってきてしまった。
壊れかけのプレちゃんの整備をしながら、旦那が寂しそうに呟く。
「(´・ω・`)もう、この子で遠出はできないな」
市内を走り回ることは出来るだろう。
そのへんの買い物に行ったり、旦那が通勤に使うくらいなら、まだ出来るだろう。
でも、それだけだ。
もう遠くまで遊びに行ったり、ましてやいつか産まれるかもしれない、子供を乗せて走ることは出来ない。
半年くらい2人でずっと考えて。
私と旦那は、プレちゃんとお別れすることを決意した。
プレちゃんが20万キロになる直前の話だった。
私が旦那と一緒にいるようになって、ほんの数年しか経っていないけど、当たり前だけど、その思い出の片隅には必ずプレちゃんがいた。
私がパニック障害で苦しんでいた時、毎日私を職場まで届けてくれたのはプレちゃんだった。
プレマシーの座席は広いから、辛くても後部座席で横になれた。
旦那と手作りのお弁当を持って、桜が咲く公園でデートをした日。
突然雨が降り出して、仕方なくプレちゃんの荷台でお弁当を食べた。
寒い外で食べるより楽しいかも、と。
窓から見える桜を見ながら思った。
みんなで温泉旅行に行った。
電車に乗るのは私が怖かったし嫌だったから、プレちゃんに乗って2つ隣の県まで旅行に行った。
正直車も乗るのが怖かったけど、途中、突然ナビが映らなくなって、なぜか「頑張れ!」とプレちゃんを励ますと映るようになったから、目的地に着くまでみんなで一生懸命励ましていたら、結局ずっと笑いながら旅行に行けた。
みんなで遠出した帰り道。
左側から車に追突された時も、プレちゃんは異常に強靭で、ほんの少しだけドアが凹んだくらいで、私と母を体を張って守ってくれた。
思い出は、書ききれないくらい沢山ある。
だから嫌だった、プレちゃんとお別れするのが。
コレだ、と思う車を見つけて、新しい車を買って、納車になって。
プレちゃんよりも大きいその車に乗り込む時も、ただ廃車の時を待っているプレちゃんを見ると、なんだか寂しくて心が痛んだ。
プレちゃんが廃車になる日。
私は仕事でお別れに立ち会えなかった。
朝、仕事に行く前にプレちゃんの姿を見て、私が泣きそうな顔をしていると旦那は言った。
「(´・ω・`)俺さ」
「うん」
「(´・ω・`)天国って今まで自分がすごく大切にしてきたものとか、大事にしてきたものが全部揃ってるんだってずっと信じてて」
「…うん」
「(´;ω;`)だからプレマシーも、一足先に天国の車庫にしまわれるだけだから、きっと俺たちが死んだらまた乗れるって信じてる」
「そうだね。プレちゃんはちょっと先に天国に行くだけなんだよね」
大の大人が馬鹿みたいだけど、ふたりで泣いた。
さよならじゃなくて、また会える。
死んだ後かもしれないけど、またプレちゃんに乗って、みんなで天国を走り回るんだ。
「おやすみ、プレちゃん。またね」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
我が家のリビングには、プレマシーのエンブレムが飾られている。
不器用な旦那が外す時に割れてしまったけど。
プレちゃんの前でみんなで撮った写真と一緒に。
まだまだ私と旦那が天国に行くのは先になるけど、いつかまた会えたらいいな。
そしたらまた3人でプレちゃんに乗って。
色んなところに行こう。
時々機嫌が悪くなるプレちゃんを励ましながら。
みんなで色んなところに遊びに行こう。
だからそれまで。ゆっくりおやすみ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
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