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おやすみ前の創作童話

寒さから逃れるように潜り込んだ布団の中で、息子が唐突に言う。
「僕がママにお話読んであげるね」

最近、こう切り出して桃太郎や花咲爺さんの話を暗唱してくれることが増えた。

たまに変化球で、「僕とママでお話を作ろうか」というお誘いもくる。
タイトルも登場人物も適当に決め、交互に話を繋げていくという遊び。
私が「いいよ」と言うと、息子は小さな両手で架空の本を開く。
めくるめく想像力ワールドの開幕だ。


「クラゲとエビ」

息子:昔あるところに、クラゲさんとエビさんがいました。
エビさんは小さくていつも一人でした。
クラゲさんも一人だったので一緒に遊ぶようになりました。
エビさんはいつもクラゲさんの脚に絡みついています。

私:クラゲさんとエビさんは、海の遊園地に遊びに行くことにしました。そこにはたくさんの海の仲間達が遊びに来ています。

息子:お腹が空いていたので、レストランでごちそうをいーっぱい食べました。それから大きなアイスクリームもありました。

私:その大きなアイスクリームはイチゴ味、チョコレート味、チーズケーキ味、いろんなアイスでできています。チョコレートソースやカラフルなチョコスプレーがかかっていて、とっても美味しそうです。
クラゲさんとエビさんは、大きなスプーンで大きなアイスクリームを食べ始めました。

息子:それから二人はお腹いっぱいになって眠くなったので、海のベッドで眠りました。

私:起きてみると、エビさんの姿が見当たりません。一人で出掛けてしまったのか、迷子になっているのか、心配になったクラゲさんは慌てて探しに行きました。

息子:すると、エビさんは「ここにいるよ〜」と言いました。クラゲさんの脚に隠れていたのです。

私:クラゲさんは安心しました。「エビさんはかくれんぼの名人だね。全然気付かなかったよ」と笑って言いました。

息子:それからクラゲさんとエビさんはちょっと陸に上がって恐竜に進化してみましたとさ。おーしーまい


唐突な進化論での終幕。

「キリが無いからそろそろおしまいにしようか」と私が言ったのを受けて、なんとかオチをつけたのだと思うが、その意外な着地点に笑ってしまった。
後世に残る傑作である。(過大評価)

この寝る前のやり取りが、息子の何かしらの才能や情緒を育てていると嬉しい。




ApplePencil購入資金、もしくは息子に酢だこさん太郎を買い与える資金になります。