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好きなものは好き~ハルカトミユキ~

はじめに

今日は休閑として、中学・高校生の頃に良く聞いていた『ハルカトミユキ』というアーティストについてお話ししたいと思います。

ハルカトミユキとは

ハルカトミユキとは女性2人組のアーティストです。
2012年にデビューしており、私は個人塾の先生から教えていただいたアーティストです。
アルバムのタイトルが特徴的で、印象に残っております。
例えば、
『虚言者が夜明けを告げる。僕たちが、いつまでも黙っていると思うな。』『真夜中の言葉は青い毒になり、鈍る世界にヒヤリと刺さる。』
です。中学生の私には少し、刺激的でした。私にとっては新世界です。

ドライアイス

確か、初めて聞いた曲は『ドライアイス』という曲でした。
https://youtu.be/diXr6WiXALE(歌詞:https://www.uta-net.com/song/154757/ )
ピアノと鋭いギターから始まります。
悲しげなメロディーだと直感で思いました。一方でボーカルの声が凛としていて芯のあると感じました。初めから鮮明にメロディーが聞こえていたのに、所謂サビになるともやもやとした雰囲気が伝わります。
私の経験したことがない歌詞が並んでいて、ひたすら「どういうことだろう」と考えていました。
瞼に口づけをしたって、抱きしめたって解決できない状況は、吐息の味を口移しするときの感情は何なんでしょう。
これは何度聞いても何年たっても解決していない感情もたくさんありますが、高校生の頃なんとなく共感した歌詞があります。

『ただ生きていて こんな世界に 
 今更期待などしない
 閉じ込められた果てに僕らは
 みんな壊して笑ってやるよ』

私は親の期待に閉じ込められていた感覚でした。
直接的には指示されないが、周囲の期待や願い、希望は伝わるものです。
これは生活や進路を、私の自由を閉じ込められている感覚でした。
一度、感情をうまくコントロールできずに、暴れたことがあります。物を壊しました。
わざと親の期待を裏切りました。
それでも外では優等生になりたくておとなしく静かに生きようとしていました。
このような、コントロールできなかった内界の自分と冷静に生きていたい外界の自分が同時に存在していることを自覚した時に、なんとなく、絶望と生は同時に成り立つものなんだと、成り立たせて生きていかなきゃなんだと、悲しくなりました。
その行為はとてもつらいものに思えたからです。

…上手く説明できているでしょうか。自信がありません。
それでも、私は中学時代にほんのりと感じていた感情の一部を、高校生の頃にやっと実感できたのです。
これが音楽の興味深さでしょうか。音楽の役割なのでしょうか。

ニュートンの林檎

次に印象深かった曲は『ニュートンの林檎』です。
https://youtu.be/F8RpYHfFfAw
この曲は聞いていた中学生の頃にすぐに染み込んできた曲です。

『「勝てないお前が悪い」
 「勝てない私が悪い」
 勝てないお前が悪いから
 口を揃えて言うのでしょう 上から見下ろすあの人達は
 口を揃えて言うのでしょう ただ重力に負けただけだと (中略)
 上から潰されている 理不尽なだけの日々も 勝てないお前が悪いから
 口を揃えて言うのでしょう 上から見下ろすあの人達は
 もしも私が落ちていっても ただ重力に負けただけだと 』


私は中学生の時に、地元の同級生は進学しないような高校への進学を志望しておりました。
これは私の希望でもありましたが、親の強い期待もありました。
私は小学生のころから、「(都会の地域)の子たちは〇〇という塾に通って、~ぐらい勉強しているんだ」と、都会の教育に恵まれている子たちと比較されて育ってきました
このような親の教育が最大になったのが中学生の頃でした。
県内一番の高校への進学のために、地元で1番であることは必須でした。
 都会の塾で模試を受けなければなりませんでした。
 模試で良い点を取ることは必須でした。
 ハイレベルな数学問題集をすることは必須でした。
でも、上手くいかないこともたくさんありました。
中学では総合は1番でも、ある教科では2番だったことがあります。
 模試を受けてもボロボロで、都会の子との差を見せつけられました。
 合格判定がギリギリだったこともあります。
 ハイレベル数学問題集は手も足も出ませんでした。

こんな親の期待に添わない“ダメな結果”が出る度に、私の努力よりも結果についての厳しい言葉を沢山言われました。
中学で1番は絶対よね、模試なんてみんな受けてるのよ、どうして間違ったの、こんな問題溶けるようにならないと高校入ってもやってけないぞ。
本当は少しだけでも、私の良いところもほめてほしかったのです。悪いところがポジティブに見えるほどに。こんなことは欲張りかもしれませんが。
一旦私を認めてみてほしかったです

私のこんな欲張りな感情を、贅沢かもしれない絶望を代わりに言ってくれているように感じたのが、この曲でした。
私は、中学生の頃にカラオケでこの曲を親の前で歌ったことがあります。
親はどう感じるだろう、何か感じてくれるといいなという過度な期待を以て。
結果は何も変わりませんでした。「音域がお前に合っているような曲だな」と言われただけです。

絶望ごっこ

次に思い出深いのは『絶望ごっこ』という曲です。https://youtu.be/1w4qEETOxI0
私の中学の同級生にAという子がいました。Aの父親は一緒に暮らしていませんでした。他の県で仕事をしているようで、離婚をしているのか、別居中なのかはわかりませんでした。Aは小5の頃から良く、私につらいことを話してくれるようになりました。勉強だけではなく、他の友人との人間関係、将来等です。つまり、Aは現状にも将来にも希望がない様子でした。

一方で、私はAが羨ましくありました。
Aは私が禁止されているマンガを買うことができました。
Aは私は持っていない一人部屋を持っていました。
Aは私が持っていないきらきらなシールをたくさん買ってもらうことができていました。
Aは良く都会に行くことができていました。
Aは普段は明るく友人がたくさんいように見えていました。
このように、Aのこと考えていたため、『絶望ごっこ』を聞く度に、Aを思い出していました。

『絶望ごっこしている君と それに憧れちゃった僕と
 どちらもおんなじにおいがしている
 何一つも欠けていないのに泣いている君は可哀そうだね
 愛想尽かして見放す僕も 結局ここに戻って来る (中略)
 無防備な姿でもう一度言ってみろよ 
 安全な場所でいつも守られているくせに
 さんざん嫌った後で味方になってくれよ
 今日は暖かいな、ここは平和だな』


この歌詞のように、Aは何にも欠けていないのに、私なんて…と感じていました。
しかし、中学の後半も過ぎ、Aの進路は祖父母に決められ、遠くの私立高校に進学することが決定したと知りました。
この時、はたと気付きました。絶望ごっこは私がしていたと。
守られながら縛られていると嘆き、Aを羨んでいました。
今となっては、人はないものねだりしてしまうなんて言いますが、あの頃は初めてこれを体感した出来事だったと実感しています。


vanilla

『Vanilla』https://youtu.be/vm6V4aBU_Ag という曲は最近また共感することがありました。

『間違っていた答えは間違ったままで 
 いつか普通の顔してまた次の春がくる
 数えきれないほど無くしたけれど 
 本当に欲しいものはただ一つだけだった

 死んだように冷たいキッチンの床に 
 落ちるただのごみくずを見間違えた僕は
 何をまだ待ってて思い出して 書きなぐって破り去っている?
 何を追いかけて部屋を出て また戻って繰り返している?』

私は「間違っていた答え」は「これまでの自分の失敗」と、「数えきれないほど無くしたけれど」は「自分が選ぶことができなかった(or選ばなかった)選択肢とそれに繋がっていただろう平行世界線」と捉えました。
そのため、この歌詞の前半は「失敗はずっと自分について生きていて、そんな失敗を抱えながらも“普通“に生きなけらばならない。でも、本当にかなえたいのはたった一つの自分の欲望である。」と考えています。
その後は、「無機質で無価値なものを宝ものだと勘違いして、その可能性を諦めきれずに何度も何度も挑戦しては失敗している」と今の自分を表しているように感じました。

私は最近、大きな失敗をしました。これは、約7年間も望んでいたことで、せっかくの機会があったのにも関わらず、失敗してしまいました。あの時、自分が失敗してしまったことが憎くて憎くて叫びながら、消えてしまいたいほどに絶望して、自分が無価値であると感じていました。…実は今もです。
それでも普通の顔して日々をこなしていかなきゃいけないのです
他にやることあります。一応、明日も生きなければならないような気がします。歌詞の通り、
『狂えない 狂えない 狂ってしまえない どんなに寂しくても (中略)
 壊せない 壊せない 壊してしまえない また同じ朝が来る
 許せない 許せない 許してあげたい あの頃の僕たちを』

私は失敗をしたあの日の自分をころせません。消すこともできません。
あの日の自分は今の自分と連続です。
壊せません、許してあげたいです。
こんな今の感情に寄り添ってくれるような曲だと実感しています。

さいごに

今日はハルカトミユキの沢山の曲の中からいつくか思い出深い曲についてお話しました。
興味を持って読んでいただけたなら嬉しいです。

ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
♡励みになります。ありがとうございます。

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