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夏目漱石「行人」考察(26)お貞と長野父
1、長野父もお貞が(まあまあ)好き
前の記事でもふれたように、「行人」に出てくる長野家の下女・お貞を、長野一郎は気に入っているし、二郎もからかって楽しんでる。
それに加えて、長野父(下の名は明かされていない)も、お貞のことを気に入っている。
以下論拠を述べる。
1(1)長野父がすぐにお貞・一郎を理解する
ある秋の日の、長野家の夕食、二郎がお貞をからかい、それを一郎がわざわざ直と比較してお貞を
夏目漱石「行人」考察(25)お貞は何者?
夏目漱石「行人」に出て来る長野家の下女・お貞。
「行人」は、主人公長野二郎が、お貞の結婚相手の見定め(と三沢との旅行先待ち合わせ)のために、大阪・梅田駅に下り立つ場面から始まる。
そして「行人」において、登場人物の「台詞」として最後に出て来るのは、Hの手紙における、長野一郎のお貞に関する言葉である。
(※ 著作権切れにより引用自由です。)
ちなみに「行人」は、「塵労」の第五十二章をもって終
夏目漱石「こころ」は前半が面白い(1)
言わずと知れた夏目漱石の有名作品「こころ」。
大正3年(1914年)連載の作品。
この「こころ」は、後半「下 先生と遺書」の一部が高校の教科書に掲載されており、私もそれで知りました。同じ経緯でこの作品を知った人も多いでしょう。
- 語り手の男が、「K」という友人と、「お嬢さん」という女性を取り合った。その結果、「K」は自殺してしまう。さらにはその語り手も ー
この結末に衝撃を受けた人も多いでし