旅する度に共感が増していく。
#読書の秋2020 ということで、最近活字離れ著しい筆者が唯一読み返している本をご紹介しようと思います。
*以下、だ、である口調になります。
旅ゆく前に必ず読む本。そして、読む度に共感増してゆく一冊。
「君の思いは必ず実現する」 稲盛和夫
いつから私の手元にあるのか分からない。
どうして読もうと思ったのかも覚えてない。
2010年に発行されたこの本
大学生の自分。
きっと、自分が何をしたいのかがわかる気がして、この本を読む気になったのだろう。
著書の要点
京セラの創始者、KDDIを躍進させた稲盛和夫氏
この本を読むまで、この方がそんな偉大な人だとは思いもしなかった。
著者の人生と教訓が記されたこの本。
中学受験に失敗や、家庭環境での心境の変化
社会人になってからの、会社との対立や葛藤
独立してから会社を育て上げていく日々
成功してからも、奢らず日々を創り上げる
人生の小区切りに読む
はじめに-3p-
"若い人たちに、私からぜひ伝えたいことがあります。"
この著書の一番はじめに書かれている一文だ。
初めてこの著書を読んだ時、私は若者と呼ばれる区分だった。
けれど、1回目にこの本を読んだ時は、
「へえ、苦労してるんだなあ。でも、時代も違うし、私のやりたいことがこれで見つからないしなあ。」
と言葉を受け止めずにいた自分がいた。学生だったから、社会に待ち受けるものが何かもまだ分からなかったのだろう。
そして、この頃の自分は、
「人に感謝する意味と影響」
をしっかりと感じ取ることが出来なかった。
今日1日を精一杯生きること-99p-
"若いころのわたしは、技術者として、同じ研究をするにしても、今日よりは明日、明日よりは明後日、というようにつねに創意工夫を心がけてきました。"
2回目に読んだのは、社会人をしていた20代前半
今のところ私の人生の中で一番心が荒んでいた時期。
正直、読んでも読んでも、理解はできるのに、自分の心が変われなくて、
この本を読みながら泣いていたような気がする。
そんなことを考えたって、毎日変わらない。何やってるんだろう、と自分に答えを問いかけては、答えが出ない日々。
人のせいにするのが習慣になって、自分が全てをおざなりにしていることを棚に上げていた。
そんな時期の自分には、刺さる言葉が多かった。でも、変われなかった。
「そうありたい」と思うこと-149p-
"「うそをつくな」「正直であれ」「人に迷惑をかけるな」「人には優しくせよ」"
3回目に読んだのは、会社を辞めて、オーストラリアのワーキングホリデー から一時帰国した時。
まだ、自分にうそをついていた。
オーストラリアに行きたかったのは本当。けれど、したかった仕事にも、いたかった環境にもいなかった。
結局、何やってんだろう、と思う日々を過ごした最初のシドニー生活だった。
そういう心持ちの時には、
自分に嘘をつき、
正直にしたいことが言えず、できず、
知らぬうちに人に迷惑をかけ、
人に優しくしたくなくなる。
2回目のワーキングホリデー だったが、まだまだ変われなくて、でも、異国の地に足を踏み入れたという一歩だけでも、少しずつ稲盛氏が言っていることを実践していける気がした。
第5章不運にへこたれるな-154p-
"たとえ能力が劣っていても、一生懸命に努力を重ね、人々のために何かをしたいと考える人の方が、能力に優れているものの、努力もせず、人間として誤った考え方を持った人よりずっといい結果が出ます。"
4回目、2年間のオーストラリア生活を終えて
今考えれば、わたしなりの努力の形だったのかもしれない。シドニー生活の失敗を踏まえ、もう2度と同じ間違いはしないと決めた。農場で働くときも、パースで新生活を始める時も、「英語を話せる環境」をひたすら探した。時には作り上げた。
仕事だって、「ホステルの受付をする」という目標を頑と譲らなかった。
本当に真剣に取り組むと、周りの人達の支えを実感することができ、感謝することの大切さが身にしみた。
苦しくて、もがいても、いつも話を聞いてくれる仲間と上司に恵まれた。
きっと、世の社会人や偉人に比べたら、ミジンコほどの成果かもしれない。けれど、私にとっては大きな大きな成果だった。
人生の結果は熱意と考え方で大きく違う-166p-
"「人生の結果=能力×熱意×考え方」"
そして、5回目。ニュージーランドでのワーキングホリデー を終えて、帰国した現在。
ニュージーランドで10ヶ月過ごした私の考え方は、1回目に読んだ時の私の考えとは全く違うものとなった。
考え方が変わると、世の中の見え方も変わって、出会う人々も変わる。
熱意があると、目が輝き、自分の目標に対して貪欲になれる。
能力は、過ごしていくうちに気付いていく。
自分の思いを実現する為に、
人に感謝すること
ひたむきに努力すること
そして、それを惜しまないことは、必ず自分の実になる。
それを、しっかりと理解できるようになった。
たくさんの人に会って、たくさんもがいて、苦しんで、
感謝すると良いご縁が回ってくることを、肌で実感した。
気持ちが180度変わって、やっと、私も稲盛氏の言葉を実行していると感じている。
気付かされる文章たち
神様が与えた成功と向き合う-157p-
稲盛氏の同窓会での出来事が綴られている。
優秀だったと思っていた同級生が、挫折をして改心していたというお話。
"若いときにいいことがあっても決しておごらず、また、災難や大きな挫折があっても、へこたれてはいけないのです。"
私の人生で此れ幸いと思うことは、
「大きな成功がない」という事。
勉強もせず、部活も中途半端、自信をなくす行程ばかり踏んできた自分。
けれど、出来なかったから、
出来ない人の気持ちを汲み取ることができる。
今、私はオンラインで英会話を教えている。
高校生の時の自分からしたら考えられないことだ。
馬鹿、でしたから。
初心者英会話なので、英語を話せない方と授業をする。
もし、私が何でも出来てしまう人ならば、
「何で分からないの?」と頭ごなしに否定してしまうだろう。
しかし、分からないということは、恥ずかしいことではなく、
分からないから、これからたくさん吸収できるということ。
一度興味を持てば、吸収力は無限大。
分からなければ、質問すれば良い。
頭に入ってこないのならば、違う興味に目を向ければ良い。
たくさんの選択肢を考えるようになれたのは、
自分が無知な分人と違う知識を吸収できたから。
結核にかかる-37p-
”そのときは叔父が死に、叔母が死ぬのを目の当たりにしていましたから、自分もそうなっていくのか、と不安にくれる毎日でした。”
私の生きている時代ではないお話で、共感は出来ない。結核は治癒する現代だ。しかし、幼い頃から自らも結核にかかり、死と隣りあわせの状況に合い、父親の大きな背中を見たというこのお話は、最近の出来事に関して考えさせられる事が多々ある。
今も昔も、未知の感染症に脅かされ、死を身近に感じることがあるが、それだけではない。予期せぬ者もいれば、自ら望む者もいる。
生きたくても生きられない
生きれるけど生きたくない
誰かの為に身を粉にして尽くす
誰かを思い身を滅ぼす
一つの考えでは答えが出ないものがたくさんあって、
自分の思考の範囲では理解が及ばないこともある。
病気が怖い。
その弱い心に感染してくる。
稲盛氏が伝えたい部分はきっとそちらなのだろう。
現代人の心は、もっと複雑なのかもしれない。
多様化が多様で悩ましく便利な世界を創り上げている。
創造性を大切にする-133p-
"わたしは、学校の成績の良し悪しよりも、その後の人生においては、学校で学んだ知識をいかにうまく生かしていくかという、創意工夫が大事になってくると思うのです。"
もちろん、勉強ができることは素晴らしい、できるに越したことはない。
けれど、それだけで人生が薔薇色になるのかと言えば、そうではない。
たくさんの人と出会って、たくさんの人の人生のストーリーを聞いてきた。
勉強の良し悪しではなく、
挫折を乗り越えた人達
の方が、人生への充実度が高いという印象を持っている。
挫折を乗り越えた人達にとっての、”挫折”は様々で、
受験
就職
結婚
人生観
など、多岐にわたる。
その話題に、
学力の有無は出てこない。
いかに人生を充実させているかどうかでその人の印象は変わるものだ。
たくさんの挫折の上に成功を築いた稲盛氏の「創造性を大切にする」という言葉は、とても説得力があると感じた。
読み終えて
こちらの著書をはじめは、「人生の指南本」と捉えていた。
しかし、何度も読み終えるうちに、「自分がいかに変化したか確認できる本」であると考えるようになった。
共感しなかったものが、年月と経験を重ねるうちに、これほどまでに共感するようになるのか。
そして、共感できる部分が増えるとともに、気づけば、自分もはじめの頃よりは充実した人生へと舵取りできるようになっていることに気づく。
お金持ちになったわけでも、結婚したわけでもない。
けれど、考え方が変わった今、自分の中で負の気持ちが生まれにくくなり、生きやすくなったことは確かだ。
終わりに
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
日本に帰ると、必ずこの著書をひらいてしまう。
自分を見つめ直すのに、読み直すのがこの一冊です。
最近は、一日一冊!というほどの集中力もないので、一気には読みませんが、印刷された文字を読むということは、画面を見るよりも心おだやかな時間を過ごせるのかな。と感じました。
小学生以来の読書感想文なので、書き方がわかりませんでしたが。
これが私の読書感想文でした。
ありがとうございました。
今日も良い1日になりますように。
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