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長編小説 Vaio Stera ~転生先で推し変しかけてる~ 2章#8 「お前ら牙を隠していたん回」

Cat Flying Galaxy側の一体への集中攻撃により、ねおんわーるど側はしょっぱなから苦戦を強いられていた。

「く! あんな事できるなんて!」

りゅうがやった作戦はいたってシンプル。50人とも1列でブロックを消し、そこで1人に向かって対戦型テトリスで出るブロック、お邪魔ブロックを出しまくるという作戦であった。

これが功を奏したのか、いきなりねおんわーるど側のアバターが数体脱落した。

「ふっふっふ! 事前の説明聞いてませんでしたね~~? ある程度攻撃の方向性はちゃんと指定できると!! アティクシらはゲームの腕はないので、ブレインで攻めさせていただきやす!!」

「おでゅーは、けいさんぱわー、つかう!!」

おでゅーは一列毎ではなく、3列ぐらいで消していくのを狙うスタイルにしており、その分大きなお邪魔ブロックを相手に出していた。

「ですが、その程度でXesyさんは止められません! Xesyさん、やっちゃってください」

「もうやってる」

ここで、Xesyからは普段とは違う声が出る。

「あれ、これ。落とす。あれ。これ。次。取っとく。次。ここで4列。3列。溜める。お邪魔ブロック。消す。あのアバターは落ちた。次」

「ヤバい……もう、あのXesyさんになってやがりますか!!」

「おでゅー、まけない!!」

ここでXesyは轟く。

「テメェら全員皮はいだらああああああああああああああああああああああ!!!」

Xesyの声量に、レンは体を傾ける。

「ちょっとXesyさん、声大きい!!」

「おらああああああああああ! 4連! 3連! 2! 3! 4! 溜める! 次! ここに攻撃!! そこの獣畜生くたばれええええええええええええええええ!!!!」

「もおー、耳が痛いです!!」

レンはXesyの声量に耳をふさぎたくなるも、自分にもお邪魔ブロックが来ているため手が離せなかった。

次々とやられる、Cat Flying Galaxy側のアバター軍団。Xesyの猛攻の手が、りゅうにも及ぼうとしていた。

「どんどんお邪魔ブロックが……! 流石にやってくれる!! 狙いをXesyさんに定めてくだしい!!」

「遅いわボケナスウウウウウウウウウウウ!!!」

「おでゅーさん! 任務発令!! 計算機能を3段階まで上昇させてください!!」

「任務を受理。システムを3rdフェイズ解放。只今より対Xesy用テトリス戦闘プロトコルを開始。全体消失戦術を開始」

ここで、おでゅーの目の色が変わる。おでゅーの様子が先程とは全く変わり、まるで機械のような存在と化していく。

「10列チャージ。4,3,4、3,消失。10列チャージ。3,4,3,3,4,消失。ターゲット、Xesyへ攻撃を続行」

おでゅーはテトリスにて纏め消しを行う。圧倒的な消し数でXesyに、規模で攻め立てていく。

「ぐうううううううううううう!! 邪魔過ぎる!!!」

「Xesyさん! 耐えてください! みなさん! 一列消しで対応を!! おでゅーさんを攻めてください!!」

「無駄よ! アティクシだけでいきませえ!」

(やばい! このままだと負けちゃう!!)

Cat Flying Galaxy側の圧倒的な攻めに敗北の危機感を覚えるレン。ここで、レンはある決断をする。

「エネルギーを使って加速します! いざ、宇宙浩りゅう! 覚悟!!」

レンは左手のWorld Makerを解放し、自身のエネルギーを左手と右手に宿す。そこで、レンのプレイの早さが加速していく。

「流石に来るか!! 残り少ないけど、皆さんXesyさんへ集中攻撃だ!!」

「4列! 4列! 4列! 4列! この数の消し数ならいける!!」

「ああ! やばい!! せめてXesyさんだけでも!!」

「甘いわあああああああああああ!!」

Xesyは、目に火をともし、最後のプレイの加速を試みる。

「この縦ぼおおおおおおおおおおお!!!」

「あ、ああ、だめええ!!」

「とったあああああああああああ!!」

宇宙浩りゅうのテトリスの画面が、ブロック一杯になり、宇宙浩りゅうの敗北が決まる。

だが、それでおでゅーの攻撃が止まるわけではなかった。

「ターゲットへ攻撃。4,4,4,4,4,4,4,4,4」

「流石に、きびしいか……」

Xesyのテトリス画面が、ブロックで埋まり、Xesyの敗北が決まる。

だが、残り少ない人数のアバターとレンは諦めてはいなかった。

「負けませんよおでゅーさん!! エネルギー倍増!! うわああああああああああ!!!」

「ブロック増大加速、敗北まであと2列」

ここで、一列消しをしていたアバターの一体の攻撃が、おでゅーを襲う。

「敗北。戦闘任務を終了いたします」

「倒せた、けど、私もやられた……」

レン、おでゅー、同時にノックアウト。

ここでCat Flying Galaxy側のアバターは3体。ねおんわーるどのアバターは。

1体だった。

残ったアバターは攻撃をいなす事ができず、敗北が決まってしまった。

「でも、楽しかったね~……!!」

「くやしい、けど良かったです……!」

「やったじぇ~……勝負に負けて試合に勝った……おでゅーさんに感謝~~~」

「おでゅー……やれた……?」

お互いのチームは満足感に浸り、そのままゲーム筐体へ突っ伏していた。

〇ー〇ー〇

その後、ねおんわーるどとCat Flying Galaxyは、飲み会ができる場所、居酒屋に来ていた。

コラボ配信の音頭を取ったのは、None Lose Dayだった。

「みんな、お疲れ~!! さあ飲みましょ飲みましょ!!」

(Xesyさんがいるとはいえ、何か女子の飲み会に来た感じになっている!?)

創田は、周りが女性ばかりな為、緊張せざるを得なかった。

「うっ……ううっ……おのれフェニおね……フェニカスうううううううううううううう……次はやる時は……首をおおおおお……ぐびぐび」

「それにしてもフィンさん飲みまくっていません?」

「フィンは結構爆食なのよね。その割にはスタイル良いのよねー。ああ許せねぇ~」

「ノンちゃんもアタシもスタイル維持には気を付けてるもんね!」

「ちょっと止めてよ親方~~~」

アハハハハハと笑う、フェニとNone Lose Day。

「ふへへへへ、もっとちこう寄らぬかプロデューサー、ほうれほうれ~~~」

「ちょっとXesyさん、近い……!!」

「そうですよXesyさん、プロデューサー少し嫌がってますので」

アルコールを取っているからか、Xesyから創田への距離が近くなっている。やんわりとレンには助けてもらているも、その度にXesyが近寄ってきている。

(あと、胸が近い!!)

いくらXesyがバ美肉とはいえ、その姿は美女な為、創田はどぎまぎせざるを得なかった。

創田はこの時、もう少しVirtual Battle Royaleの話になるかと思ったが、その話になる事はなく、何でもない話が続いた。

「おおう、結人くん、ぜっちゃんの胸はアタシのもんだからさわんじゃねぇよてやんでぇ!!」

「え~~~~!? 毎度言ってるけど、女の子でも触らせるもんじゃないからね~~!!」

「あ~~~~ん? おめぇは毎度の事思うけどもっと触らせろや~~~~!!」

「ノンちゃ~ん、助けてぇ~~~~」

「酔っ払いが酔っ払いに絡まれてるから見てて面白い」

「ふふふ、たしかにー」

「そうっすね~、二人とも割と飲んべえっすからね~」

「ううう、もっと飲ませてプロデューじゃああああああ、もっと、飲むううううう」

「すいやせん、吐かれたら困るんで水で」

「うえええん、水じゃ、酔えないいいいいい、お酒えええええええ」

「おでゅー、みずだせる」

「そうじゃないわよ!!」

あははははは、と笑う女性陣。

創田はこの時こう思っていた。

あんなに争う事が決まっているのに、どうしてここまで仲が良いのだろうと。

まるで世界がどうとか嘘みたいだと。この後実はもっと仲良くなってそこで、更に交流を深めるものかと。

だけど、この人達の笑顔を見たら。

何でもやれそうな気がした。

この時創田の中に、今までとは違う何かができつつあった。

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