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短歌連作『モノクローム・ワンダーランド』
光源が近くて僕は白くなる 消えちゃう前に影は濃くなる
ここでは血も泥も黒い。君は僕の手を取るそこにインクが溜まる
コマ割りの外を僕らは歩けない(トーンの掠れで視界は滲む)
顔のない彼を知りたいけれどまだ薄くて掴むことすらできない
ケント紙に広がるここが全てだといつから思い込んでいたのか
劈いた尖った声が刺さり抜けないままここへきたんだ、褒めて
7巻で僕の人生は終わった あなたがいたから
短歌連作『連続した私と途切れた毎日』
目を瞑る瞼の裏に星屑が見えたらあなたを迎え入れる
夢の中「入ってますか」ノック音は逆再生で返ってきた
カーテンに透けた陽射しのやさしさは誰かに似てる思い出せない
ゆっくりと目をあけてほら、あさがきたおもい身体もあいしてあげて
寝坊して始まる今日も正常に過ぎてくれるの願うばかりだ
乾いてる肌をなぞった指先は未来を見てからシーツに落ちる
目覚めから完璧だった幼き日々を引きずって、20数年
短歌連作『再燃するゴミ』
1引いて私が消えたらどうします? 有りえなくもないでしょうから
金髪の彼がいくつも立っていて、祈りというのかはたまた呪いか
推しはクズまたは浪費家、嘘つきで結婚できないから大好き
毎日の投稿チェックにいそしめど付かず離れず、心臓を渡す
好きだったそれは事実であり嘘で二度と私に姿を見せるな
連作を読んでいただきありがとうございます。
記事を読んでいただけたら、いいねを押してくださると、と
短歌連作『裸体の春』
「過ごしやすい天気ですね」そうですね、あなたがいないともっと良いです
間違えてすこし根気を見せたときやっぱりやめておけばよかった
染み込んだ憂いの香りに騙されて愛してくれよと裸で迫る
「エモいって言葉で片付けないでくれ」片付けてない、散らかってるの
誤嚥した小さなイチゴのビーズたち君の唾液で美しく見えた
首にあるしこりが膨らむ夢を見てああ、また生き延びたのか、私
大胆な軌道に見惚れて立