短歌 009

おにぎりの撫でまわしたいさんかくは
愛なんて言葉でも足りない

突き抜けて障子の向こう壁は見た
迫るスーパーボールの青色

おにぎりのなりそこないをかき込んで
ため息ひとつ米粒ふたつ

眩しくもないし胸は張り裂けない
声を枯らせど分からない 恋

いっせーのせーで死のうよ私たち
アニメの最終回になろう

変わり身の術であたしの歯並びを
よくして頂戴、あの子のように

これは夢、私のことを知らないと
傷口がぐずぐず深くなる

満ちる春膨張する夏避ける秋
包み込む冬さようなら春

木漏れ日が私の網膜を撫でて
まだら模様が寂しく揺れる

そこの君、俺を殺してくれないか
外には雨が降っているから

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