UXリサーチャーの独り言/もりみ

東京在住のUXデザイナー。 守備範囲は、UXデザインプロジェクト設計からUXリサーチ・…

UXリサーチャーの独り言/もりみ

東京在住のUXデザイナー。 守備範囲は、UXデザインプロジェクト設計からUXリサーチ・UX&UIデザインまで、というオールラウンダー型。HCD専門家。noteでは、職種関係なく、同じようにジタバタしている人たちのヒントになればいいなぁと思ったことを書いています。

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上位下位関係分析でつまずきがちなポイントと対処法

ユーザー調査の分析・モデリング手法はいろいろありますが、今回は、上位下位関係分析について書いていこうと思います。 1.上位下位関係分析とは上位下位関係分析とは、グループインタビューデータの分析手法として考案されたもので、主に下記3つのニーズの階層に分かれます。(必ずしも3つでなくても良い。) Beニーズ:ユーザーの本質的ニーズ。「〜になりたい。」 Doニーズ:ユーザーの行為目標。「(Beニーズを実現するために)〜したい。」 Haveニーズ:ユーザーの事象。「(Doニー

    • デザイナーが構造化シナリオ法を使う上での注意点

      noteをサボっていた(?)間、自社の中堅以上のデザイナー向けに、少人数制のUXデザインの12回連続講座を開催しました。やっていく中で、記録として残しておいた方が良いなと思ったことの第2弾として、今回は、構造化シナリオ法でデザイナーさんたちが引っかかっていたところと注意点を記載します。 1.そもそも、構造化シナリオ法とは構造化シナリオ法は、丸善出版から出ている「EXPERIENCE VISION」という書籍の中で、ビジョン提案型デザイン手法のフレームワークとして紹介されてい

      • Zoomを使ったユーザー評価の機材セッティング

        こんにちは。久方ぶりの投稿です。noteをサボっていた(?)間、自社の中堅以上のデザイナー向けに、少人数制のUXデザインの12回連続講座を開催しました。やっていく中で、いくつか記録として残しておいた方が良いなと思ったことがあったので、今年度内に、それをnoteに書いていきたいなと思っています。 第1弾として、Zoomを使ったユーザー評価の機材のセッティングについて書いて行こうと思います。 1.使いどころ専用の機材をリッチに使える現場であれば良いですが、なかなかそういった現

        • UXデザインを要求整理・要件定義へ落とし込む②

          「UXデザインを要求整理・要件定義へ落とし込む①」の続きです。 5.デザイン要件とシステム要件 「要件定義」と聞くと、「システム要件定義」のイメージが強いかと思いますが、実際には、デザイン要件も存在します。 「デザイン」というと、本来の意味の「設計」ではなく、見た目を整える「ビジュアルデザイン」のイメージを持っている方がまだまだいらっしゃるように思います。 要求整理の後に要件定義が、その後に設計が来るわけですが、「デザイン=見た目を整える」というイメージが強いメンバーが

        上位下位関係分析でつまずきがちなポイントと対処法

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        • UX Design まとめ
          3本

        記事

          UXデザインを要求整理・要件定義へ落とし込む①

          開発の現場でUXデザインを実施する上で、気をつけたいのが、デザインしたユーザー体験を、プロダクトまできちんと反映させることです。 エンジニアがUXデザインを行なっている、あるいは、企画のフェーズから並走してくれていれば、プロダクトへ落とし込むことは比較的容易です。 しかし、企画職やデザイナー職、リサーチャーなどの非エンジニア職のみでUXデザインフェーズを行う場合、ユーザー要求をシステム要求へ繋ぎ、システム要件定義ができるようにしなければなりません。 1.連携を分断する組

          UXデザインを要求整理・要件定義へ落とし込む①

          KJ法とKA法の特性と使い分け

          今回は、有名な定性分析2種の私なりに考える特性と使い分けの話をしたいと思います。 1.KJ法とはKJ法とは、文化人類学者の川喜田二郎氏がデータをまとめるために考案した手法です。集まった膨大なデータをカードに記述し、カードをグループごとにまとめて、図解し、文章にまとめていくもので、汎用的な分析・モデリング手法として使われています。オフラインでの分析では、付箋を使ってカードを作成します。 付箋に書くのは、1枚につき、ひとつのデータだけです。複数書いてしまうと、まとめていく最中

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          アンケートでインサイトはみつからない?ユーザーインタビューとアンケートの違いについて

          以前、調査の話をしていて、「なんだか話が噛み合わないなぁ」と思ったら、相手の方がインタビューとアンケートがごっちゃになっていた、ということがあったので、今回はこの2つの調査手法の違いをお話しようと思います。 1.ユーザーインタビュー調査とアンケート調査の違いユーザーインタビューは定性調査(質的調査)、アンケートは定量調査(量的調査)にあたります。 「アンケートでも、質的な質問ができるので、定性調査じゃないの?」という方がたまにいらっしゃいますが、たとえ質的な設問があっても

          アンケートでインサイトはみつからない?ユーザーインタビューとアンケートの違いについて

          Webサイト運用でのユーザビリティテスト(ユーザーテスト)の進め方

          「ユーザビリティテスト(ユーザーテスト)をやってみよう」と思った時の、進め方の一例を今日は書いていこうと思います。 ちなみに「ユーザーテスト」という言葉は、ユーザーさんをテストするように聞こえ、「私が、テストされている!失敗しないようにしなきゃ」と、テストに参加してくれるユーザーさんに無用な緊張を与えてしまうことがあります。また、印象もあまり良くないので、私はふだんは「ユーザーテスト」という言葉はあまり使わないようにしています。 今回はユーザーさんにユーザビリティを評価し

          Webサイト運用でのユーザビリティテスト(ユーザーテスト)の進め方

          UXデザインと相性のいい現場・悪い現場

          ユーザーに使ってもらうもの・手にとってもらうものをつくる上で、重要で、有効なことも多いUXデザインですが、現場の状況によっては、使わない方が良いことがあります。 1.相性のいい現場いくつかの現場を経験してきて、下記4項目が当てはまる現場は、UXデザインと相性がいいな、と思っています。 ①ユーザーについて知ろうという意欲が強い ②メンバー全員で対話をしながら進められるまとまった時間をある程度取る事ができる。 ③社内政治に左右されない ④企画やプロジェクトの初期段階であり、結

          UXデザインと相性のいい現場・悪い現場

          UXデザインを習ったけれど、実務でうまく使えない理由

          UXデザインを習ったはいいけれど、いざ実務で活用しようと思った際に、うまくつなげられず、「???」となった経験のある方が、一定数いらっしゃるのではないでしょうか?(私も通った道です。) 今回は、そのあたりのお話を書こうと思います。 1.授業と授業の間の"忘却" 原因のひとつとして考えられるのは、"授業"の構造上発生する、"忘却"が原因のケースです。 単発で手法を学ぶならいざ知らず、UXデザインのひとつのプロジェクトを授業や講座で学ぼうとすると、どうしても複数日に跨がる

          UXデザインを習ったけれど、実務でうまく使えない理由

          UXデザイナーあるある。実務未経験者の最初の壁

          実務未経験者がUXデザインを自分のメインの仕事としてやっていこうと思った時に、一番大きく立ちはだかる壁が、「UXデザインをきちんと行える現場にまず入ること」です。 すでにUXデザインを回せている会社で、チームの一員として学びに行っている方は、すでにルートができているので、当て嵌まらないと思いますが、そうではない場合、最初にぶち当たることの多い壁です。 先達が現場に居ない場合、チームメンバーへ教えることを含めた組織導入からがんばらないといけません。ひょっとすると、その手前の

          UXデザイナーあるある。実務未経験者の最初の壁

          UXデザインとUIデザインのつなぎ目

          こんにちは。 今日は、UXデザインの勉強あるあるの、「UXデザインは勉強した!……で?どうUIとつなげるの?」問題について触れたいと思います。 1. UXデザインとUIデザインの境界UIデザインは、UXデザインの一部なので、「UXデザインとUIデザインのつなぎ目」というのは、厳密に言うと、正しい言葉ではないです。 ただ、UXデザイナーとUIデザイナーの職域で、担当者や担当チームが変わるケースがけっこうあるので、今回の記事では、便宜上、UXデザイナーが担当するデザインを「U

          UXデザインとUIデザインのつなぎ目

          「UXデザイン」とは言うけれど、具体的になにをデザインしているのか

          「UXデザインってなにをすればいいと思いますか?」 初学者向けの勉強会で、こんな質問をすると「UI?」「カスタマージャーニーマップとかペルソナ をつくること?」「ユーザーテスト?」なんて回答が、疑問符付きで返って来て、最終的に「なにをするとUXデザインをやったことになるんですか?」と言う質問が出てきたりします。 今日はそのあたりのお話をしようと思います。 1.「UXデザイン」と聞いて、思い浮かぶのは?「UXデザインと聞いて思い浮かぶものはなんでしょうか?」こういう質問をし

          「UXデザイン」とは言うけれど、具体的になにをデザインしているのか

          つくらない職種の人ほど、目的より機能の話をしたがる現象について

          先日、アプリ開発の現場で、エンジニアさんと「原因はなんでしょうねー」と、ちょっぴり盛り上がった「つくらない職種の人ほど、なぜか目的より機能の話をしたがる」現象についてを、今日は書きたいと思います。 1.現場あるある 「で、その機能をつける目的は?」私は、UXデザインを生業としているので、新規サービスの開発や、既存サービスの見直しつつのリニューアルやら機能追加やらのお仕事をする機会が多いのですが、いろいろな職種が関わってひとつのサービスを作ろうとすると、こんな現象をしばしば目

          つくらない職種の人ほど、目的より機能の話をしたがる現象について

          ここが違うよ、紙のデザインとアプリデザイン

          こんにちは。 上流から下流まで、ワイドレンジなUXデザイナーを目指しているもりみです。 さて、今日は紙のデザイナーさんが、アプリデザインをする時に気をつけた方が良いと思ったことを書きたいと思います。 1.書体にこりすぎない 美しい書体を使っているデザインや、文字組みが美しいものを見ると、うっとりしますよね。とってもわかります、その気持ち。 私も「フォントが●●%OFF!!」なんて見かけると、衝動買いをしたくなりますし、Macを使っていると、Windowsにない美しい書体

          ここが違うよ、紙のデザインとアプリデザイン

          有名なわりに、なにを書いていいか迷う「ペルソナ」について

          こんにちは。 UXデザインの手法やらツールやらいろいろある中でも、特に有名なペルソナ ですが、実は、ペルソナになにを書いたらいいか知られていないんじゃないのかという疑惑を最近持ち始めたので、今日は「こんな内容を書くんだよー」というお話をしたいと思います。 ペルソナは、UXデザインのフローの中では、調査・分析の次、ユーザーモデリングというフェーズで作成します。 作成と言っても、0からつくるのではなく、前のフェーズである、調査・分析の結果から、人軸で価値やら利用文脈やらをま

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