UXデザイナーあるある。実務未経験者の最初の壁
実務未経験者がUXデザインを自分のメインの仕事としてやっていこうと思った時に、一番大きく立ちはだかる壁が、「UXデザインをきちんと行える現場にまず入ること」です。
すでにUXデザインを回せている会社で、チームの一員として学びに行っている方は、すでにルートができているので、当て嵌まらないと思いますが、そうではない場合、最初にぶち当たることの多い壁です。
先達が現場に居ない場合、チームメンバーへ教えることを含めた組織導入からがんばらないといけません。ひょっとすると、その手前の「必要性を理解してもらうこと」から入らないといけないかもしれません。まわりを見ていても、このあたりで苦労している人がちょいちょいいます。
逆に言うと、経験者のニーズは高いので、この最初のハードルさえ超えてしまえば、あとはよっぽどのことがない限り順調に進めるかなと思います。(少なくとも私はそうでした。)
今回は、そんな壁にぶち当たった時に、個人的に比較的進みやすそうだなぁと思っているルートを3つ書きたいと思います。
1.Web業界で、実務未経験者がUXデザイナーになるのに比較的進みやすいルート 其の一
ひとつ目は、"体制の整っている現場へ異動・転職をする"です。
これは職種関係なく使える手段です。私は派遣形態で働いているので、異動や転職ではありませんでしたが、UXデザイン専門のチームに派遣先が変わったという点ではここのカテゴリーに入ります。
体制ができていて、先達がいる現場に入ることができれば、コンスタントに仕事ができますし、実務ベースでのノウハウがあるので、その分スムーズに経験を積むことができます。
ただし、転職の場合、採用されないリスクがあったり、フタを開けてみたら実情が違った、なんて場合もありますので、慎重に進める必要があります。
2.Web業界で、実務未経験者がUXデザイナーになるのに比較的進みやすいルート 其の二
ふたつ目は、"Webデザイナーであれば、UIデザイナーをまずは目指す"です。
これは、条件さえ合致すれば、スムーズなパターンかなと思います。
「UI/UX」という言葉が一般化しているので、仕事の枠も多いです。(個人的には「UI/UX」という言葉は違和感の塊ではありますが。)
ただし、UIとUXの違いを企業側が理解しておらず、「UI/UX」と書いているけれど、UXデザインなしの"ただのアプリデザイナー"だった、という場合もありますし、逆に、UXデザイナーとUIデザイナーの仕事領域をすべて網羅していることを求められるケースもあるようなので、自分のスキルセットの棚卸しと可視化が重要になってくるのかなと思います。
3.Web業界で、実務未経験者がUXデザイナーになるのに比較的進みやすいルート 其の三
三つ目は、"UXリサーチャーをまずは目指す"です。
ノンデザイナーの場合、この3つ目でスタートを考えるのが進みやすいかなと思います。
UXデザインのフローには、ユーザー調査や評価など、調査スキルを使うフェーズが必ずあります。UXデザインと聞いて、ユーザーインタビューや、ユーザーテストを連想する方も多いので、UIデザイナーと違い「フタを開けてみたら普通のデザイン業務」ということが起こりづらい職種かなと感じています。
加えて、リサーチのノウハウが社内になく、調査会社に外注するという方針の会社がありますが、社内に"UXリサーチャー"がいれば、予算を抑えつつ小さくたくさん回すことができる、という会社側の旨味もありますので、任せてもらいやすいという利点もあります。
また、UXデザインの最初のフローは、ユーザー調査・分析です。ユーザー体験をデザインするためのインプットとして、まずはユーザーの利用状況と要求を知ることから始まります。ユーザー調査で失敗すると、後の工程のすべてがコケることになります。それくらい重要です。"UXリサーチャー"になるということは、この重要なフェーズを自分で回せる人になるということ。UXデザイナーとして食べていく上で、大切なスキルセットになると思います。
私は、Webデザイナー → Webディレクター → UXリサーチャー → UXデザイナーの順でジョブチェンジをしていっていますが、リサーチャーから入ったことで、財産になった知識や経験がたくさんあったと感じています。
4.最後に
ここまでいろいろと書いてきましたが、あくまでも、UXデザインは手段のひとつ、「UXデザイナーになる」というのは、「UXデザインというスキルセットを持って仕事をする」ということで、そこがゴールではありません。
キャリアアップの魔法の飛び道具になるわけでもないですし、自力で使いこなせなければ、ただの”知識”で終わってしまいます。
UXデザインもログ解析のように、いつかは「当たり前品質」になる日が来ると、個人的には思います。UXデザインは学ばなければいけないことが多い分、使いこなせるレベルまで学ぶこと・経験すること自体が、将来のための一番の糧になるのではないかなと思います。