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アンケートでインサイトはみつからない?ユーザーインタビューとアンケートの違いについて

以前、調査の話をしていて、「なんだか話が噛み合わないなぁ」と思ったら、相手の方がインタビューとアンケートがごっちゃになっていた、ということがあったので、今回はこの2つの調査手法の違いをお話しようと思います。

1.ユーザーインタビュー調査とアンケート調査の違い

ユーザーインタビューは定性調査(質的調査)、アンケートは定量調査(量的調査)にあたります。

「アンケートでも、質的な質問ができるので、定性調査じゃないの?」という方がたまにいらっしゃいますが、たとえ質的な設問があってもアンケートは定量調査にあたります。

なぜかというと、アンケートは、調査実施者が用意した設問に対して回答をしていくので、調査実施者が用意した回答以外のものはあまり拾うことができないという特性があります。

アンケートでも、自由記述などを使用すれば、調査実施者が想定しない回答を書く事も可能ではありますが、どの程度書いてもらえるかはハンドリングができませんし、一方通行のツールですので、深掘りができません。「そこを、もっと詳しく!!」と思っても、アンケート回答フォーム(または用紙)に既に書かれている以上のことを知る事はできません。

そのため、「なぜそういった行動を取ったのか」「どんなことが影響していそうか」といった、"Why"の部分を探るのは、アンケートは向いていないのです。

対して、ユーザーインタビューは、対面にしろ、オンラインにしろ、電話にしろ、対話をしながら進めて行きますので、深掘りするべきと思ったら、その場で深掘りをする事ができます。

加えて、対話で深掘りしていくことで、それまで意識に上らなかったことに気付くことができたり、関連性が見えてきたりします。これらがインサイトにつながっていきます。

インサイトは、すでに意識されているものや言語化されているものではありません。洞察し、発見していくものです。

たまに、「ユーザーインサイトを得るために、アンケートを実施しましょう」という話が出ることがありますが、こういった調査手法の特性の違いがありますので、私はいつも「インサイトは、アンケートでは見つかりません。」と答えています。

2.それぞれの使いどころ

インタビューのデメリットは手間がかかることです。

対話をするためには、どうしても双方のスケジュールを合わせなければなりません。

インタビューは、ユーザーの利用文脈や、行動と考え方・背景などとの関係性、心理構想などを知る事には長けていますが、「それが当てはまる人が何人いるのか」「ビジネスとして成り立つだけの母数が市場に存在するのか」などを、効率的に調べる事には向いていません。

対してアンケートは、アンケートフォームをひとつ作って配信・回収すればできますから、かんたんに、たくさんの人に回答してもらうことができます。そういった調査には、アンケートは向いています。

サービスやプロダクトを一から考える際、ユーザーインタビューとアンケート、それぞれの特色を活かして使うのであれば、初めにユーザーインタビューを行ってインサイトを見つけ、その後にアンケート調査を使って、当てはまる「量」を調べる、という進め方が良いかと思います。

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