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戯言

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日々の言葉たち
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眠るということ

眠るということ

私には日常の中で誰もがする行動のひとつにとても恐怖心を抱いている。

それはタイトルにあるように、「眠る」という行為である。

このまま目を閉じて夢の中に溶けたとして、明日目が覚める保証はどこにあるのだろう。
今日会えた人やここ最近会えてない人に会えるのだろうか。
一度手放した意識は、また私の元に帰ってきてくれるのだろうか。
明日また恋人と話せるだろうか。
また人の温もりを感じられるのだろうか。

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皮肉を込めて「ありがとう」

皮肉を込めて「ありがとう」

私はよく冬の始まりから冬の終わりにかけて恋をしていた。冬は人肌恋しくなるとはよく言ったもので、私はまんまと冬に当てられていた。
今思えばどうでもよかった気がするような男の人に恋をして、痛いほど振り回され、涙に抱きしめられていた。

だからか今みたいな冬の匂いを連れた夜を見つけると、彼らの記憶が蘇ってしまって何とも言えないような切なさを感じる。
きっとそれがなくても冬に向かう夜は寂しく切ないのだけど

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こんな夜は何をしようか。

こんな夜は何をしようか。

夜は冷たく寂しい。

この頃空気が冷たくなって白い息も覗き始めた。煙草を吸う彼に、「煙が残ってるのか白い息なのかわかんないね」なんて話して白い息を吐いて見せたのを思い出す。

私はこの時期の冷たい夜を好いていて少し嫌っている。
心が萎む。涙が溢れる日も少なくはない。
それが心地いいのか憂鬱なのかはまだわからない。

恋人がいても暖かいご飯を食べて温かいお風呂に浸かっても満たされない心があるのは事実

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音の記憶

音の記憶

音にはありふれた力があると私は信じている。

私は幼い頃から音楽を愛していた。音楽があることで心が穏やかになり豊かになる。

父が愛した音楽。少し離れた場所にいる母が愛した音楽。姉が愛した音楽。祖父母が戦後に愛した音楽。

誰かしらひとつは愛した音楽があるはずで、例え愛していないとしても心に刻まれた音楽はその人を時折救ってみたりするのだ。
音楽はみんなを虜にする最強の存在である。

車を持つように

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届かない言葉たち

届かない言葉たち

私は最近遺書と呼ばれるものを書いている。

特別何かあったわけでも、こんな世界クソ喰らえだと感じたわけでもない。でも、ふと明日死ぬかもしれないなと感じたのだ。

もし私が明日死んだら、
私の想いはどこに消えるのだろう。
きっと消えきれずにこの世を彷徨ってしまう。
「お化けだ!」とひとびとを怖がらせてしまう。そんなの御免だ。
だから私は文字に残すことにしたのだ。

とりあえず書こうとした時に思い浮か

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