インストラクショナルデザイン学習記録⑪


学習記録①から⑩のまとめです。
鈴木克明先生著の「教材設計マニュアル:独学を支援するために」を中心にインストラクショナルデザイン(ID)の学習をしようと思います。
数学は独学で学べる部分が多いので、教材の力だけでどこまでできるのか知りたいと思ったからです。また、youtubeを活用した動画教材の開発をしており、そのクオリティを上げるためにIDの勉強が不可欠だと思ったので、今回の学習にいたりました。
また、このnoteは「教材設計マニュアル」をまさに独学で学習した際のレポートでもあります。引用はありますが、ほとんどすべて自分のことばでまとめていきます。
【感想】は最後に。それ以外は、私のための学習記録です。

この記事は教材を設計するとき、授業を設計するときに特に重要な要素をまとめていきます。

【重要事項①ゴール設定】

教える、という行為を行うときゴールを設定しましょう。教材を作る、授業を行う、数学の問題を教えるなどどのような「教える」行為にもゴールが重要です。ゴール設定をする理由は「学習者を迷わせない」ためです。

【学習者を迷わせない】
学習者がなにか新しい情報を得るとき、頭の中はまっさらな状態です。一度でも学習したことがある内容であれば、頭の中でガイドラインができ、「あぁ、あのとき勉強したやつね」となります。
しかし、初学者にはそのようなガイドラインがありません。そして、初学者は「この新しい内容は、最終的にどこにつながっているのか」がまったくわかりません。
よって、最終到達地点、つまりゴールを明確に設定することが重要です。
ゴール設定があいまいだと、「この情報は本当に、最終到達地点に向かうために必要なことなんだろうか??」と考え、迷ってしまいます。
ゴールが明確であれば、「この情報はゴールにつながっている」、「この情報はゴールにあまりつながっていない」という判断を自然と行え、ストレスや迷いがなく学習をすすめることができます。

【重要事項②スタートの明確化】

ゴール設定と同時に「スタート」を明確にしましょう。
たとえば、「東大合格!」というゴールを設定しても、すべての学習者が学習をすすめられるわけではありません。「東大合格!」のための講座を受講できるのは、一定の条件を満たした人だけです。その講座に基礎知識がない人が参加すると、効率のよい学習は不可能です。
ここでいう「一定の条件」というのがスタートラインです。
このスタートラインに立てたもののみ、この教材を使える、とかこの授業をうけられる、という設定が必要です。スタートラインに立っていない人を学習に参加させると、非効率的な学習になってしまいます。

【重要事項③授業や教材の責任範囲を明確化】

「教える」という行為の中には、責任範囲の明確化が重要です。たとえば、教師が一生懸命教えたのに学習者の成績が低い場合、だれがいけないのでしょうか?責任範囲を明確にしておかないと、「教師のせい」だったり、「学習者のせい」だったりしてしまいます。
教授設計の中では、教材や授業はすべて綿密に設計したいという意図があるので、学習者の成績が低い場合、「教師のせい」ということになります。
しかし現実には、状況によっては生徒の努力が足りなかったから、とか生徒のスキルが低すぎた、と言ってしまいそうな場面もあります。

そこで、「責任範囲の明確化」が重要になります。
責任範囲を決めるポイントは「スタートライン」にあります。つまり、「この授業を受けた場合、三角関数をマスターできます。ただし、一定の条件を満たしたもののみ授業をうけることができます」ということを明らかにするのです。
ある適度の条件(スタートライン)をクリアしていないのに「三角関数」の授業を行ってはいけません。一定の条件を満たしたもののみ、「三角関数」の授業に進めることは教師の責務です。ここで、スタートラインを満たしていない学習者については、「責任範囲外」ということになり、三角関数の授業を進めてはいけないことになります。

一方で、「スタートライン」を満たしていない学習者が、無理に三角関数を学習するとストレスを抱えますし、内容を理解できない可能性も高まります。
よって、「責任範囲外」の学習者に学習させることは、教師にも学習者にもデメリットである、ということです。

さらに、無事に「スタートライン」にたてた学習者に関しては、教師がすべての責任をもって内容を身につけさせなければいけません。この状況は「責任範囲の中にある」と言うことができます。

【重要事項④:チャンク】

授業や教材の中で、新しい内容を説明し、それを身に着けるための練習をして確認する一連のかたまりをチャンクといいます。授業設計者はこのチャンクの区切り目を適切に設定しましょう。また、1つのチャンクに要する時間(説明、練習、復習、確認)は1時間以内にしましょう。この1時間を超える場合、学習者にとって情報量が多すぎるということになります。また、情報量が多いことで非効率的な学習になってしまいます。
一度に説明するのに時間がかかりすぎるものや、分かりづらくなってしまうものはチャンクを分けて設計しましょう。






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