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短編小説

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短編現代SF小説「ワクチンバッジ」①

短編現代SF小説「ワクチンバッジ」①

人間を最も殺しているのは蚊なのだそう。

血を吸うついでに、マラリア・デング熱・黄熱病というオマケ付きで。
その数年間725,000人。
(ビルゲイツのgatesnotes.com参照)

ちなみに第2位は人間。人間が人間を殺している数が続く。年間約475,000人。
そして西暦20xx年。ついにそのデータが覆される時代がやってきた。

『私はワクチンを打ちましたマーク』を、
スーツの襟や、シャツ

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短編現代SF小説「ワクチンバッジ」③

短編現代SF小説「ワクチンバッジ」③

前回②からの続き。

ちなみに大国同士の争いの影響で、特定のSNSはある大国内では使えない。政治的な理由で。
しかし10億人以上の人口を有するその国でもとんでもない数字が生まれていることだろう。
もはやその国の中で発生している数字に関しては確認することができない。
いや、もとい、このSNS時代、いかに隠し通そうとも、スマホを持つ人間は誰しもスパイになり得る。本気で見つけ出そうと思えば、そこまで手間

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短編現代SF小説「ワクチンバッジ」②

短編現代SF小説「ワクチンバッジ」②

前回からの続き。

晒し首にされる人物の、正に首から上の顔写真だ。
どこにでもいるスーツ姿の一般人男性の姿が映し出される。

確実に恣意的な意図を持って、画面に映る写真以外の背景は排気ガスを彷仏させるどす黒い黒のグラデーションがウネウネと動いている。まるでその写真から悪いウィルスが放出されているかのような見事な演出エフェクト。
ここに国民の仮想敵、いや真の悪役が誕生した瞬間だ。

この日のこのワイ

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短編SF小説「エノトノム」後編(完結)

短編SF小説「エノトノム」後編(完結)

中編からの続き。

この星の各人種には、地球の人間と同じく、目があり、各人種毎に特徴的な髪もあり、その容姿は個体毎に多様である。その点においては人間と同じと言える。

地球と同じく国の概念があることも確認されている。文明が発達するにつれて物資を巡るための争いはどうやら少なからず存在はしているようだ。それにこの星だけが唯一神から贔屓されているかのような恩恵を受けているわけではなさそうなことも分かった

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短編SF小説「エノトノム」中編

短編SF小説「エノトノム」中編

前編からの続き。

他のロエイと呼ばれる人種の地域は、この星の経済の中心地域となっている。人口も上位部類。

前述の人種2つと比べた際の身体的特徴としては、平均的に身長は低め、老いが見た目に現れにくい傾向、平ための横顔輪郭。筋肉は他社と比べて若干付きにくいが、時代を経て技術力・科学力でその差分は日に日に縮まってきている様子も見受けられる。

他種を凌ぐ身体能力を元来有するクッラブの一方、ロエイは手

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短編SF小説「エノトノム」 - 前編

短編SF小説「エノトノム」 - 前編

遠い遠い宇宙の彼方の先に。まるでパラレルワールドに迷い込んだかのように、地球と瓜二つの、ある星があった。
そこでは人間…とはそこでは呼ばれていないが、人間のような生命体が、地上に文明を築いていた。そしてその生命体にも人種が存在していた。

その星の言語ではトイワホと呼ばれている人種は、
身体的には、すらりと長い足、どの人種よりも立派に前に突き出た大きい鼻、強靭な骨格と筋肉を比較的有しやすい。子供の

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