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【短編】間違いだらけ
「俺たち男はみんな変態だから」というきみの不適切な発言を赦すことはできない。変態なのは常にきみひとりだけであって、きみを除くすべての男性はきみより上品で聡明だ。きみは事あるごとに、巨乳は美しい、貧乳は麗しいなどと、くだらない戯言を口から発射させることに勤しんでいるようだが、きみのように「エロは世界を平和へ導く」と本気で思い込んでいる能天気屋の珍妙な幸福論は聞くに堪えず、ただ虚しいだけだ。
きみがあんまり白痴めいた言動を繰り返すものだから、ぼくはきみが女房からも娼婦からも誰からも相手にされず、ついに破れかぶれになって拗らせてしまったのではないかと心痛し、憐れみの感情を抱くほかにないのだ。荒唐無稽と笑うやもしれない。侮るなとの怒りがあるやもしれない。しかし、ぼくはきみの反論なんて、いかなるものも受け付けたくはない。なぜならきみは変態だからだ。すべてが泥沼であり、なにもかもが脂まみれであり、爽快感など一切存在しない。
ぼくはぼくの一生を賭けて、きみという人間そのものを根本的に否定したい。それはきみのことを軽蔑しているからでも、理解できないからでもない。ただぼくの考える理想的な男性像をきみに押し付けたいだけだ。理想的な男性像には、清らかな精神が不可欠である。清らかな精神とはつまり、ぼくのこの無垢な純心にほかならない。朝から晩までネットフリックス三昧、酒飲んで豆腐食ってnoteにログインして、こんなわけのわからないことをひたすら書き綴ってる、腐れアンポンタンとして切磋琢磨するぼくのこの澄み渡った純心こそが、きみを正しい紳士の道へと導くのである。
ぼくの意図ははたしてきみに伝わっているだろうか。ぼくの思惑を、きみは読み解くことができるだろうか。
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