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外山滋比古「思考の整理学」「読みの整理学」レビュー

noteの他の方の記事を読みつつ、ふと外山滋比古先生のエッセイの内容が頭に浮かんだので、あれはどの本だったのだろうか?と思いつつ検索していたら、2ヵ月半前に亡くなられたというのを知った。96歳だったそうでご長寿だと思うのだけれども、それでもものすごく残念に思っていたりする。

外山滋比古先生の文章を始めて読んだのは中学生のころの長文読解の練習問題だったと思う。その後、塾の先生におもしろいからと言って借りたのも外山滋比古だった。全てを網羅しているわけではないのだけれども、私が持っている数冊の中からどれか1冊といわれたら、やっぱり「思考の整理学」か「読みの整理学」だろうなと。一番良いというよりも、外山先生1冊目の本としていいだろうなと思っていたりする。

この2冊、ほぼ話の方向性は同じなのですよ。

ただ、違いといえば、

思考の整理学は、アイデアを練ろうとしている人向け。

読みの整理学は、これから何かを学ぼうとしている人向け。

読みの整理学が紙の本しかないのは本当に残念だけれども。

1980年代に書かれた本なのだけれども、今時の内容の薄い自己啓発とビジネスの間のような本の中にはキャッチーなタイトルをつけているけれども、この2冊の中からアイデアを丸パクリじゃないのか?と思ってしまうものなんていうのもあって、とりあえず2冊とも読んでおくだけでそういった本を読まなくて済むといういう点では、両方読んでおくと良いと思うのです。(実際にあったのですよ。なんとなくタイトルに惹かれて中身も見ずに買ってしまったらなんか知ってる内容だな?と思ったら、この本で既に読んだことある内容だったとか。ただ外山先生の本は基本的にエッセイで1項目数ページなため、具体例とかがたくさん必要な場合はそういった本を読むのも良いと思う。)

外山先生のすごいなと思うところは、最近ネットでみたぞと思うような、「新しそうな発想や用語」でも既にこの本の中で語られていたりするのです。私自身カタカナの横文字が覚えられなさすぎる問題を抱えているのですが、別のところでみた例えば「セレンディピティ」というワード。「偶然によって、もともとの目的とは違う新しい発見があること」を指すワードのようなのだけれども、恥ずかしながらたまたま読み返したら既にこの本で語られていたとか割とあるのですよ。

ちなみにセレンディピティの元ネタとなっているであろう話を書籍化したのがこちら。読んでみたところ、現代言われている「セレンディピティ」とはちょっと違うというか、意味が変わってしまったのかな?なんて思う部分もあるのだけれども、千夜一夜物語のような話で楽しく読めました。

出てくるテクノロジー的なものや物価はは1980年代だなと思ったりするわけなのだけれども、インターネットどころか、携帯電話なんてほとんどの人がもたないような時代に書かれたにも関わらずどれだけ先見の明があったのだろうかと思うほどにカビの生えたようなアイデアなどがものすごく少ないところでさすがとしか言いようがなく、先にも書いた通り未だにキャッチーなタイトルをつけた、オマージュ本が発行されていることからも、今でも全然「アリ」なことが書いてあるということなのだと思う。もちろん、普段の読書量が多い人であれば、既に知っていることの方が多いかもしれないし確認のような感じになってしまうと思うのだけれども。そう言った意味では、学生さんであったり、読書を日頃してない人がこれから何か読もうと思う時にまず1冊目に読む本として良いのではないかなと思う。

この記事を書くにあたって、ペラペラと何ページか開いては読んでいると巧みな言い回しの日本語を書かれていて、私ももっとちゃんとした文章をかかねばなんて思ったりするのでした。



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