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【読書感想文】生きる強さと正直さと

西加奈子『白いしるし』を読んだ。

暴走する電車に、どうにかこうにか必死につかまって読了した、という感じがした。

主人公の女性は、猛烈ガール。

恋をして、恋に破れて、また恋をする、らしいのだが、それがもう大型台風のような激しさ。本人も体力の消耗が激しすぎるので、「もう恋はしない」と言って、物語は始まる。

その1回1回が、濃いらしい。

濃すぎるようだ。

でもまた、この物語で主人公は1人のひとに恋をする。

なんだかもう、命懸け。

全身全霊をかけて恋をする。

恋愛小説は、島本理生さん、金原ひとみさんをよく読んできた。

私は、恋愛とは、粘着質で、ドロっとしていて、静かに狂っているようなものと思っていただけに、まるでエネルギーの塊、泣き叫ぶ赤ちゃんみたいな西加奈子さんの恋愛観は、新鮮で、強烈だった。

色んな恋模様があるのだなあと、滑らかな大阪弁に引き込まれて、読み終わった。

主人公が足の爪を、自分の歯で噛みちぎるシーンがある。

痛いよね、痛いよね。絶対それ痛いやつ! なんの拷問なの?! と思った。

でも、恋愛の痛みと比べたら、どっちがどうと言えない、分からなくなるほどの、痛みなんだろう、か。

わ、わ、分からない。

生きることにも、恋愛にも真正面からぶつかっていくし、欲にも正直で、嘘がない。

自分が醜いとか、計算ずくで卑怯だと、主人公が自分について言うシーンがあるけど、でもその醜さも計算も、手に入れたいもの、望んでいるものにストレートで、嘘がなくて、ド直球に向かっていて、清々しい。

生きている姿が弾丸のようで、私が心配することじゃないけど、こういう人を短命と呼ぶのではないだろうかと、勝手に思った(注 : 主人公が死ぬ描写はひとつもありません)。

暴走する恋心について行くしかない主人公の体と、読者。

読み終わって、放心。

【今日の英作文】
結局、自分を幸せにするのは自分なのです。
After all, who makes you happy is yourself.

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