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漆器の洗い方

漆器は、水かぬるま湯で、食器用中性洗剤で、柔らかいスポンジで、洗おう。

古文の授業が30年後に役に立った話

4月中旬のお茶のお稽古で出されたお菓子の銘は「みやこどり」でした。
なぜか。

4月中旬から5月にかけて、かきつばたの花が咲きます。
根津美術館では、毎年この時期、尾形光琳の「燕子花図」が公開され、庭園では燕子花が咲いています。
この「燕子花図」は、平安時代の『伊勢物語』の「東下り」のエピソードがテーマ。『伊勢物語』の主人公は歌人在原業平がモデルと言われています。
そのエピソードの和歌がこちらで、

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浮きたちて むせる桜の 夜の海
げにふるさとに まさりたるなり

丸く見ゆ 文様のごとく 梅の花

闇の夜の 匂ひたつのが 沈丁花

東京へ来て、海の色も空の景色も松江より綺麗だと思ったことはない。ただ、むせるように咲く桜は東京の方が見事だ。

世阿弥によると、美とは、咲いては散りゆく花に感動するように、珍しいなあ、面白いなあと思うことらしい。そうすると、作品を買うということは、それに感動して手元におくことなのかな。逆に、作品を売るとは、手元におきたくなるほどの感動を与えることなのかな。

漆塗り教室を始めて10年

 漆塗り教室を始めて10年。毎年100人に1日体験や教室で漆塗りに親しんでもらえば、10年で1,000人。1,000人になったら漆の認知も少し変わるのかなと思ったが、実際は1,000人では大して変わらない。

 それでも、漆の新規愛好家を増やす努力をあきらめてはいけない。なぜなら新規を獲得しなければ、自然減していくだけだから。これだけ漆器に触れる機会のない生活では自然増はありえないから。

 新規

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「漆器の価格の差は何なんですか?何十万円のものも100円のものもある。」とたまに聞かれる。まずは、真行草の差、とお答えしている。

器はファッションだ。一つあるからといって、もういらないわけではない。なぜなら毎日、一日に何回も目にふれるものだから、気になって当然なのである。

対面販売の感覚値。商品1/3、ディスプレイ1/3、接客1/3。

人間は進化していない。進化したのは科学技術。先達の作品群をみて思う。

文化は時代に咲く花。その時代の土壌から咲く。ゆえにその時代とは切り離せない花。文花。文華。

ものを売るとはどういうことか。ものを買うとはどういうことか。心が動いたときに引き寄せられる。郷愁、ときめき。