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白黒写真とカラー写真の選び方。

こんにちは。

近頃、身体の不調に危機感を感じているもう直ぐ30代の一般男子です。

特に胃の調子が悪くて、胃カメラを受けようか検討中です。

ヘッダーの写真は二十歳前後の頃にインドのニューデリーで撮った写真なんですが、新型コロナウィルスのおかげで海外旅行に行けないのが寂しいですね〜。


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今行ったとしても、この胃の調子でインドの脂っこい食事は厳しいかも知れませんが…。笑

自分の写真への考え方を記録しておく意味も含めて一生懸命に文章を書かせてもらっていますが、文章を書くのに慣れていないので、読みづらいところがありましたら、すみません。

これまで色々な写真作品に触れてきて、自分でも写真を撮る中で思ったことをベースに白黒写真とカラー写真の選び方について軽く考えてみたいと思います。

別の記事でちょろっと書いてはみたものの、凄く適当だったのと、言いたいことが前のめりになり過ぎてめっちゃ読み辛かったので、重複する部分はありますが落ち着いて書いていきます。

写真は、

記号的な要素(何が写ってますか?)と、

画像的な要素(どのように写されてますか?)ってのがあると思うんですけど、

今回は画像的な要素、「どんな風に写すか」で印象が変わるという話ですね。


「折角カラーで写真が撮れるのに何故、色の無い白黒写真にするの…?」


と、疑問に思った事のある方も少なくないのではないでしょうか?

多くの人の視覚には色がついている映像が見えていると思います。

そして、色が視覚から得られる情報として非常に重要な役割を持っていることは周知の事実でしょう。

白黒写真というものは、折角の色の情報が失われた映像なのです。(当たり前や)

しかし、写真集や展示などで写真作品を見たり、写真論を読む中で、写真作家が意図して白黒写真を選択していることが多いということも実態としてあります。

まだ上手く引用が出来ないので、実際の作品を例に説明は出来ませんが、自分の写真を使って説明して行きたいと思います。


白黒写真である必要性① 「被写体の質感を強調したい」

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ここに美味しそうな冷やし中華の写真があります。

この写真を、

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このようにレタッチしてみます。

コントラストの高い、6×6フォーマット風(スクエア)の白黒写真です。

意図して色を抜いてみました。

全く美味しそうではありません。笑

美味しそうな冷やし中華の写真にしたいなら失敗写真ですね。

元写真から「色」という情報を引き算して、少しクローズアップすることで、

比較するとトマトやモヤシの形状や表面の濡れた質感が強調されて見えませんか?

勘のいい人はこのような効果的な操作を無意識で選択することができますが、普段、無意識で行っている方法論を意識してみる事で、自分の理想の写真へ還元できると考えています。

僕が元写真を言葉で説明するなら、「私が見た、美味しそうな冷やし中華の写真」と説明しますが、レタッチ後の写真を説明する時は異なる説明が必要だと思います。

ちなみに、この簡単なレタッチも方法論に則っています。

● 何故、6×6フォーマットにしたか。(6×6フォーマットを使用する。)
→物語性や、一人称視点のような印象を排除し、意識をフレームの中に向ける為。

● 何故、色を抜いて白黒写真にしたか。(白黒写真にする。)
→被写体の形状・質感を強調する為。

● 何故、コントラストとシャープネスを上げたか(コントラストとシャープネスは必要に応じて高く設定する。)
→被写体の形状・質感を強調する為。

● 何故、クローズアップ気味にトリミングしたか(望遠レンズ、マクロレンズを使用する)
→見せたい部分をより見やすくする為。

※ストロボを焚くという方法でも同じような効果が期待できますが、その場の光も同時に失うので使用する場面を選びます。

という感じで、まぁ、理由があるのです。

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このような効果を利用した有名な作品は幾つもありますが、

アラーキーこと荒木経惟さんが、食べ物をクローズアップで撮影して質感を強調し、エロティックな印象の写真を多く撮影しています。

質感や形状を強調する方法論を考える中で、写真家の築地仁さんの作品が6×6フォーマットの白黒写真で都市の中に見る光景をグラフィカルに切り取っているので、参考になると思います。

気になる方は探してみて下さい。


白黒写真である必要性② 「まとまりをつくる」

2013 New Delhi - INDIA

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複数枚の写真を「白黒の映像」という共通項でまとまり良く
見せてくれる効果もあるように思えます。


カラー写真についての説明 「ちょっとだけ写真史」

写真の歴史は19世紀(1800年代)から始まります。

写真という技術が産まれた当初は白黒の写真しか撮れませんでした。

し・か・も、今では当たり前のようにカラー写真が使われ、写真作家のオリジナルプリントが美術品として取引されますが、1970年代に入るまでカラー写真は芸術品として認められていませんでした。

当時のカラー写真のプリントが保存性に対する懸念があったというのも大きいとは思いますが、カラー写真より白黒写真の方が芸術性が高いとされていたんですね。

60年代から70年代にかけてカラー写真を使って作品作る作家は居たものの、世の中に認知されるまでには至りませんでした。

きっかけとなったのは、1976年にMoMA(ニューヨーク近代美術館)でジョン・シャーカフスキーというキュレーター(学芸員)によるウィリアム・エグルストンの写真展、“William Eggleston's Guide”が高く評価され、更に80年代に入りアメリカの写真評論家でキュレーターとしても名高いサリー・オークレアがカラー写真の作品を纏めた写真展 “The New Color Photography” (1981) を企画し、その写真集を販売した事で一気にカラー写真の地位が確立されました。

The New Color Photography で出展した作家の中で重要なのは、

★William Eggleston ウィリアム・エグルストン
アメリカ南部のメンフィスの広大な綿花畑の跡取りでリッチメン。
ライカを何台も所有し作品も135mmのフィルムで撮影されています。
何気ないメンフィスの街並みや人々をストリートスナップ形式で撮影されたものが多いです。
また、ダイ・トランスファープリントの名手としても名高いです。

・Stephen Shore スティーブン・ショア
8×10というB5くらいのシート状の大きなフィルムと大判カメラを使い、
アメリカの風景や人々の営みの痕跡を精密に描写した作風で有名です。

・Joel Meyerowitz ジョエル・マイロウィッツ
・Joel Sternfeld ジョエル・スタンフィールド

…長くなるので気になる方はお調べ下さい。笑

この辺りですかね、めっちゃおすすめなんでカラー写真がお好きな方は彼らの写真は必見です。(サンプル無くてごめんなさい、ググればいっぱい出てきます。)

ニューカラーの写真(というかこの時代のプリント?)は兎に角、美しいです。

当時はダイ・トランスファープリントという特殊なインクを用いたプリントが用いられていました。

フィルムから版を起こし多重刷りをするのでそのプリントの技術は非常に難しく、且つインクがとても有害な為、環境問題により90年代には姿を消しました。

今では美術館でしかお目にかかることは難しいですが、会えたらラッキー★的なものです。

あとフォーマットの関係もあるかも知れませんが、ニューカラーの写真はお洒落!

極めて個人的な意見なんですけど、ニューカラーの作品は、お洒落さん必見の、まさに家に飾りたいカラー写真ですし、写真集も大きなものが多いのでインテリアに向いています。

カラー写真の説明長過ぎますね、すみません。

でも写真好きにとってはかなり重要なところなのと、白黒写真に無い魅力もちゃんとあるので、ザックリでも知っておいて損はないです。

白黒写真である必要性③ 「まとめ

絶対にフィルムでないといけないという理由が無いように、白黒写真でないといけないという訳ではありません。

カラー写真のままで質感や形状を表現し、成功している作品も沢山あるように見受けられます。

ここで紹介したいのはあくまでも表現方法の一部、数ある方法論の一部に過ぎないのです。

まとめという事で、白黒だからこその効果と、あと
他に白黒写真と付き合う中で感じたことです。


・被写体の質感(ディティール)や形状を強調する。

・色による印象に引っ張られない。

・光の具合、陰影の形をも強調される。

・肉眼から得る映像とは違う為、写真ならではの映像世界になる。

・その場の状況、行為などが強調される。

・白黒写真の粒状性により被写体の立体感も強調される。

・かっこいい

・白黒のバライタ印画紙の保存性には信用に足る歴史がある。


写真作品のコンセプト、写真から得られる情報のどこを大切にし、何を伝えたいのかによって機材の選び方や撮影方法が異なるという事を意識することにより、自分が好きな写真、本当に撮りたい写真へ近づける可能性があるんじゃ無いかな〜?と思ったのでそれをお伝えできればいいなーって考えました。

食べ物の好みがあるように、同じものを見ても人によって印象が異なる可能性なんてざらにあるので、自分の考えに応じてカラーか白黒かを選択しましょう。

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※この夕焼けの写真が白黒だったら、その場の僕が感じた印象を記録できていないことになるので、カラーにしました。

とはいえ、なんとなくカッコいいから!ってのも全然アリだしそんなの最高です。

白黒写真であることや、フィルムであることが撮る理由になり、シャッターを押し続けるモチベーションになるなら素晴らしいことだと思います。

僕が白黒で撮りたいと考える時、そこにある根拠を一部、

ご紹介させていただきました。

こんな感じでそのうちレンズの画角についてもお話ししたいなと、考えています。

ズームレンズを使っていると意識しないことも多いけれど、画角が異なると写真から得る印象はガラッと変わります。

説明的で客観的な映像になるか、一人称視点のような主観的な映像になるか、

強い印象になるか、弱い印象になるか・・・そんな違いがあります。

お付き合いありがとうございました。

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