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言葉の海、表情の空。

言葉の海にのまれる。

「本物を知ってたらニセモノはすぐ分かるって、本当のことだね。無理しなくていいよ。」
優しさか、皮肉か。"ニセモノ"は絶対にいつか淘汰されていくから安心しているけど、ニセモノがニセモノと気付いていないとき、それって本当にニセモノなのかな。

「好きとか嫌いの話じゃないから。」
私の好きもあんたの好きも世界には何の影響もないこと知ってる。だから目に見える真実を言ってるだけ。
"真実を言ってるだけ。"
でも、真実が一つだっていつ教わったっけ。

「別にあの人のこと嫌いじゃないよ。」
それって好きなのか、嫌いですらないのか。



………

分かっていると思いながら、字面や声だけじゃ分からないことが沢山ある。

本人ですら分からないことが、沢山ある。

………

人が表現しようとして作り上げた姿の、端っこに溢れ出るものばかりを考えている。
もともとあるもの、溢れ出るもの、それが本当のことだと。
調べて探して見つけて作って、大きなものを作り上げた人間の、自然のままの姿を垣間見たとき、それが一番美しいと、どうしても思う。
かっこいいあの人のかっこわるい部分、舐められがちなあの人の才能、完璧に見えたあの人の愚かな部分、良いことばかり言うあの人がこぼした嫌な話。
空の、雲の隙間から溢れる一瞬の光だ。
気付いていながら一生懸命に生きるその姿も好きだけど、かっこわるいところ見せてくれてありがとう。苦手なこと話してくれてありがとう。そんな表情に助けられている。

気付いているのは自分自身だけでいい。自分が苦しいと思うこと、悲しいと思うこと、心が砕けていく感覚、何も考えられないがらんどうな脳みそ、どうでもいいことでも自分だけが分かっていたらいい。
もう無理なことも、生きられないと感じてることも、分かっていたら十分。自分だけが、自分が生きていることを分かっていればいい。
泣いてもいいけど、泣かなくていい。
いつでも死ねるなら、いつ死ぬか分からないなら、醜い全ては美しいんだから。
"みんな"とか知らないけど、"みんなそうだ"と思う。
だいすきなあの人も、ゆるせないあいつも、頑張り屋のヒーローも、伝説の歌手も、母さんも、先生も、実はみんな人間だ。みんなもともと、矛盾だらけの人間だ。



読んでくださりありがとう。
高校生の頃から愛してやまない山口百恵さんの、私が一番好きな曲を共有します。夜のヒットスタジオ引退スペシャル、21歳の百恵ちゃんです。

This is my trial  私のゴールは
数えきれない人達の胸じゃない

This is my trial / 山口百恵 /詞・曲 谷村新司

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