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宛先のない手紙 vol.2

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ほぼわたしの考えを垂れ流すエッセイのようなもの。その2。
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2020年7月の記事一覧

ままならなさを、「仕方ない」と生きていく

ままならなさを、「仕方ない」と生きていく

この世には、ままならないことが多い。ひとりきりで生きているわけではないのだから当然であり、そもそも自然の前では誰しも無力だ。かくいうわたしも、最近は湿度や気圧に大いに振り回されている。もうすぐ暑さもやってくる。お手柔らかにお願いしたいものです、本当に。

そんな大きな事象以外にも、ままならないことはたくさんある。突き詰めていけば、この世に生まれてきたこともままなっていない。縁あってある日ある場所に

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庭先BBQへの羨望、驚く妻

庭先BBQへの羨望、驚く妻

近所の戸建てに住む家族は、時々ガレージスペースを利用してBBQを楽しんでいる。最近わたしと夫が買い物帰りに車で通りかかったときも、恐らくその晩にやるのであろうBBQの用意を一家の父親が進めていた。

「またBBQやるんかな」
「せやろな」
「ええよな。家の前でBBQとか、気軽にできて」

「ええよな」と反応した夫に、正直驚いた。

「え、『ええよな』とか思うんや」
「え、よくない? 自分の家やと炭

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【日常スケッチ】7月21日23時、自宅にて

【日常スケッチ】7月21日23時、自宅にて

今週は明日が終われば連休になってしまうらしい。びっくり。子どもと夫は「あと1日!」と喜び勇んでいる。わたしは、「そうかそうか、良かったねー」と応える。そうかー、もう週末かー。

連休というよりも、本来は夏休みが始まる時期なのだ。わたしの住む自治体では、小学生の夏休みは8月上旬の2週間に短縮された。あとは、年間通じて何日間か土曜の午前授業が追加されている。平日の時間割は例年通りだから、その点はまだよ

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シンプルに、嬉しかったんです

「この子は、『ぶたき』なんですって言っといたよ」

と聞いたのは、確か小4の頃だった。「ぶたき」とは、「豚もおだてりゃ木に登る」の略だという。言ったのは親だ。当時、習っていたピアノとエレクトーンの先生に伝えた言葉だった。

先生はハチャメチャに厳しい人だった。怖かった。今はどうかわからないけれど、当時のピアノの先生は「穏やかでやさしい楽しく弾こうねタイプ」と「とんでもなく怖くて厳しい鬼タイプ」とに

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理性で濾過したくない愛を叫べよ

こう、ぐわあっと胸をわしづかみにされるというか、胸どころか心臓を握られているような感覚というか、布団に突っ伏してじたばたせずにはいられない衝動というか、それら押し寄せる波を我慢した結果ただ惚けた自分しか残らなくなってしまった、みたいな、そんな事態に陥ることがちょくちょくある。

端的に言えば「好き」。それだけだ。

「どこが」とか「何が」とか、説明しようとすればできなくはないのだけれど、言葉に当て

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怖さと甘さと成長と

感情を割り切ったり切り分けたりするのが苦手だ。特に恐怖心に関してはちょっと弱っちすぎるだろうと思うほどで、「怖い」と感じてしまうと、あからさまにその後の言動やパフォーマンスに影響が生じる。生まれ持った性質に加え、育った環境によるところも大きいのだろう。怒鳴られては委縮して、言い分を何も言えなくなる子どもだった。

自覚している以上に根が深いのかもしれないと気付いたのは、それがたとえ笑い声であったと

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わたしの幸い

七月に入り、早くも一週間が経過した。このところ、天気はずっと不安定だ。今日も仕事部屋の窓から見える景色は、曇天と雨天とを繰り返している。いま住んでいる場所からはそもそも臨むことができないのだけれど、遠くに見える山々は、今日みたいな天気だと雨にけぶってしまっていただろう。実家から見える山を、ぼうっと眺めているのが好きだった。

そんな天気次第で明瞭に見えたり霞んでしまったりする景色と同じように、わた

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