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分断された市民が、国を超えて武器を送り合う未来 #ウクライナ #NGO

今回のウクライナ危機発生から5か月が経った。約410万人が国外に避難、約710万人が国内避難、1,300万人は戦闘が今もなお激しい地域で、避難ができない状況に置かれている(UNHCR, IOM)。一般市民の死者数は、先週までに判明しているだけで約5,100人とされているが、実数は、はるかに上回る可能性が高い(UN-OCHA)。

これに対して、世界の人道団体がウクライナ及び周辺国で活動しているのだが、日本のNGOをみてみると、20弱の数の団体が、食糧・生活必需品の提供、医療、子どもの保護等の分野で活動し、これまでの支出額は5億円、年内に15~20億円といったところだろうか。

終結の糸口がますます見えなくなっていくウクライナ情勢。戦争被害者に、「今、最も必要なものは何か」と聞くと、おそらく多くの人々は、「戦争を終わらせるための武器」と回答するだろう。一方、人道団体からすれば、「武器を供与することなどありえない」という立場を崩すことはない。「私たちは『中立』を保たなければいけない」「私たちの役割は、物資や医療を届けること」「戦闘を助長することはできない」と。また、その背後にいる多くの寄付者も、今のところ自分の寄付が武器に使われることなど望んでいない。

根本的な問題である戦争が終わらない限り、空腹に苦しみ、爆撃で治療を必要とする人々の数は、そして遺体の数は、永遠に増え続ける。しかし、世界中から集まった寄付は、戦争被害者の苦痛を軽減できるが、今すぐ直接的に戦争を終わらせることはできない。ここに人道団体や一般市民、最大の葛藤がある。

一刻も早い戦争の終結を願う一般市民は何をすればいいのか。寄付か、ボランティアか、デモなのか。それとも何か他のものなのか。国際協力NGOは、市民から寄付を集め、物資を提供するに留まらず、その難解な問いに対する答えを、世界の一般市民とともに希望を持って探し続けるスペースになることが求められている。

このままでは、5か月前に生まれた戦争に対する大きな怒りや悲しみ、平和への渇望が、最終的に絶望や失望、無力感に変わり、世界を覆ってしまう気がしてならない。絶望の果ては、世界中の分断された市民が、国を超えて武器を送り合う未来だろうか。そんな未来は見たくない。

PS.日本政府として正式に戦争当事国の一方を非難し、他方を支持している中、その日本政府の資金をもとに、日本政府事業の一環としてウクライナで活動することが日本NGOの「中立性の原則」を脅かしていないのか。この点もまた、いつの日か検証されるべきであろう。(9.11以降のアフガンとかも同様に。)

#ウクライナ #NGO #外務省 #ODA #ボランティア #平和 #紛争 #戦争 #ボランティア #国際協力 #分断 #武器輸出 #国連 #中立性  #SDGsへの向き合い方


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