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パーソンズ美術大学留学記(完)

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パーソンズ美術大学・Transdisciplinary Designでの学びについて書いた記事です。2021年9月から23年5月までほぼ毎週連載していました。
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#学問への愛を語ろう

パーソンズ美術大学留学記シーズン3 Week10 #256

暑くもなく寒くもなく、秋らしい一週間でした。道端には落ち葉が溢れていて、ブロワーで掃除をする人を近所でよく見かけます。どの授業も約6週間後に控えた最終発表に向けて忙しくなってきていて、そろそろこの留学記の更新が怪しくなってくる頃でもあります。 Professional Communication今週は、これまでに作ったポスターを誰かと交換して、そのポスターを編集・再構築するという課題でした。これまでと違って自分で内容のアイデアを考えなくていいという点では楽ですが、すでに完成

パーソンズ美術大学留学記シーズン3 Week9 #254

今週はハロウィンウィーク。店内や広告もハロウィン一色です。特に私はハロウィンらしいイベントには参加せず平常運転なので、いつもと変わらない一週間ではありましたが。 Professional Communication今回は、先生と1on1で20分ほど話す機会がありました。テーマは何でもいいということだったので、先生が禅(曹洞宗)の実践者でいらっしゃることもあり、「禅や仏教の教えをどうやってデザインに落とし込むのか?」について話しました。 たとえば、資本主義では人間が欲望(ニ

パーソンズ美術大学留学記シーズン3 Week8 #251

学期末に向けてのグループワークが始まる授業が多く、授業外でのミーティングも増えてきました。「とりあえず集まろう」とか「みんなの進捗を発表し合おう」などの機会が増えて、一人で考えたり作業したりする時間が減るのが今の悩み。 Superstudio今週からは学期末の最終発表に向けてmicrostudioと呼ばれる実践形式のスタイルに入ります。授業では、今学期の残りのスケジュール等の確認と現時点での最終発表に向けての各グループのアイデアを共有しました。ここではデザインプロセスについ

パーソンズ美術大学留学記シーズン3 Week7 #248

季節の変わり目だからか、体調を崩す人を見かけるようになっています。そういう私も風邪気味で過ごす一週間でした(検査したら某流行り病ではなかったのが不幸中の幸い)。 Superstudio今週から"microstudio"という今学期の後半パートが始まり、以降の授業では3or4人のグループに分かれて各グループが興味のあるトピックについて取り組むことになります。今回はそのグループ分けをする時間でした。 とはいっても、今後の授業がどのような流れで進むのか、最終発表はどのような形式

パーソンズ美術大学留学記シーズン3 Week6 #247

まだ10月に入ったばかりなのに、手袋なしでは手がかじかむほど寒い日もありました。ダウンジャケットを着ている人もちらほら。ニューヨークの冬はもうすぐそこかもしれません。 Superstudioまずは、Transdisciplinary Designらしさについての講義から。ここではコンサルティングのように「相手は困っていて自分たちが答えを知っている」と自他を区別をするスタイルは推奨しないとのこと。これまでの対話(Narratives)を重視するという姿勢からは納得のアドバイス

パーソンズ美術大学留学記シーズン3 Week5 #244

外出時にヒートテックを着たり自宅のセントラルヒーティングが稼働したりと、そろそろ寒さに備える時期になってきました。近所のスーパーではハロウィンの飾り付けがすでに始まり、10月を先取りしてます。 Superstudio今週は「デザインとは何か?」をあらためて考える機会になりました。デザインの定義は多様で曖昧で、時代や場所、人によって異なります。定義の曖昧さゆえにデザインがわかりにくい概念になっている一方で、曖昧であるがゆえに多様なジャンルとの相性が良いのでしょう。「デザインと

パーソンズ美術大学留学記シーズン3 Week3 #236

9月も中旬に入って家では冷房をつけなくても過ごせるようになり、秋が近づいているのを感じます。相変わらず学校は冷房がフルパワーで作動していて寒いので、羽織ものが必需品というTipsを後に入学する人のために書いておきます。 SuperstudioTransdisciplinary Design秋学期のメインとも言える授業が今週から始まりました。一年生と二年生が一緒に受ける唯一の授業でもあります。この授業でどんなことを教わるのかというと、私にもまだわかりません。どうやら去年のフォ

パーソンズ美術大学留学記シーズン3 Week2 #234

Week2に入り、ほとんどの授業の初回が終わりました。まだ一週間の過ごし方のルーティンが定まらず、「今の時間は何をするべきか?」と考え続けています。Week3が過ぎれば全ての授業を一通り受け終わって、どの授業の課題をいつするのかのペースが掴めるはず。 Professional Communication「Professional Communication」という授業では、主に卒業後の進路に備えるために、自分の活動を他人にどうやって伝えるのかを考えていきます。 特にTran

パーソンズ美術大学留学記シーズン3 Week1 #232

パーソンズ美術大学・Transdisciplinary Designでの学びと生活を綴る「パーソンズ美術大学留学記」もシーズン3(2022 Fall編)に突入します。フライング気味にWeek0と初日についてはすでに記事にしていますが、今回から正式に始まります。 Week1は「TD Convening」という集中講義週間でした。この一週間はTransdisciplinary Designの考え方に慣れていくために、常勤の教授陣だけでなく卒業生やゲスト講師を招き、多様な人の活動

パーソンズ美術大学留学記シーズン3 Week1 Day1 #231

「パーソンズ美術大学留学記」は基本的に毎週更新なのですが、Week1は「TD Convening」という集中講義週間で内容が豊富なので、とりあえず初日の出来事を速報として書いておきます。 再会と邂逅去年はZoomと対面のハイブリッドで始まった記憶がありますが、今年は全てのイベントが実際にキャンパスに集まって行われることになりました。ただ、Transdisciplinary Designの教室(TD Studio)は1年生と2年生の全員(約60人)が集まるには少し狭いので、今

パーソンズ美術大学留学記シーズン3 Week0 #230

いよいよ、来週から新学期が始まります。今週はオリエンテーション・ウィークで新入生向けに学校紹介が行われており、在校生は特に予定のない週でした。その中で唯一のイベントとして「Orientation Gathering」と題した新入生が顔合わせに集う機会があったので、在校生ながら参加してきました。 Orientation Gatheringに参加するために学校へ向かうと、キャンパス周辺には新入生らしき人たちとその家族が記念撮影をしている様子がチラホラ。彼らはみんな笑顔で、まるで

パーソンズ美術大学留学記 Week12 #092

自己紹介はこちら 毎日学んだことをメモしているツイートを引用しながら、2021年11月15日~11月19日(Week12)を振り返ってみます。 Week11はこちら↓ 現代の根底にある共同幻想デザインプロセスには大きく分けて問題発見と問題解決の2つのステップがあります。この問題発見のフェイズでは、ある問題が取り巻く状況を理解して、解決策を考えるべき箇所(レバレッジ・ポイント)がどこかを考えます。 授業では練習として様々な問題に対して考察をしていくのですが、その時に必ず

パーソンズ美術大学留学記 Week10 #083

自己紹介はこちら 毎日学んだことをメモしているツイートを引用しながら、2021年11月1日~11月5日(Week10)を振り返ってみます。 Week9はこちら↓ デザイナーの役割とは?授業の一環で、プロダクトデザインを学ぶスペイン在住の大学生にデザインのアドバイスをするという課題がありました。彼女達の取り組むテーマは「学校周辺の地域の活性化」で、そのために公園の遊具やイスのデザインに取り組んでいるのだそう。 ちなみに、他にも5~6グループほどがいるものの、全てのグルー

パーソンズ美術大学留学記 Week8 #076

自己紹介はこちら 毎日学んだことをメモしているツイートを引用しながら、2021年10月18日~10月22日(Week8)を振り返ってみます。 Week7はこちら↓ Design-Led Research(Power & Influence Mapping編) 「場を作るのがデザイナーの役目」というのが、Transdisciplinary Designで学んだマインドセットです。今回はこのマインドセットをどう生かすのかを考えることがテーマでした。 「場」をデザインする前