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パーソンズ美術大学留学記シーズン3 Week0 #230

いよいよ、来週から新学期が始まります。今週はオリエンテーション・ウィークで新入生向けに学校紹介が行われており、在校生は特に予定のない週でした。その中で唯一のイベントとして「Orientation Gathering」と題した新入生が顔合わせに集う機会があったので、在校生ながら参加してきました。

Orientation Gatheringに参加するために学校へ向かうと、キャンパス周辺には新入生らしき人たちとその家族が記念撮影をしている様子がチラホラ。彼らはみんな笑顔で、まるで新しく始まる学校生活への期待が顔からこぼれているようでした。プラスのオーラを浴びながらいつもの教室へと向かいます。教室へ向かう道中のエレベーターでクラスメートとバッタリ出会うと、「髪切ったんだね」と言われました。三ヶ月前との違いが分かるとは。

さて、「Orientation Gathering」ではTransdisciplinary Designに新たに入学した約30人(日本人の方もお一人)、私を含めた在校生が数人、学部長など先生方が3人参加していました。簡単な自己紹介(といっても名前が覚えられない)から始まり、学部長がTransdisciplinary Designとは何かについての話をしてくれました。これが2年目の私にもためになったので、いくつか書いておきます。


一番大事なのは?

Transdisciplinary Designで一番大事なことは何か? それは「Care myself and each other」だそうです。たとえば、アメリカの大学院あるあるですが、毎週のように膨大な文章を読むように言われます。でも、全部読まなければならないとプレッシャーに感じる必要はないと言われました。完璧主義になってはいけないのです。なぜなら、完璧などありえないのですから。出される資料はビュッフェだと思って、好きな部分を読んでくればいい。そして、みんなで気になった部分を共有しあえばいいのです。

彼は「Take a deep breath, just relax」などのフレーズを使いながら、このコミュニティ内でプレッシャーに思う必要は一つもないことを何度も繰り返しました。そもそもこの世界で生きているだけでプレッシャーを感じることばかりです。でも、Transdisciplinary Designはそんな世界にポツンと存在するオアシスのようなスペースで、誰からも指図されることはないし、誰からも非難されることもありません。いわゆる心理的安全性が保証されたコミュニティを目指していることを再確認できました。


Transdisciplinary Designとは?

Transdisciplinary Designとは何かの説明もありました。似た言葉であるInterdisciplinaryはいろいろな学問をつまみ食いするイメージだけど、Transdisciplinaryはそれとは違うそうです。Transはラテン語で「Move across/ Beyond」という意味があるらしく、境界を越えていくという視点が重要であるということでした。

ただ、こうした単語自体の説明はあるものの、「Transdisciplinary Designとは何か?」に対する答えや定義は学校から与えられることはないともおっしゃいました。「Justice and Equityが実現した未来を目指す」という目標は共通しているという一応の目安は提示してくれたものの、学生一人ひとりが自分で考えていく(Reflective process)しかないとのことでした。

ちなみに、学部長は他にも「自分の行いは全てExperience Designであると思っている」や「肩書を聞かれたら『Artist』とは答えるけど、ArtとDesignの違いは気にしていない」とおっしゃるなど、彼が語れば名言が泉のように溢れ出ます。彼のおかげでTransdisciplinary Designはオアシスであり続けているのかも。


せめて、先輩らしく

一通りの説明が終わり解散しようかという流れになった時、学部長から「2年生から何かアドバイスはある?」という突然のフリが。2年生を見回した彼とバッチリ目が合い、"Go ahead(君から話して)"という心の声が聞こえたので、覚悟を決めて私から話すことに。何の準備もしていなかったけれど、私は思い浮かんだことをそのまま口にしました。

「私はデザイナーではなかったし、英語も全然話せなかったけど、そんな私でも今もここにいます。だから、みんななら大丈夫。リラックスして!」

これはnoteでも書いてきたことで、デザイナーでもなく海外留学経験もなかった私でもTransdisciplinary Designは受け入れてくれる懐の深さがあるということを伝えたかったのです。慣れない環境から感じる不安が少しでも和らいでほしいという願いもこめたつもりです。

ちなみに、会の終わりに学部長がわざわざ私のところに来て「あのアドバイス良かったよ!」とお褒めの言葉をいただけました。彼が話していた「Just relax!」を引用しながら、英語のアドリブでウケたのも個人的には嬉しかった。

会が終わると、新入生との雑談も少ししました。「Transdisciplinary Designで何を学べるの?」と何人にも聞かれるので、1年間で学んだことを共有していきました。そんな会話をしていると、1年前の自分に比べたらTransdisciplinary Designについて少しは理解できているし、英語も使いこなせるようになっていることに気づきました。「私はこの1年間で間違いなく成長しているんだ」と思い、これまで過ごしてきた日々が少し報われた気もしました。


まとめ

今回の集まりに参加して、「やっぱりTransdisicplinary Designという学部が、それだけでなくTransdisicplinary Designというコミュニティが好きだなぁ」とあらためて感じました。あと1年しかいられないけど、まだ1年もいられると思うことにしよう。新入生にもTransdisicplinary Designを好きになってもらえるように、自分にできる手助けはしていこうと決意しました。

次回からはWeek1で本編がスタートします。授業で学んだことやニューヨークでの生活を引き続き綴っていくので、来週もよろしくお願いします!

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