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パーソンズ美術大学留学記シーズン3 Week7 #248

季節の変わり目だからか、体調を崩す人を見かけるようになっています。そういう私も風邪気味で過ごす一週間でした(検査したら某流行り病ではなかったのが不幸中の幸い)。

Superstudio

今週から"microstudio"という今学期の後半パートが始まり、以降の授業では3or4人のグループに分かれて各グループが興味のあるトピックについて取り組むことになります。今回はそのグループ分けをする時間でした。

とはいっても、今後の授業がどのような流れで進むのか、最終発表はどのような形式なのかなどは全くの未定。先生から言わせれば"designing design process"であり、学生たち自身で自由に決めていけばいいということのようです。


Professional Communication

今週の課題は「自分らしさをポスター1枚で表現する」でした。課題の詳細については以下の記事にまとめているので、この記事では自分が授業中のディスカッションで思ったことを簡潔に書いておきます。

  • 自分らしさを守りつつも、社会の求めていることに合わせていく必要性

  • 自分らしさとはただのエゴ、無駄なプライドでしかない?

  • 自分のやりたいことをする権利を得るには、社会に説明する義務がある

  • 自分らしさを他人に見せてみなければ上達することはない(山月記かな)


また、今週はスペシャルゲストとしてTransdisciplinary Designの創始者の一人であるJamer Huntを招いて、卒業後の進路をどうやって形成していけばいいのかについて話しました。彼は現在サバティカル(長期休暇)中なので、「今の肩書は?」と問われたら"I'm just Jamer"と答えていました。

まずは、彼自身のキャリア形成の経験から"Just say yes to every opportunity"という心がけや"Loose tie(弱いつながり)"を大切にすることなどを教わりました。思い通りにいかないのが人生ですね。

もう少し実践的なアドバイスとしては、ポートフォリオの作り方についても話しました。採用担当者は忙しいので、彼らの興味に合わせて30秒バージョン、2分バージョン、5分バージョンを用意しておくことや、ポートフォリオに載せるために日頃から作品をdocumentingすることなどのアドバイスをもらいました。

また、Transdisciplinary Designの卒業者が卒業後にどんな仕事に就けばいいのか悩むことについての相談もありました。たとえば、ロースクールなら弁護士に、医学部なら医者になどと学校での学びと仕事が強く結びついている場合もあります。しかし、Transdisciplinary Designはそうした仕事との結びつきはありません。

それには"Hard to define Transdisciplinary Design"なのも理由の一つです。彼はTransdisciplinary Designと名付けた理由を、"Empty Signifier"だからとしているそうです。ソシュールの概念を借りれば、Transdisciplinaryというシニフィエに対してのシニフィアンが存在しないということでしょう。

英語ネイティブでさえも"Transdisciplinary Design"と聞いて意味が分からないというのが狙い通りなのです。命名者が意味をこめていないからこそ、他の教員や学生が自由に意味を考えることができる。"Transdisciplinary Design"とは何も意味しないからこそ、何にでもなれる可能性もあるのです。"You are who you design"という言葉に集約される気がします。


Anthropology and Design

今週は中間発表会ということで、みんなが作ったzineを見せ合いました。
私は"What is TD"と"How to TD"という二つのzineを作りました。ちなみに、色はパーソンズレッド、フォントはHelveticaにしてパーソンズ美術大学のビジュアルアイデンティティと合わせることで、少しでもオフィシャル感のある冊子を目指しました。

この二つのzineはnoteに書いてきた『パーソンズ美術大学留学記』をもとに作りました。約1年間の参与観察が小冊子という形になったとも言えそうです。zineの内容に興味がある方は、以下の記事を見ていただければ幸いです。

Transdisciplinary Designの定義は学校から与えられるものではないので、一人ひとりが考えていかなければなりません。「Transdisciplinary Designとは何か?」という投げかけへの私なりの回答がこのzineになりました。

また、自分の思うTDらしさを深めるきっかけにもなってほしいという願いをこめて、このzineを教室に置いておくことにしました。他のTransdisciplinary Designの仲間に読んでもらうと、「たしかに書いてある通り」という感想をもらえたので一安心。


Thesis 1

今週と来週は、修論計画をみんなの前で披露してフィールドバックをもらう時間です。クラスメートの発表の詳細な内容の紹介は控えますが、個人的な学びを以下に列挙しておきます。

  • "Don't be married to any idea"(現時点での計画にこだわり過ぎないこと)

  • 世界全体を視野に入れながらも修論で取り組める範囲を考えること

  • デザイナーとしてどんな役割を果たすのかを想定すること

  • 他者から有意義なフィールドバックをもらうために、アイデアを目に見える形(プロトタイプ)にすること


まとめ

今学期も約半分が終了し、中間発表があったり最終発表に向けての準備が始まったりしています。各授業の課題をこなしつつも卒業後の身の振り方も考えなければならない状態と目まぐるしさも増しています。とりあえず今すべきことは、ゆっくり休んで体調を整えることですが。

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