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第19回 水洗トイレには給水と排水の両方が必要

みなさん、こんにちは。
毎週月曜日に更新する災害時トイレの連載です。

先日、放送作家のきたむらけんじさんにお会いする機会があったのですが、会話の中で携帯トイレの話になり、だいぶ前の私の話を聞いてすぐに携帯トイレを自宅に備蓄し、さらには1つ持ち歩いているとのことでした。
こうやってすぐに実践する人って、おそらく何事においても同じで、思考がやわらかくフットワークも軽いんだろうなあと、刺激を受けました。

さて、今回のテーマは「第19回 水洗トイレには給水と排水の両方が必要」です。

日頃、毎日お世話になっている水洗トイレは、大小便を水で流し去ってくれる便利なシステムなので、水が無ければ機能しません。
ということで、災害などで断水したら水洗トイレは使えない、ということは多くの人が理解しています。

ちなみに断水の原因は主に2つあります。
1つは給水管等が破損することで水を届けられなくなることです。
もう1つは停電によりポンプ等の給水設備が作動しなくなることでも水が届けられなくなります。
一般的に戸建て住宅は、公道に埋設されている配水管からの圧力でそのまま自宅の蛇口まで水が送られてくるのですが、中高層の集合住宅の場合、配水管の圧力では、水が届かないのでポンプで圧力を加えて送ります。
そのため、停電でポンプが動かなくなると、水を送ることができなくなるという意味です。

今回、とくに皆さんに知っていただきたいのは、もし給水設備に問題が無くても、排水設備に支障があると水洗トイレは使えなくなるということです。

一言でいうと、汚水の流れていく先がなくなるからです。

排水設備の損傷として具体的に考えられることとしては、
排水管が外れる、
排水管が閉塞する、
排水管が逆こう配になる、
下水処理場や浄化槽が機能しないことなどです。

ちなみに、地中にある排水管というのは、なだらかな傾斜がついており、高いところから低いところへ自然流下で汚水を流すように設計されています。
そのため、地震で逆こう配(傾斜が逆になる)になると、流れなくなってしまうことが考えられます。

排水管に損傷がある場合に無理に汚水を流すと、どこかから溢れることになります。

ということで、水洗トイレを使用するには、給水設備と排水設備、電気設備のすべてが機能していることが必要になります。

日頃、目にしているのは便器だけですが、私たちが使用している水洗トイレは壮大なシステムであることを知っておいてください。

ご案内
2022年8月4日に東京ビッグサイトで、災害時のトイレ・下水道フォーラムを開催します。ここでは、マンションで避難生活する際のトイレについて考えます。


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