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2024年9月24日 言い訳

愛には、無限に種類がある、と改めて思いました。
愛をあまり理解できない人間なので、
愛というより、好きとか好みと言った方が正しいかもしれません。
最近、とある少年漫画の二次創作を読むのにハマっていて、
pixivやSNSで、タグを検索し、同好の士たちのファンアートを見つけて、楽しませてもらっています。
我が国の二次創作の層は厚いので、学生だけでなく、社会人として働きながら作品を出している人もおり、複数のジャンルでかいておられる方もいます。
そして、ファンアートと言っても、クォリティが高いものが多いです。
絵であれば原作に限りなく近いものもありますし、作者のタッチになっているものの、その落とし込み方が素晴らしいものもあります。
文章でも、文章のうまさはもちろんのこと、原作を何度も読んで、キャラクターの設定や口癖を理解した上で書いているので、違和感なく読めるものが多いのです。

今のところ、シンプルなタグで検索してお勧めに上がってきたものを片端から読んでいます。
私には地雷に当たるカップリングはなく、どれも楽しく読んでいます。
ただし、「そういうカップリングを好む人もいるのか…!!」とか
「原作の(公式の)どこからこのカップリングを思いついたのか!」とか
「こういう設定に人気が集まるのか」とか、
日々、驚いているのも事実です。
原作に出てくるキャラクターを生かしながら創作するのが二次創作ですが、
原作ではほとんど接点がないキャラクター同士の感情交流が、切々と描かれていることもあり、
「この作者の方にはそう見える、そう感じられるのか!」と驚かされるのです。
同じ漫画を読んでいるはずなのに、
私には全く思いもつかなかったキャラクター同士の関係ややりとりが、そこにはあります。
こういう作品を読んでいると、
「人間が分かり合えるというのは幻想かもしれない…」と思います。
悪い意味ではありません。
ひとつのセリフでも、人間はいかようにも受け取れるのです。
どちらが良いとか、どちらがあっているなどということではありません。
同一会話でも、受け止め方にもかなりの幅があり、
さらにそこからの解釈や理解には
千差万別あるということを感じます。
漫画ですらこうなのだから、現実世界の様々、宗教や恋愛、親子の情、友情などでは
もっと多様な捉え方が存在するということでしょう。
ひとつのシンプルな形に収まるのはもっともっと難しいに違いないのです。
「普通こう思うのだから、相手も、そして皆もそう思うことだろう」というのは、
全くの思い込みだということがわかります。
それは「自分がそう思っている」ということに過ぎず、相手がそういう事象、事態をどう捉えているかは、
尋ねてみないとわからないのです。
「目の前に見えるものをともに見たとしても
同じように捉えているかどうかはわからない」のです。
そういうことに絶望する人も多いでしょう。
しかし、私は、むしろ、そこに人類の可能性のようなものが埋まっているのだろうと思うのです。
多様性、多様性と言われるようになりましたが、
人類存在そのものがもとより、多様で、
ひとつにまとめられないものであり、
むしろ、そういう部分のおかげで、これまで繁栄して来られたのかもしれません。
愛には、そして好きには、無限の種類があり、それが人間らしさでもあるのです、多分。

自分では思いつかないカップリングの二次創作が、おすすめの中に混じってきても、拒否せず、見るようにしています。
どんどん読んでいって、自分が持ち得ない視点を知り、味わいたいのです。
少しばかり、漫画の悪役のようでもありますが、
私にはこういう実験精神のようなものが強くあります。
その昔、女性向けのロマンス小説、「ハーレクインロマンス」があまり好きになれなかったのですが、
どうして好きになれないのだろうと考えた結果、
10冊ほど買って、読んで見ることにしました。
結果分かったことは、
ヒロインが、何らかの才能を発揮するか、
仕事をしないストーリーは退屈であるということでした。
攫われるだけ、愛されるだけではつまらないのです。
私は料理が好きなので、
料理下手から、アメリカの南部料理が得意になるヒロインが出てきた際には、
とても楽しく読めました。
創作の中のキャラクターだとしても、その人らしく生きてほしいという強い願いが私にはあるのだと思います。
このように、
嫌いとか苦手には何らか理由があって、それを掘り下げるのは、存外に楽しいことです。
そしてそれがわかるまでにはひたすら情報を入れる、つまり、作品を読み耽る必要があります。
ですから、二次創作を読むのも、必要なことなのです。

こういう文章を書いたのは、
大人がこんなに二次創作を漁るのもなぁ、と思っての言い訳かもしれません。

連載では描かれていない、
キャラクターたちの楽しい体験
(祭りも旅行も、焼肉もバレンタインデーも)を
楽しむことに、言い訳も理由もいらないわけですが、
多分、少し、後ろめたいのです。



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千歳緑/code
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