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子育て世代の先生方に向けた新刊  『あと30分早く帰れる!         子育て教師の超効率仕事術』まえがき

子育て世代の先生たちに向けた本を書きたいと思い続けて数年。単なるエッセイではなく、乾いた仕事術の本でもなく。大変な思いをしながら働いている子育て世代の先生やこれからお子さんが生まれる先生の不安や悩みに向き合いつつ、育児や仕事への向き合い方や方策を伝えるための本が書けないだろうかと構想に数年を費やしました。もう教師を続けられない、子どもが産まれた仕事をどうしよう、我が子と学校行事のどっちを優先?……、と悩んでいらっしゃる一人でも多くの方のお力になれれば幸甚です。


まえがき

完璧を手放して、自分に「○」を付けながら働こう!
これからお子さんが産まれるという先生。もうすぐ育休があけるという先生。今まさに子育て真っ只中という先生。子どもが産まれ家族が増えることは、望外の喜びであり幸せです。しかし、教師をしながら子育てをすることに不安を覚え、「子どもが産まれても働き続けられるだろうか」「毎日大変すぎて、教職と育児を両立し続ける自信がない」と悩んでいる先生方も多いのではないでしょうか。
本書ではそんな先生方に向けて、私が子育て経験の中で編み出した効率的な仕事術を惜しみなく紹介しています。

この本が目指すゴールは、単に「30分早く家に帰る」ことではありません。「もうダメかも......」と感じている先生が、「これならもう少し頑張れそう」と思える。そのための考え方のヒントや具体的な解決策をできるだけ盛り込みました。
このような理由で、仕事術と銘打った本ではありながら、生活をうまく回していくための家事の時短術や、我が子に寂しい思いをさせたくないといった育児の悩みへの対処まで、 生活全般にわたる内容が含まれています。

私は随分昔に子育てを終えています。今思えば 「一瞬」のことでしたが、渦中にいる間は本当に大変でした。「教師を続けられるだろうか」と思ったことも何度もありました。
当時は、学校でへとへとになって働いて帰ってきても、のんびりする暇などありませんでした。 一息つく間もなく夕食の支度に洗濯、 子どもにご飯を食べさせてからお風呂に入れ、寝かしつけ······家事に育児に手一杯でした。子どもが起きているうちは授業の準備も持ち帰った仕事もできませんから、睡眠時間を削って何とかかんとかやっていました。
時間をやりくりして仕事をしても、子どものことで休む負い目のようなものもありました。同僚がスキルアップしているのを横目で眺め、スキルアップどころか「自分は戦力になっているのか?」と思うこともありました。「このままでいのだろうか」「周りに置いて行かれるのではないだろうか」と、言いようのない不安に苛まれたこともありました。

また、子どもの学校行事に行ってやれない罪悪感もありました。「我が子に寂しい思いをさせているのではないか」「十分に愛情を注げていないのではないか」とも思いました。ぐっちゃぐちゃのリビングに立ち尽くし、子どもに十分してやれない自分、自分の時間を満足に過ごせない毎日に悲しくなり、しくしく泣いたこともありました。
当時の私は、「学校の先生としても、お母さんとしても、主婦としても、完璧で在らねばならない」と思っていたのだと思います。部屋をいつも綺麗に保ち、美味しいご飯をつくり、学校での仕事もバリバリこなし、いつも笑顔で子育てをする。趣味に勤しみイキイキと生きる。 そんな理想に近づこうとしていたのかもしれません。理想と比べ、できていない自分に「×」ばかりをつけていました。

でも、泣いても悩んでも、誰かが子育てや仕事を代わってくれるわけではありません。 私がやるしかないのです。だったら、「私の好きなようにやってみよう」「完璧じゃなくていいから私ができる形でやってみよう」とだんだん思うようになりました。どうせ思い通りにできないのだから、できていることに「○」を付けていこうと思うようになったのです。
完璧を手放し「ま、いっか」と思えるようになると、心に余裕ができました。心に余裕ができると、自分には何が大事か、今自分がすべきことは何かが見えるようになってきました。部屋を綺麗にすることも丁寧にアイロンがけすることも大切だけど、それより今は子どもとの時間を大事にすることのほうがずっとずっと大事なのではないかと。帰宅して躍起になって部屋を片付けるより、ほんのちょっとだけ子どもと手を繋いでお散歩に行くほうがずっとずっと豊かだと気付いたのです。その気になればいつだって部屋は片づけられる。 でも、この子とこうして手を繋いで歩けるのはほんの数年のことだと。

子どもとの時間を少しでも多く捻出するために、私はやるべきことに優先順位や軽重を付け、効率的に時間を使うようになりました。丁寧にすべきものとざっくりでよいもの、 先にすべきものと後回しでよいもの、その都度すべきものとまとめてすべきものなどを見極めるようになりました。 こうした意識で家事や育児を見直すことが、学校での仕事の仕方を見直すきっかけにもなりました。仕事の効率性と同時に、これは絶対に丁寧にしなくてはならないという仕事の肝もわかるようになりました。

子育ては、子どもが大きくなるまでの数年間のことに過ぎません。ですが、我が子と学校の仕事との板挟みになり、辞めざるを得なくなる先生も少なくありません。毎日の生活をどう成り立たせるか、我が子をどう健やかに育てるか、そして、教師としてのキャリアアップをいかに図るかは、子育て世代の教師にとって大きな課題です。この課題を乗り越えることさえできれば、子育て期間で得たスキルを活かし、その後を豊かに働くことも望めます。
本書には、そのために必要な考え方やものの見方を記しました。これからお子さんが産まれる方や現場復帰する先生、もうダメだと泣きたくなっている先生にお読みいただけた らと思います。本書をヒントにご自分のライフスタイルを確立し、子育も教職も愉しもうと思っていただけたなら、こんなに嬉しいことはありません。

Amazon.co.jp: あと30分早く帰れる!子育て教師の超効率仕事術 : 宇野 弘恵: Japanese Books


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