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Apexはなぜ日本で流行った?マーケターが考察してみた

ここ数年、日本のゲーム界隈を賑わせている『Apex Legends』が、なぜここまで流行ったのか、マーケ目線で真面目に考えてみた。
流行の理由を考察する記事は結構あるものの、マーケのフレームワークで理論的に深掘りするのは、この記事が初めてなんじゃないでしょうか。

結論、4Pそれぞれの領域で日本市場に適合したため、『Apex Legends』は日本で流行った、と考えた。

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『Apex Legends』はどんなゲーム?

2019年2月にElectronic Artsよりリリースされたゲーム。基本ルールは、3人1組でチームを組み、60人20チームの中から1位を目指して戦っていくバトロワ。

  • 20種類以上いるキャラを1つ選択する

  • 飛行船から降下してスタート位置を決める

  • マップ上にランダムで落ちている武器やアイテムを拾う

  • 敵チームと遭遇したら戦うor逃げる

  • 時間ごとに収縮していく「安全地帯」へ時間内に入る

といった流れでゲームが進行し、最後まで生き残ったチームが勝ち。

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本当に流行ってる?世界と比較してみる

本当に『Apex Legends』は日本で流行ってるのか、『Twitch』における2021年の視聴時間ランキングを見てみた。

参照:SullyGnome

確かに、日本での視聴時間は『Apex Legends』がトップ。全世界では雑談が1位で、『Apex Legends』は9位。2020年も日本の1位は『Apex Legends』だった。他のエリアと比較しても、特に日本で流行しているよう。



マーケの基本『4P』で理由を考察

4Pとは

それじゃ早速、流行した理由をマーケティングの基本的なフレームワーク4Pに沿って考えてみる。

4Pとは、商品やサービスを購入をしてもらうために考える4つの要素のこと。Product(商品)・Price(価格)・Place(流通方法)・Promotion(販促)のそれぞれの頭文字をとって、4Pと呼ばれている。

この4Pそれぞれに要素を分けて、流行理由を考える。


Product(どんなゲームか?)

単刀直入に『Apex Legends』は、素人/玄人でも1人/複数でもゲームしやすい。バトロワのゲームは他にも、PUBG(KRAFTON社)・Fortnite(Epic Games社)・荒野行動(NetEase Games社)などがあるが、『Apex Legends』は下記3つの特徴がある。

ピンやリスポーンなど革新的システム
3人1チームのため味方同士での連携が必須だが、マイクを使って見知らぬ人と会話することはハードルが高い。それを解決したのがピンシステムで、敵の位置、攻撃や防衛したい場所など細かい情報を声なしで連携できる。競合『Fortnite』が取り入れたりEAが特許を取ったり、UIUXが非常に優れたシステムである。このシステムなら、1人でも複数でも大きなハンデなくプレイできる。

いろいろ意思伝達可能なピン 画像引用元

またバトロワ系ゲームでは通常、一度戦いに負ければ復帰することができないが、『Apex Legends』ではリスポーンシステムを採用し、自分が負けても味方が生き残っていれば、再度復活することができる。バトロワゲームは呆気なく負けて20分を無駄にすることもあるが、このシステムのおかげでプレイヤーのプレイ意欲向上に繋がっていそうだ。

味方を復活できる 画像引用元

カジュアルでスピード感あるゲーム性
革新的なシステムだけでなく、他タイトルと比べ『Apex Legends』は試合展開が速い。これまでのバトロワは、物資漁ってひたすら走る、物陰に隠れるといった時間が多く、実際に撃ち合うのはほんの一瞬しかなかった。

しかし『Apex Legends』は、マップの大きさや1試合あたりの戦闘回数が多く試合展開が速い。マップ各所に飛んで移動できる地点があったり、遠距離移動することも容易だ。1試合あたりの負担が小さく硬派でないため、初心者でも馴染みやすいゲーム性である。れまでのバトロワの欠点だった試合展開の遅さを感じることなく、何試合も続けてプレイ可能だ。

遠くに移動できるジャンプタワー 画像引用元

レジェンドそれぞれの作り込み
登場するキャラクター(ゲーム内ではレジェンドと呼ばれている)それぞれの性格や個性、ストーリーが作り込まれていることも特徴である。
例えば人気レジェンド レイス の設定は下記のようになっている。各々のキャラクターへの作り込みが細かく、特に二次創作が盛んな日本で、多くの人に親しまれている。

レイス〔次元をまたぐ戦闘兵〕
本名:レネイ・ブラジ  Renee Hope Blasey
年齢:32歳

レイスは壊滅的な力を持つ戦士だ。強烈な攻撃を繰り出し、現実の一層に亀裂を開くことで時空を操ることができるのだが…それは代償の果てに手にした力だった。数年前、IMC拘置施設で目を覚ますと…

EA公式サイト
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Price(価格設定は?)

なんとこのゲームは無料でプレイできる経済的なハードルがゼロである。プレイできるPCやゲーム機をもっていて、インターネットにアクセスできれば、誰でもプレイ可能である。

限定アイテムの獲得には課金が必要だが、課金してもしなくとも、勝率は全く変わらない。しかも余程レアアイテムを求めない限り、1,000円前後でも十分な限定アイテムが獲得できる。

実際、無名なマーケターも、2年間一度も課金せずに満足にプレイできている。


Place(ゲームを販売する場所は?)

『Apex Legends』は、ほぼどのゲーム機でもプレイできる
PC、Playstation4/5、Nintendo Switch、Xboxのどの環境でも対戦ができ、かつハードを超えて対戦することができる。PCプレイヤーとSwitchプレイヤーが同じマッチで対戦可能なのだ。

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ハードによる制限がほぼないため、「PCは持ってないけどPlaystationは持っている人」でも「Switchしか持ってない人」でも、ゲームができる。
プレイする方法が豊富なため、友人もゲームに誘いやすく、よりプレイ人口が増えやすい。

特に日本は、他国と比較してPCゲームプレイヤー人口が少ない。
そのため、PlaystationやNintendo SwitchといったCS機にも対応している『Apex Legends』は日本市場に適していそうだ。

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Promotion(ゲームをどう見せた?)

日本のYouTuberやゲーム実況者の多くが『Apex Legends』を配信したことが、ユーザーのプレイ促進に繋がっていると考えられる。
ランク上位のプレイヤーの配信やプロゲーミングチーム所属のプレイヤーが多く参入しており、プレイ動画や解説動画を多く配信・投稿している。

なかでも『CRカップ』と呼ばれるプロチーム主催の大会は、ゲーム配信者だけでなく、タレントやアーティスト、大手YouTuberも参加するまで拡大し、開催時には必ずTwitterトレンドに入っている。

プロゲーミングチーム「Crazy Raccoon(クレイジーラクーン)」は、2020年8月29日(土)に「Apex Legends」をゲームタイトルにした招待制の大会『Crazy Racoon Cup ApexLegends(以下CR CUP APEX LEGENDS)』を初めて開催いたしました。平均同時視聴者数5.8万人、最大同時視聴者数は11万人を突破し、動画コミュニティプラットフォーム「OPENREC.tv」において最大級の大会となりました。

Crazy Raccoon プレスリリースより

販売元のEA社が出稿する広告以上に、配信者やプロゲーミングチーム、芸能事務所などによるプロモーションや拡散により、ここまで日本市場で大きくヒットしたのではと思う。

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結論:4Pそれぞれが日本市場に適合した

  • 素人/玄人でも1人/複数でもゲームでき、革新的なシステムを採用した親しみやすいゲーム性(Product)

  • 基本プレイ無料で経済的ハードルがゼロ(Price)

  • ほぼどのゲーム機でもプレイでき、特にCS機の割合の高い日本市場にピッタリ(Place)

  • ゲーム界隈だけでなく著名人もプレイし、販売促進や拡散に繋がった(Promotion)

上記理由から、『Apex Legends』が日本市場で流行ったと結論づけた。我ながら、結構綺麗に分析できているような気がする。


ちなみに、無名なマーケターが好きなレジェンドは『ミラージュ』と『バンガロール』で、よく使う武器は『トリプルテイク』。実は企業人向けのeスポーツの大会にも出たことがあります。(微妙な結果だったけど、、、)

ダイヤ帯に行くのが精一杯な三流プレイヤーですが、一緒にプレイしたいと思ってくれる方いらっしゃればメッセージください。是非やりましょう!

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記事はここまでです。
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