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【磐梯町】本気の町、磐梯。ちっちゃい町の方が本気だなと思う人

私の実家はこだいら。小平。小平の悪口を言うつもりじゃないんだけど、地元の温泉で働いてい田っていう時期もあるんだけど、あんまり思い入れがなくて。他の、自分が住んだことのある場所と同じで、生まれ育った場所ってだけで、特別な思い入れがない。
もちろん、小平にずっと先代から住んでるような人たちの感覚は違うのかもしれないんだけど、鉄道会社が開発していった駅前や、その周辺に広がった新興住宅地で、小平でなはいところから引っ越してきた両親(秋田と中野)と一緒に育った私にとって、あんまり小平は特別な存在になれなかったなあ。と、このローカルインタビューをしていて、常々思うことなんですよね。帰る場所のあるという感覚って、どないや? みたいなね。
と、そうなんです! このインタビューは「磐梯町の人たち」! というシリーズなんですマガジンはこちら!

インタビュアーは福島県は磐梯町で地域おこし協力隊をしているゆいぴさん

お楽しみくださいませね!!!!!
と思う2024年6月24日15時45分に書く無名人インタビュー817回目のまえがきでした!!!!!
【まえがき:qbc・栗林康弘(作家・無名人インタビュー主宰)】

今回ご参加いただいたのは ホソイ さんです!

年齢:20代前半
性別:男
職業:磐梯町地域おこし協力隊


現在:自分で食べるものは自分で最低限採るみたいな。それが自分にとっての解決策みたいな感じでした。

ゆいぴ:
ホソイさんは今、何をしている人ですか?

ホソイ:
それは職業ですか?

ゆいぴ:
職業でも何でも。

ホソイ:
何をしている?そうですね、これ考えちゃうな。

ゆいぴ:
全然、考えて大丈夫。

ホソイ:
一応、そうですね。今は面白いなと思ったことをいろいろやって、毎日ふんわりと生きてます。

ゆいぴ:
その面白いことって、例えばどんな?

ホソイ:
今やってるのだと、自分で何かを、食べるものを採ってくるってのが好きなので。その中で狩猟もやってるし、なんか山菜とか採ることもあるし、魚を捕ることもあるし。そうやって自分の力で、その中で最近は農業もやってるんすけど、なんか自分の手で何かを、食べるものを採ったり育てたりってのが面白いのでそれをやってることが多いっすね。

ゆいぴ:
自分で食べるものを採ってくるということに関して、どういう感情を抱いてやってるんですか?気持ち的な面では。

ホソイ:
その方がシンプルだなと思ってて。なんか語り部みたいになってきちゃったな。そうですね、スーパーに行って、自分が何か他の賃労働をして稼いだお金で、誰かが育てたり、調達した食べ物を買うというよりも、自分の時間で自分の技術とか知識とかを使って直接山とか川とか、または畑から食べるものを採ってくるって方がシンプルで心地がいいですね。

ゆいぴ:
どんなところが心地いいと思いますか?

ホソイ:
肉に関して言うと、自分は元々すごい動物、生き物が好きだったんすよ子供の頃から。それは哺乳類だけじゃなくて、昆虫から魚から好きだったんですけど。中学生ぐらいのときに、そういう家畜が今、生産性とか効率性とか安いとかっていうところを、なんていうかな。社会的にそういう要素が強くなってくると、やっぱり動物がどうしてもなかなか苦しい環境に置かれてしまうという現実があるんですよね。工場型畜産って言われてるんですけど。なんかそれに何となく疑問を感じて、でも自分も肉を食べてたし、でも一方で動物が好きだって言ったし、みたいなところにすごく疑問を感じて。でも、自分の手で直接食べ物採ってくると、動物の命を奪うってことも含めて自分でやりたいなという思いがあって、磐梯町に来て狩猟を始めて、それが実現できているところが心地いい、後ろめたさがないみたいな。

ゆいぴ:
それを思い始めたのはいつ頃からかって覚えてます?

ホソイ:
中学生ですね、13歳。

ゆいぴ:
何かきっかけがあったんですか?

ホソイ:
きっかけは本当にたまたまネットでそういう動画見ちゃったみたいな。畜産の裏側って、あれもなんかね、いわゆる動物愛護団体がやってるような動画だからちょっと過剰な演出ではあるんですけど。でもまあ、動物が必要以上に苦しめられてるって現実はやっぱりあって。でもね、そういう業界に従事している人たちを批判することは絶対しちゃいけないし。だから自分の問題としての解決策は、自分で食べるものは自分で最低限採るみたいな。それが自分にとっての解決策みたいな感じでした。

ゆいぴ:
うん、なるほど。

ホソイ:
しょっぱなからヘビーな話ですいません。

ゆいぴ:
いえいえ。ちなみに、面白いなと思ったことをやってますって言ってたけど他に自分で何かやってることとかありますか?もちろん仕事のことでもいいんですけど。

ホソイ:
最近、なんだろうな。やっぱ物づくり好きなんでね、ちょっと今の話とも重複するんすけど。レザークラフト好きなんすよ、革を使っていろいろ作ったりとか。今は自分が使うようにしか作ったりしてないんですけど。去年は少しそれで製品化してイベントで売ってみたりとかもやって、何か物を売るっていうのが面白いので。ちょっとこっちのブランド化を頑張ってみようかなみたいな、物づくりを今やったりしてます。

ゆいぴ:
物を作ることと、物を売ること、どっち重視してます?自分的に。

ホソイ:
今は物を作る方に重きを置いてますけど、実際それが幾ばくかでも生活の軸になってくるのであれば、物を売るってことも、今後はそっち側にもウェイトが大きくなるんでしょうね。

ゆいぴ:
どっちが楽しいかって言ったらどっちが楽しいですか?

ホソイ:
今はそんなに物を売る機会がないんで、あんまわかんないです。

ゆいぴ:
自分の性格ってどんな性格だと思います?

ホソイ:
性格はすごい、なんていうのかな。頭で考えちゃったりみたいな、別にロジカルではないんですけど固いみたいな。なんて表現が適切かわかんないけど、なんていうんですか、頭固い性格ですね。

ゆいぴ:
なんでそう思うんですか?何かエピソードとかあります?

ホソイ:
エピソードというか、結構何かを始めるときとか、何か行動を起こすときに、もう頭より先に体でガンっていける人いるじゃないすか。たぶん、なみおかさんもそのタイプだと思いますけど。自分は意外とそういうタイプじゃないって結構感じるんすよ。頭でいろいろ考えちゃってから動くみたいな。それがあまり、何て言うかな、頭で考えるくせにあんまりうまくいってない。なんかあんまりうまくいってないですね、考えるくせに。

ゆいぴ:
自分のその性格についてどう思います?

ホソイ:
もうね、これは別にあんまり変えたいなとも思わないっていうか、しょうがない感じがして。あんまりどうも思ってないっす。

ゆいぴ:
周りからは何て言われます?

ホソイ:
周りからは何て言われるかなー。逆にどうですか?それ、書いてください。

ゆいぴ:
今、私からは言えないですけど(笑)

ホソイ:
言えないんですか(笑)なんて言われてるのかな、寡黙?いろいろ含めて寡黙、そのぐらいです。でもなんか、結構ちゃんと話してる人っていうか、交流が長い人とかからは変な人とは言われます。

ゆいぴ:
変な、とは?

ホソイ:
ちょっと変わってるねと言われます。

ゆいぴ:
その自分の性格と今の活動、何かリンクするところってあります?

ホソイ:
今の活動があんまり、なんていうかな。まだ漠然としてるところなので。これが徐々に形になっていったときに、何かリンクするんでしょうけど。今はまだそんなわかんないな、うん。

過去:今いる環境と真逆の環境に1回飛び込んでみたくて。それが地球の、日本の反対側のブラジルのスラム街だったんで、ここ行こうと思って。

ゆいぴ:
子供の頃、自分はどんな子供だったかって覚えてます?

ホソイ:
子供というのは何歳ぐらいをさしてますか?

ゆいぴ:
小さいときから成人するまで、社会に出るまでで大丈夫です。

ホソイ:
そうですね、インドアよりはアウトドアでしたね。東京の東久留米市ってとこでずっと20年ぐらい過ごしてたんですけど。意外と東京とは言いつつめちゃくちゃ自然ばっかの場所で、そこで遊んでましたね。川だとか森だとかで。サッカーもやってて、結構アウトドアでしたね。

ゆいぴ:
どんな小学生時代でした?

ホソイ:
小学生時代は何も考えてなかったっすね、ただただ遊んでましたね。ただ遊んでて、なんか今思い出すと全然恥ずかしいんですけど、小学校の卒業式でみんな目の前に登壇して将来の夢とか語るみたいなのあったじゃないすか。そこで俺が言ったのが、ブラジルでプロのサッカー選手になることと、ブラジルのアマゾンで生き物の調査をすることっていう、全く実現性がない夢を言ってましたね。だからそれがやっぱり自分の中では、生き物とサッカーが好きな子ども。

ゆいぴ:
何か特別やってたこととかあります?習い事でもいいし。

ホソイ:
サッカー一択でしたね。高校生ぐらいまで続けてました。

ゆいぴ:
中学高校はどんな感じでした?

ホソイ:
中学高校からは一気にひねくれ始めて。そうですね、音楽にどかんとハマりだしてそっち側に行って、高校生のときは、高校3年生の夏に1ヶ月ぐらいブラジルのスラム街に行ってました。それは結構いい思い出です。

ゆいぴ:
それはなんで行ったんですか?

ホソイ:
それはあのね、ブラジルのスラム街のファヴェラっていうとこがあって、いわゆるごちゃごちゃしたスラム街なんですけど。そこにどうしても行きたかったんですよね。どうしても行きたくて、バイトで30万くらい貯めて、夏にパンって行って携帯をなくして帰ってきました。

ゆいぴ:
どうしても行きたいってのはなんで?

ホソイ:
それは中学生ぐらいのときにたまたま日本のテレビでブラジルのスラム街のドキュメンタリーみたいなの見たんすよね。ストリートサッカーやってる子供とかギャングになった少年の話みたいな。そのスラム街の雰囲気とかがすごいテレビ越しからでも強烈で、いつかここ行ってみたいなと思ってて。なんか、やっぱり日々命の危険があるような場所じゃないですか、スラム街ってやっぱり。どうしても日本にずっといて、毎日バイトして学校行って家帰ってみたいな、結構安全な生活をしていた中で。スラム街みたいな自分が今いる場所と対極の場所に行ってみたいなって高校生のときに思い始めて。それで時間もあったし、行っちゃうかみたいな感じで、自分が今いる環境と真逆の環境に1回飛び込んでみたくて。それが地球の、日本の反対側のブラジルのスラム街だったんで、ここ行こうと思って。

ゆいぴ:
行ってみてどうでした?

ホソイ:
スラム街は、僕が行ったところはめちゃくちゃ安全でした、意外にも。もちろん壁とかには銃痕があるんですよ、銃を撃った痕。確かにギャングもいるんですよ。でも、ギャングがこれはやんないでねって言ってること、例えばカメラを出すとか、そういう向こうのローカルのルールを守れば、こっちに危害は加わんないんすよスラム街では。ただ逆にブラジルの街中を俺みたいな観光客が1人で歩いていると、金品目的で襲われるんすよ。俺もネックレスを引っ張られたりとか。よく金を寄こせとか言われるんですよ、街中だと。でも、スラム街っていうのはそういうことはない。ちゃんとギャングが統治してるから、ヘタな強盗とかそういうのは起きないです。そこはびっくりしました。スラムの中にいた方が俺は安全だったっていう。

ゆいぴ:
そこに行く前とそこで長い期間過ごした後、何か変わった考え方とか気持ちとかってあります?

ホソイ:
でも1ヶ月なんでね。あんまり別に考え方は変わらないんですけど。でも、なんだろな。そこで携帯なくして1ヶ月過ごして帰ってきたっていうのはちょっと誇れるというか。どこに行ってもちゃんと帰って来れるな、みたいな安心感はあります。

ゆいぴ:
携帯なくした以外に強烈だった思い出あります?

ホソイ:
携帯なくした、首元掴まれた、股間掴まれた、掴まれてばっかだけど。あとは、片足のない娼婦がいた。娼婦が夜ね、街中に立ってるんですけど。片足がなくて松葉杖をつきながら娼婦やってる人がいて。別に話しかけたりとかしてないんですけど、結構あれは衝撃でした。片足なくてもやってんだ、って。

ゆいぴ:
衝撃以外に何か思ったりした?感情的な部分で。

ホソイ:
5年ぐらい前なんであんま覚えてないすけど、でも何となく、1ヶ月あっていろいろな場所を見たりとか、いろんな人と会ったりとかしましたけど。結構そん中でも本当に一瞬見ただけなんですけど、今でも覚えてる。なんかやっぱあるんでしょうね、ちょっと言葉にはできないすけど。

ゆいぴ:
ブラジル行ったこと以外に中学高校で特別こんなことあったとか、これやってたみたいなのあります?

ホソイ:
中学高校は特にないすかね、ダラダラ過ごしていましたね。

ゆいぴ:
どんな学生だったとか。

ホソイ:
生意気でした。すごい生意気な、先生とかにたてつくような。まあでもしょうがないですよね。そういう狭い世界じゃないですか、学校生活って。その中であがこうとするとどうしても、生意気になっちゃうんすよ。って今は思うけど。

ゆいぴ:
高校卒業した後っていうのはどういう生活をしてたんですか?

ホソイ:
高校卒業した後は、もう大学行くつもりなかったんで。大学行かない中で、専門学校に行きましたね。で、写真を勉強して、みたいなんやってたんですけど。ブラジルのスラム街から影響を受けたのかわかんないすけど、東京で路上生活する人たちを、被写体に写真を撮るっていうのをやってました。

ゆいぴ:
専門ってのは写真の専門学校?

ホソイ:
写真家とかカメラマンを育成する専門学校に行ってました。

ゆいぴ:
それは何年?

ホソイ:
1年でやめました。だから1年だけ。

ゆいぴ:
なんで路上生活してる人を撮ろうと思ったんですか?

ホソイ:
何か、なんて言うのかな。楽しそうだなと思ったってのがあって。中にはなりたくなくてなっちゃった人もいっぱいいると思うんですけど、結構自分が会った人たちはその生活楽しんでて。いろんな捨てられてるものとかを工夫して自分のベッドを作ったりとか。自分で縄張りみたいなの作って、そん中で自分の王国みたいなの築き上げてる人がいたりとか。結構そういう人たちを被写体に撮ってたんで、ものすごい楽しそうにやってるなっていうのがいいなと思って。お金を稼ぐってこととは逆の生活の中でも、自分の工夫で生活を楽しんでるみたいなことがすごい良いなと思って撮ってたんですけど。

なんかね、でもそういう人たちって、雨の日も雪の日もそういう路上で生活するわけじゃないすか。でも自分はちょっと写真撮らせてもらって話をしたら、温かい家に帰ってみたいなことがあって。じゃあ自分も路上生活しちゃえばいいんじゃないかとも一瞬思ったんですけど、ちょっとそれはできなくて。じゃあまあ写真撮ってる意味ないなと思って、写真もやめちゃいましたね。

ゆいぴ:
なんで自分は路上生活できないなって思った?

ホソイ:
いやあ、単純にやっぱ怖かったんでしょうね、路上生活するって。そこまでやっぱ覚悟を持てなかったっていうのが自分にとっての限界だったんで。じゃあ写真撮ってる意味ないなって思ってやめました。

ゆいぴ:
写真を撮った後、その写真の行く末は?どこかに投稿するとか?

ホソイ:
それまで撮ってたやつとか?いわゆるその写真展みたいなこともあったんですけど、自分はちょっと完成する前にやめちゃったんで。特にそういうどっかに発表するとか、そういうことはやってないっすね。

ゆいぴ:
単純な疑問なんですけど。路上生活は怖くてできないな、じゃあ写真撮ってる意味ないな、やめよう、っていうこの流れ。なんでそういう考えに至ったのかなと思って。

ホソイ:
なんでなんですかね。自分でもすごい極端だなと思ったんですけど。他に撮りたいものがあったかっていうとなかったし。でもやめなくてもよかったのかなとは今ちょっと思ったりもするんすけど、最近になって。なんか辞めぐせついちゃうじゃないすか、辞めぐせついちゃうんで。なんかやめなくて良かったんじゃないかなとは思ってんすよね。あんまりそう、確固たる考えがあってやめたってわけじゃないです。なんかもういいやと思ってやめちゃったみたいな。

ゆいぴ:
専門学校辞めた後っていうのはどういう感じだった?

ホソイ:
うーん、まあプラプラしてて。1年ぐらいプラプラして。本当何もしたくなかったんで、ただバイトだけして過ごしてて。で、磐梯に来る1年前、1年間フリーターみたいな生活した後に辞めぐせついてんなっていうのを自分でわかってたんで。ちゃんと1個、何かを形に残るもので成功させたいなってのがあって、資格を取ろうというふうに思いまして、1年間資格の勉強してましたね。それが通関士っていう資格で、いわゆる貿易関係の国家資格なんですけど。なんでそれ選んだかっていうと、単純に名前がかっこいいっていうのと、通関士っていう。あとは、ネットでは合格率が15%と言われてたんで。1年間勉強するんだったらそのぐらいの難易度のやつ取っておきたいなと思って通関士を取りました、受かりました。

で、通関士とって、それで生活、その頃から何となく狩猟をやりたいなってのはあったんですけど、それはあくまで自分のライフワークとして狩猟考えてたんで。通関士で働きながら、土日に狩猟するかみたいな感じで。取った後は就活を考えたんですけど、そんときにたまたま磐梯町の方で、今の協力隊の募集を見つけて、通関士を捨てて、こっちに来て現在に至るという形になります。

ゆいぴ:
協力隊の募集を見つけて応募したのは、何に惹かれて?

ホソイ:
狩猟。

ゆいぴ:
それが1年前の話ってことですよね?

ホソイ:
そうですね、去年の4月に来たから、2022年の1月ぐらいに応募したのかな。2022年の10月に、通関士の資格試験があって、2022年の12月にこっちに応募してるっていう、スピード決断です。

ゆいぴ:
協力隊としてどうでした?この1年間。

ホソイ:
この1年間、そうっすね、あっという間でしたね本当に。だから充実はしてたのかなと思うんですけど。でもこの1年間で、やってきたことってどれぐらいのものかなっていうとあんまり大した事してないなと思って、だから今年の1年間はもうちょっと頑張らないといけないなと思ってますね。去年は結構内容がスカスカだったんで。今年はいろいろ詰め込んでます。

ゆいぴ:
主に何をメインとして1年間やってた?

ホソイ:
ほとんど去年は鳥獣害対策だけだったんすよ。役場的な仕事もあったし、自分の協力隊終わったあとに繋がるようなことはあんまりできなかったなっていう感じ。

ゆいぴ:
10点満点で10点が大満足だったら、この1年間に何点ぐらいの点数をつけます?

ホソイ:
仕事だけですか?生活とかも全部合わせる?

ゆいぴ:
仕事だけで。

ホソイ:
仕事だけで言うと4点かな。

ゆいぴ:
なんで?

ホソイ:
振り返ってみると、何をしていいのかわからないけどただ時間だけが過ぎてるな、みたいな瞬間がすごい多い印象だったんで。3年間って限られた時間の中で、そういう時間がすごいもったいないなっていう感じ。自分が取りたかった資格を取れたりとかはあったからそこは良かったんですけど、ちょっとそこで終わっちゃってたかなっていう。もっとね、自分の卒隊後に繋がるようなアクションいろいろ起こせたんじゃないかなっていうところで4点かなっていう。

ゆいぴ:
その1年間で何の資格を取ったんですか?

ホソイ:
業務に関係する資格ばっかですけど。狩猟免許だったりとか、鳥獣管理士ってやつとか。あと福島県もりの案内人ってやつ。

ゆいぴ:
じゃあ生活はどうでした?この1年間の生活。

ホソイ:
生活は面白かったっすね。

ゆいぴ:
何が面白かったんですかね?

ホソイ:
山とか行って、なんかこれ食えんじゃね?っていうやつ何となく採ってきて、食ってみてまずかったりうまかったりみたいな。これはうまいんだみたいな、これはまずいなとか。そこら辺はいろいろ面白かったですね。

ゆいぴ:
今後もそういう生活をしたい?

ホソイ:
していきたいっす。

ゆいぴ:
自分が自然とか、動物、生き物だったりとか、そういうのに全然興味がないような人間だったとしたら、今どういう生活をしていると思います?

ホソイ:
だったら別に磐梯に来てないですね。ずっと東京に住んでちゃんと大学行って、それでも別に幸せな人生だったと思います。それでも何だろうな、何となく働いて何となく楽しい事してるんじゃないかな。休日はネットフリックス見て、みたいな感じの生活でも全然良い人生なんじゃないかなと思いますね。

ゆいぴ:
それはなんでそう思うんですか?

ホソイ:
今みたいに生き物好きとか自然好きとかがなかったら、全然やりたいこと何もないから。たぶん何もせずに、怠惰な休日を過ごしていたと思います。閉じこもって。基本、根っこがインドアなんで、閉じこもって漫画を見るか、ネットフリックス見るかすると思います。

ゆいぴ:
ここ1年ぐらいの話に戻っちゃうんですけど。ここ1年、すごいこれ楽しかったな面白かったなってことあります?

ホソイ:
ここに来て1年?そうっすね、なんだろう。何となく楽しい感じが続いてんすよね、俺。強烈に楽しいイベントがあったとかじゃなくて、なんか毎日楽しいみたいな感じがずっと続いてるんで。あんまりこれがとかっていうのはないですね。

ゆいぴ:
へえ。なんでだと思います?自分的に。

ホソイ:
なんでですかね。なんで?

ゆいぴ:
ずっと楽しいっていうのは。

ホソイ:
いろいろ心地いいのかもしれないっすね。うん、割と。もちろん楽しくないときもいっぱいありますよ、毎日楽しいわけじゃないんすけど。トータルで言うと心地がいいのかなっていう。なんか昔の、昔どの町でも自治会みたいなのあったと思うんですけど、ちっちゃいコミュニティみたいな。自分も、小学校低学年ぐらいまでは自分が住んでた東京の街にも、自治会みたいなやつがあって、すごいちっちゃいコミュニティのイベントとかもいろいろあったんですけど。そういうのが段々なくなってきた中で育って。今こっち来て、そういう昔あったような自治会コミュニティみたいなのの中にいることが結構心地いいみたいな。何となく楽しいみたいな感じ。

ゆいぴ:
そういうのを求めてたんですか?

ホソイ:
どっかで求めてたんですかね。あんまり考えが浮かばなかったけど。

ゆいぴ:
そういうのに気づいたのってこっち来ていつぐらいですか?なんか心地いいな、みたいな。

ホソイ:
今、聞かれて考えました。あんまり考えなかったから。

未来:基本的に磐梯町で、財政的な面は一回置いといて、できないことはないと思ってんすよ。本当に何でもできちゃうとこあると思うんで。

ゆいぴ:
未来の話を聞きたいんですけど。この先、もちろん協力隊の任期もそうだし、5年10年とさらに20年30年と先を考えて最後に自分が死ぬっていうところまで考えて、未来に対してどういうイメージを持ってますか?

ホソイ:
あんまりそんな先のことは全然、何も考えてないというか考えないようにしてます。でも自分の1年後2年後3年後ぐらいまでは何となく、考えたりはするんですけど。その先のことは今考えてもしょうがないかなっていうのあって。あんま考えてないっすね。

ゆいぴ:
プラン的なのはない?

ホソイ:
全くないっす。そのときしたいようにする、したいなっていう。

ゆいぴ:
気持ち的にこうありたいみたいなのはないですか?

ホソイ:
気持ち的には、自分がこういうふうに生きていきたいとか、その瞬間瞬間で思うことってあるじゃないすか。それを実現できるようにありたいかなとは。そのための手段として、お金を稼ぐことが必要であればお金を稼ぐし、稼げるようになっておきたいし。別にお金が必要じゃない生活をしたいのであれば、そういう生活ができるように生きていきたいかなっていう。ちょっと自分でも何言ってるか分からないんですけど。

ゆいぴ:
なんでそう思う?

ホソイ:
そうっすね。自分は狩猟やりたいなと思って磐梯町に来て、それがまあ一応実現できてるから、あんまり不満はないんですよ、今の生活。でもただ、この先自分が狩猟やりたくないとか飽きちゃって他の事やりたいってなったときにそれができなきゃ、やりたいことがあるのにできないっていうのはやっぱり自分の中で一番ね、つらいので。何をしたいっていうことが自分にとって幸せなのかなってことは、一番優先順位として高いなとは思いますね。

ゆいぴ:
その先のことあんまり考えてないですってことだったので、直近の話。この2、3年、あと2年くらい協力隊の任期もあると思うんですけど、そこに対しては具体的なイメージとかあります?

ホソイ:
一応協力隊終わっても、どんぐらいの期間になるかわかんないけど残る予定ではいるんですよ、磐梯町に。その中で一つのハードルになるのが、どうやってなりわいを作っていくかってことだと思ってるんですけど。自分としても本当は動物、野生動物をお金にするつもりはあんまりないんですけど。やっぱり今はただ捨てられてしまってるっていう現実があって、そこは個人的にも何とかしたいなと思ってるんで。その中で革だったり食肉だったりっていうのをまず一つお金という形で、お金を生むような存在にしたいなと思ったんで、野生動物の活用関係が一つと。

あとは農業公社だったりとか、特定地域作りっていって、いわゆる町に残って町のいろんな農家さんとか、事業者のところに派遣で働きに行くみたいな仕組みが今出来上がろうとしてるんで。そういった中で働きながら、自分が今後行っていきたいと思っている革製品のブランドも一応自分の細々としたブランドとしてやりつつも、他の面でいろんなところから収入を得られるような、分散してやっていくっていうのが、一応考えてますね。

ゆいぴ:
この先の人生というか未来において、何を一番重視していきたいと思いますか?

ホソイ:
何を重視していきたいか?なんだろう、自分がこういうふうに生きていきたいと思った生き方を実現するっていうのが一番大事かなと。今は自分で食べるものを自分で確保するって生き方にはまってるんで、それをやってるっていう。それが今のところ飽きる予定もないので、もうこの生活ずっと続けていきたいなと。もうちょっといろんなことに手出して、鶏も育ててみたいし、ミツバチも育ててみたいし、とかいろいろあるんで。あと薪ストーブほしいなとか。なんかそういうのいろいろやりつつ、プラプラ生活したいなって思ってます。

ゆいぴ:
鶏を育てたいなとか、薪ストーブほしいなとかっていうのは何かきっかけがあって思った?

ホソイ:
もう電気代高いなとか卵高いなとか思うたびに自分で手に入れたいなって思っちゃうんすよ。

ゆいぴ:
割とそういう目線でいろんなことを見がち?

ホソイ:
そうっすね。なんかこれ買うよりも作った方が安いなとか、採ってきたほうが安いなってなったら、基本的にそういうふうにしてます。

ゆいぴ:
今、立場的には地域おこし協力隊っていう立場でいると思うんですけど、地域おこしをこういうふうにしたいとかっていうのはあるんですか?

ホソイ:
特にないです。

ゆいぴ:
なるほどね。

ホソイ:
まあ自分が今後、食肉やってくとか革やってくとか特定地域作りはまだわかんないけど。そうやっていったら勝手に他の方で盛り上がってくれるから、別に自分が何か盛り上げたいっていう意志を前面に出してやっていくことでもないかなっていう。なんか町長とか盛り上がってくれそうだし。

ゆいぴ:
ホソイさんにとって、磐梯町がどんな存在なのかとか、または磐梯町に対してどんな思いを抱いているのか、何かそういうところがあれば、聞きたいなと。

ホソイ:
そうっすね。でもこっち来てから基本的にやりたいと思ったことは全部やらせてもらってるんで、磐梯町のほうに。こんな人口3000人でちっちゃい町で、町長もあの性格なんで。基本的に磐梯町で、財政的な面は一回置いといて、できないことはないと思ってんすよ。本当に何でもできちゃうとこあると思うんで。だからなんだろうな、何でもさせてくれる存在みたいな。好き勝手できる町、っていうとちょっとなんかイメージ悪いけど。もう何でもいろいろ挑戦できる町なのかなと思いますね。それもいろんな人の尽力があっての話なんですけど。

ゆいぴ:
なんかこんなチャレンジさせてもらったな、もしくはこれからしたいなみたいなのがあれば。

ホソイ:
来月ぐらいに、軽井沢の方に鹿の食肉処理の研修で1週間ぐらい行くんですけど、それが1週間で大体50万ぐらいかかるんですよ。相当の金額じゃないですか。これ協力隊の活動費じゃなくて、町の予算で出てるんですよ。いつ実現できるかもわからない食肉処理があって、自分がそこにやりますって手を挙げたときに、町の予算からそのぐらいの金額を出してくるとことか。大森さん(磐梯町地域おこし協力隊)も今ね、しょっちゅう三重の方に出張行ってますけど、200万ぐらいかかってるけど。あれも町の予算だったりたりとか。

どうしても協力隊ってなんかね、国からの予算で人を雇えるから。そこで国のスネをかじるじゃないけど、そういうふうに協力隊を募集してる町っていっぱいあると思うんですけど。磐梯町に関しては、本当に必要だと思ったものに関しては、こうやって自分たちの財布からも出してくれるっていうところを見ると、本当にやりたいと思ったことは何でもさせてくれるんだなっていう印象があります。

ゆいぴ:
ホソイさんが磐梯町を一言で表すとしたら、どんな町ですか?

ホソイ:
一言?それも載るんですか、記事に。

ゆいぴ:
載りますよ。

ホソイ:
うーん、なんかあります?

ゆいぴ:
私じゃなくて!ホソイさんがどう思うか。

ホソイ:
やっぱでも、こういうちっちゃい町の方が本気だなと思うんで。本気の町、磐梯町で。

ゆいぴ:
なるほど、その心を聞いていいですか?

ホソイ:
今までずっと東京住んでて、自分がいた町でも10万人ぐらい住んでんすよ。でも全然なんか、町を良くしていこうみたいな動きって実は行政の方にあんまりなくて。正直そういうことしなくても人が流れてくるから、あんまりやらないんですよ。でもこういう地方のね、そん中でもさらにちっちゃい町の方が、本当に何とかしなきゃいけないなっていう危機感があると思うんで。その危機感が町を動かしていくと思うし、その中でその危機感があるからこそ、こういう外部から来た人たちに対しても、どんどんもうやれやれでやってくれるところがあると思うんで。そういったところがやっぱり町として何とかしなきゃいけないなっていう本気度が伝わってくるなと思って。その心です。

ゆいぴ:
最後に言い残したいことっていうのを聞いていて、遺言みたいな感じになってもいいし、読者へのメッセージでもいいし、インタビューの感想でもいいんですけど。最後に何かあれば教えていただけますか。

ホソイ:
狩猟採集生活は、狩猟やったり採集する生活っていうのは、全部自分側に責任があるんですけど、自分で命を奪って。自分に責任があるんですけど、それ以上にやっぱりすごく幸せなことだと思うんです。今こんだけお金、貨幣経済になってきて、富も偏りがちになってきて。その中で食品偽装とかもいろいろ蔓延していて、外国から来た食材がスーパーに並ぶっていう時代にあって、自分の身近な場所で採れたものを、その間に誰の手も介さずに自分の食べるものになっていくっていう営みができることっていうのはすごく幸せなことだと思うんですよね。結果的に完全に自給自足にしなくても、そういう生活を例えば週4日普通に賃労働して、残りの3日で何か自分が食べるものを採ってくるとかっていう生活をするだけでも、すごく何て言うのかな、自分の生活の自由度は高まると思うんですよ。ある意味その瞬間はお金から自由になれるし。なので、狩猟採集生活はおすすめです、ぜひ。俺もまだまだ勉強中ですけど。面白いんで、やってみてください。以上です。

ゆいぴ:
はい、ありがとうございます。

あとがき

私の地元もだいぶ田舎ですけど隣に住んでる人の名前も顔も知らないんですよね。近所にどんな人が住んでるのかもよく知らないし。それに現代の若者って(私も該当するけど)あまり密な関係を好まないのかなって勝手に思ってました。ちっちゃくて狭いコミュニティが心地良いって、この場所の、土地の尊さですね。とにかく人がいいのよ、人が。
本気だし、磐梯町。だから好きなんだよね、磐梯町。ここに住みたいと思うし、人を呼びたいと思うし、町のために何かできないかと思うし。本気の町、磐梯町!ね、ホソイくん。

【インタビュー・編集・あとがき:ゆいぴ】

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このインタビューシリーズは「磐梯町の人たち」です。マガジンはこちら!

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