教養としてのワイン

教養としてのワイン 渡辺順子
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本書は、ワインの歴史からワインブランドの成り立ち、ぶどうの品種など、ワインの基礎がわかりやすく書かれています。
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ワインは世界中で飲まれていて歴史も古いです。特に、フランスで発展したのですが、大きな理由としては、フランスが国をあげてワインの品質やブランドを法律で守ってきたからだそうです。法律でワインの品質を厳しく管理したんですね。
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その法律が「AOC法(原産地統制呼称法)」といい、使用可能なぶどう品種や最低アルコール度数、ぶどうの栽培・選定方法や収穫量、醸造方法や成熟方法まで細かく決めました。
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フランスには、有名ワイン産地がたくさんあります。
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ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュ、ロワール、アルザス、ローヌなどです。その中でも、ボルドーは高級赤ワインを産出するフランス南西部に位置する最高峰の銘醸地です。
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ボルドーの土壌は「砂利質」で土地は痩せていますが、水はけがよく、気候や日射量も最適な環境です。
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現在、ボルドーには約7500の生産者(シャトー)に対し、ワイン取引を専門に請け負う会社が400社、仲介業者が130社ほど存在すると言われています。ちなみに、ワイン取引を専門に請け負う会社は独占販売権を生産者から得ているようです。
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☞ボルドー5大シャトー(1855年)
★「シャトー・ラフィット・ロスチャイルド(ロートシルト)」
フランス🇫🇷で最も歴史のあるシャトーのひとつ。多くの偉人に愛されている。
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★「シャトー・マルゴー」
マルゴーは歴代のイングランド王に愛され、その品質を上げてきた。ヴェルサイユ宮殿でラフィット派とマルゴー派に分かれるほど。
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★「シャトー・ラトゥール」
ラトゥールは、現在、GUCCIのオーナーであり、クリスティーズのオーナーでもあるフランソワ・ピノー氏の会社が所有している。豊富な資金力を持つラトゥールは、最新設備・技術を持っていて、コンピュータによる温度管理や味のばらつきを防ぐために特大タンクでブレンドしたりしている。
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★「シャトー・オー・ブリオン」
選ばれた4大シャトーのうち、唯一審査対象のメドック地区のシャトーではなかったが、醸造の歴史から例外的に認められた。現在はルクセンブルク🇱🇺の王室が所有している。
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★「シャトー・ムートン・ロスチャイルド」
ロスチャイルド家が1853年に買収したムートン。最初は2級にランクされていたが、品質管理の徹底や政治家へのロビー活動により1973年に1級へ昇格。
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また、サンテミリオン地区は世界で初めてワイン産地として世界遺産に登録されました。サンテミリオンのシャトーといえば、
「シュバル・ブラン」
「オーゾンヌ」
が有名です。こちらは、上記5大シャトーに加え、ビックエイトと呼ばれる8銘柄のうちの2銘柄です。
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最後のひとつが「ペトリュス」です。ペトリュスの現在JPムエックス社所有で、その醸造責任者と社長を兼任しているのがクリスチャン・ムエックス氏です。彼は社長であるにもかかわらず、自ら製造責任者として毎日畑に足を運んでいる情熱の持ち主です。
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僕はワイン初心者なので味についてはよくわかりませんが、年によってぶどうの品質が異なるため、ワインには最も良いとされる年代が存在します。全ての物が同じ価値ではない点で、自然の力を感じました。
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☞必ず抑えておきたいぶどう品種6種

★赤ワイン🍷
①カベルネソーヴィニヨン
世界で最も生産量が多い。タンニンを豊富に含み、若い時はアルコール度数が高く、濃厚でしっかりした味わいが特徴で多くのワインに使われる。一方、高級ワインに使われることでも有名です。
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②ピノワール
フランス・ブルゴーニュ地方原産。栽培が難しく、繊細なぶどう品種で、「ロマネ・コンティ」にも使われる。基本的にブレンドせず単一で醸造されるため、ヴィンテージによって味が変わる。
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③メルロー
栽培面積世界2位。気候に対する柔軟性から産地を選ばない品種。カルベネソーヴィニヨンとの相性が良く、ブレンドによって最高級ワインを生み出すことでも有名。メルロー主体のワインの代表格がペトリュスとルパン。
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★白ワイン🍾
④シャルドネ
白ワイン王道の品種。幅広い地域で作られるが、産地によって味わいが大きく変わる。冷涼な気候(exシャンパーニュ地方)では辛口ワイン、日射量の多い地域(exチリ)ではトロピカルフルーツのような味わいのワインになります。
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⑤ソーヴィニヨンブラン
カジュアル〜超高級まで幅広く使用される。環境適応力が高く、産地によって個性が際立つ品種。原産地はフランスのボルドー地域で、イタリア、チリ、ニュージーランドなど様々な地域で栽培される。
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⑥ソースリング
冷涼な気候を好む品種で、辛口から甘口まで幅広く使用される。また、極甘口の貴腐ワインや遅摘みワインにも使用され、酸味と甘さが重なったワインになる。
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☞ボジョレー解禁は日本だけ?
ボジョレーは産地の名前で、ガメイ種のぶどうでつくる成熟のいらない早飲みワインで有名です。なので、ボジョレー・ヌーボーとは、ボジョレー地区で作られる「ヌーボー(新酒)」という意味だそうです。
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通常、ワインは9月〜10月にかけて収穫し、ぶどうを潰して発酵させ、成熟期間を経て出荷されます。例えば、ボルドー地区では赤ワインは12〜20ヶ月、白ワインは10〜12ヵ月の樽熟成が法律で定められています。
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一方、ボジョレー・ヌーボーはわずか数週間の熟成期間で出荷してよいと決められていて、その最初の出荷日が「解禁日」と呼ばれる11月の第3木曜日となっています。
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日本では、時差の関係で世界で1番早くボジョレーが飲めることで流行っていますが、フランスではヌーボーをお祝いしてる光景はないそうです。また、ボジョレー・ヌーボーの大半は日本への輸出のようです。僕もなぜ毎年お祝いしているのかわからなかったので、とても勉強になりました。
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☞ワインの味の構成
①甘味
アルコールが発行しきれずに残った糖分が甘味になる。そのため、甘いワインほどアルコール度数は低め。
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②アルコール度数
辛口ほどアルコール度数は高い。グラスを回した時に、壁面にワインの滴跡が残るほど粘性が高い=アルコール度数が高い。
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③酸味
酸味は、ぶどうに含まれるリンゴ酸と酒石酸のこと。

④タンニン
ぶどうの果皮とタネから生じるポリフェノールの一種で渋みを表す。果皮を使わない白ワインにはほとんどタンニンは含まれない。

⑤ボディ
ワインの骨格、強さ、重厚感、感覚など飲んだ時の感触を表す。フルボディ、ミディアムボディ、ライトボディと分けられる。
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☞シャンパン🍾
シャンパンを名乗れるのはフランスのシャンパーニュ地方で作られ、かつ法律に規定された条件を満たしたものだけです。
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ブランド管理が徹底されているため、フランスのあるブランドがシャンパンという名前の香水を発売したところ、すぐ販売差し止めになったほどです。ちなみに、日本を代表するロックバンド[ALEXANDROS]ですが、メジャーデビュー前は[Champagne](シャンペイン)で活動していましたが、ワイン事業団体からの要請で改名しています。そのくらい徹底しているんですね。
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ちなみにシャンパンは、ピエール・ペリニョン修道士のうっかりミスから生まれたそうです。ワイン作りをしていたペリニョン修道士は、うっかりワインを貯蔵庫に入れ忘れ外に放置してしまいました。数ヶ月後、そのワインの瓶から泡が立っているのを見つけ瓶内二次発酵を発見しました。
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1794年、モエ・エ・シャンドン社が買収し、「ドン・ペリニョン」の商標権を獲得しました。1987年には、ルイヴィトン社がモエ・エ・シャンドン社とヘネシー社を吸収合併しました。ちなみに、ドンペリは品質を守るため、良いぶどうが育った年しか製造しないそうです。
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☞ワイン保存の7カ条
①13℃前後の温度を保つ
②強い光を当てない
③湿度60%以上を保つ
④ボトルを横にする
⑤風を当てない
⑥他の匂いを近づけない
⑦振動を与えない
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この他、現在注目される新興国のワインなども紹介されており、ワインを飲む際はもう1度読み直したくなるような1冊でした。

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