【発達障害(神経発達症)に関する本#4】『大学教授、発達障害の子を育てる』
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読書が得意ではない私(でも実は司書資格持ち)がおすすめする、発達障害(神経発達症)に関する本シリーズ。
▶︎#1 ▶#2 ▶#3
今回はこちらです。
📚父親目線の経験談
本書は発達障害のお子さんを持つ、父親目線のエッセイです。
特徴的なのは、父親の職業が「大学教授」であるということ。
筆者である岡嶋先生の専門は情報ネットワーク、情報セキュリティ。
専門分野は異なりますが、職業柄なのでしょうか、大量の文献を読みあさったと言います。
そして、お子さんの施設選択や役所対応では、専門書より個人の手記やブログが役に立ったと書かれています。
専門家ではなく当事者目線で、ときにはご自身の専門分野を絡めながら、おもしろおかしく語っています。
発達障害がテーマなのに「笑える」んです。
例えば、お子さんが双子であることについて。
何とも個性的な家族の紹介方法!
📚知的障害と発達障害の例え方
知的障害と発達障害の違いについても、先生の例え方はユニークです。
✅CPUに問題があっても、そのコンピュータを動かす技術はいくつも存在する
✅そもそも、高いCPUを必要としない用途のコンピュータも多い
一方で
✅ディスプレイ、マウス、キーボードなどの入出力装置に問題のあるコンピュータはとても使いにくい
✅どんなに内蔵されているCPUが高性能でも、入出力装置に問題があるとそのコンピュータは使いにくくなってしまう
知的障害より発達障害の方が症状が軽いということではない、と伝えています。
また、両者にトラブルを抱えているコンピュータは、より動かすことに苦労するでしょう。
📚自身の体験談に…ひょっとして先生も?
このエッセイでは、先生自身の幼少期~学生時代の体験談も語られています。
むしろ、お子さんより先生の体験談の方が多いのではないでしょうか。
「ひょっとして先生も…?」と思わずにはいられないエピソードが満載です。
一方、学習面(ペーパーテスト)においてはとても優秀だったそうで、今だったら「ギフテッド」と呼ばれていたかもしれません。
そのギャップで苦労したことも多かったようです。
📚定型発達と教育の場は分けた方がいい
本書では、S/T比(教員1人あたりの学生数)の重要性を何度も伝えています。
「大学の1期生は成績も就職も良好」と言われるのは、学生のモチベーションの高さというより、単に教員が学生にかけた時間の多さではないかと指摘しています。
学部開設時には1学年しかいない学生に対し、4学年分を教えられる教員やスタッフが揃っていれば、教育の密度は濃くなるからです。
小学校教育においても普通級、特別支援学級、特別支援学校のどれに通わせればいいかという問いには、個人的な意見としつつも「迷ったらより手厚いサポートがある学校に行くほうがいいのではないか」と答えています。
混合教育(インクルーシブ教育)については「好きな考え方」としつつも、学習効率としてはよくないというのが先生の考えです。
そのため、知能検査をできるだけ早めに受けて我が子の立ち位置を知り、どのような準備をしておけばいいのか感じておくのがいいとしています。
長年教育現場に携わる先生の言葉だからこそ、響くものがあります。
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