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なぜヤクルトとオリックスの日本シリーズは面白いのか

2年連続同じマッチアップとなった日本シリーズ

2年連続同じカードとなった日本シリーズが始まった。そして若干の若手選手の入れ替わりはあるものの多くの選手の顔ぶれは変わらない印象が強い。昨年の日本シリーズの記憶が強く残っている方も多いだろう。個人的にも2021年日本シリーズはとても面白く観た覚えがある。私はどちらのチームのファンでもないが、なぜこの2球団の日本シリーズは面白いのかを考えてみる。

球界を代表する選手の戦い?

オリックスには山本由伸、宮城大弥、吉田正尚などがおり、ヤクルトには三冠王村上宗隆、青木宣親、奥川恭伸(今季はシーズン序盤にケガ離脱)など注目の選手も多い。この選手たちの戦いを観たいからというのはあるだろう。実際にこの日本シリーズを語るときにNPB最強投手山本由伸と三冠王村上の戦いはどちらに軍配が上がるのか?という報道も多い。しかも昨季はすべてが僅差での試合ととても観ていてワクワクする試合ばかりだった。もちろんヤクルトファン、オリックスファンは自球団のスター選手の活躍は願うであろう。選手の活躍というような楽しみ方もあるだろう。しかし、他球団ファンはこの2試合に熱中して観ることができるのかは、そんな簡単なことではないと感じる。

「この2球団だから」面白いのである

別に日本を代表する選手で多くのプロ野球ファンが観たい対戦はホークスの千賀、西武の森友哉だったり、巨人の岡本や、カープ秋山だったりと多くいるはずである。私はこの2球団のある特徴が面白さを引き立てているのだと感じる。

その特徴とは”どちらの球団も嫌われていないこと”である。
プロ野球には”アンチ”という球団がある。主に聞くのは「アンチ巨人」だが、巨人はファンが多い一方でアンチが一番多い球団である。3連覇を果たした際のカープもビジターで1塁側に座るにわかカープファンなどがネットでも話題になり多くのアンチを作り、嫌われる要因にもなっていた。阪神ファンもスタンドでの声出しが度々話題になりコロナ禍で多く叩かれた球団だろう。実際にクライマックスシリーズでもファン同士の喧嘩がSNSを騒がせていた。そして近年パ・リーグでアンチが増えているのはソフトバンクが挙がる。潤沢な資産を持っている球団は嫌われやすい。
しかし、オリックスバファローズとヤクルトスワローズに関しては、アンチがあまりいない球団である。

こちらのアンケートはJタウンネットが行った嫌いな球団を聞いたアンケート(2019年に行われたもの)だが、このアンケートをすべて鵜呑みにするのはよくないが、プロ野球を長年見てきた感覚でいうと若干リアリティは欠ける部分はある。しかし、アンチが少ないという部分は納得である。

嫌いな球団ランキング
10位 東京ヤクルトスワローズ
11位 北海道日本ハムファイターズ
12位 オリックスバファローズ

そう、セ・リーグで一番嫌われていない球団とパ・リーグで一番嫌われていない球団の対戦なのである。実際に多くの野球ファンと会話した中でもアンチヤクルト、アンチバファローズなど聞いた記憶はない。メディアでは配慮して「嫌われていない球団」という言葉は使わないだろうが、この試合がなぜ面白いのか、という理由を考えたときに「嫌われていない球団対決」だからなのである。自分のひいきチームの日本シリーズが観たかったという悔しさはある。しかし勝ち上がった球団がアンチの球団ではなく、オリックスやヤクルトだったことが救いという感覚である。ヤクルトもオリックスファンも”地味な球団”という自虐をよくいうことが多いが、正直それが日本シリーズの注目が高い理由である。

こうして心穏やかに試合を観戦できる

他球団ファンは、どちらも嫌われていない球団だからこそ、勝負を心穏やかに観戦することができる。もはや他球団ファンからしたら「どちらが勝ってもいい」という状態である。地元ではない高校野球を観るような心穏やかな気持ちで観ている試合がこの2チームだと、毎試合とてもヒヤヒヤした展開になることが面白くさせているのである。
私自身も正直”どちらが日本一になってもいい”と思っているが、その「無敵モード」の感覚のおかげで今日も行われている日本シリーズ楽しみに観戦できているのである。

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