「神の子どもたちはみな踊る」
本を読むのが好きで、それだけでは飽き足らず、時々、書評のような物を書くことがあります。
(Noteはどうなんだよ、という突っ込みはあるにしろ)、ザ・SNSのような物はやっていなくて、それでもアナザー・SNSというか、「広い意味でのSNS」に投稿をすることもあります。
既にアカウントを削除してしまった、「広い意味でのSNS」、に投稿した書評が今でも残っていて、それはそれで嬉しいのですが、運営側の判断で削除されてしまったとしてもそれはそれで仕方がないのです。アカウントを削除してしまったのだから。
ふぅっ、ややこしいですね。
そんなわけで、こちらに転記させていただきました。
ネット書籍が当たり前になり始めたりしたけれど、1Q84が生まれる前で、村上春樹さんが”北国・国際文化祭”にノミネートされていない、2002年の3月頃に書いた物です。
生意気な書評かも知れませんが、そのまま、転記します。
自分で言うのも何ですが、観るべきことがいくつかある、ようです。
自分にはもったいないくらいの、いわゆるいいね、をいただいています。
もしかしたら、この Note を読んで、go for it! と言う読者もいるかも知れません。
そんな人は、”南アメリカ森林地帯どっと混む” に、こっそりと、お出掛けください。
既にアカウントを削除してしまった、「広い意味でのSNS」、に投稿した書評が今でも残っています。
「風の歌を聴け」に登場するDJ(犬の漫才師)の言葉を借りるなら、こんな風になります。
人差し指が折れるまでどんどんクリックしてくれ。
(cf. 「風の歌を聴け」11章 )
それでは始めます。
しっかりとした結末がある、村上作品はいかがですか?
神の子どもたちはみな踊る
作品概要
収録されているのは6編の短編小説。
最近の村上作品と同様、「喪失感のようなもの」がテーマです。今までの小説と違うところは、主人公が抱えているトラウマがはっきりしていて、それが原因で失ってしまったものもほぼしっかり書かれています。一番安心できるのは、短い作品の中で、それぞれの答えや結末、方向が示されていることにあります。
過去の作品との相違
長編小説だけれども、事件らしい事件がおこらない、かつ解決策も示されていなかった、「ねじまき鳥クロニクル」や「スプートニクの恋人」を読んで、村上作品に対して釈然としない気分のままでいる人も多かったはず。この短編集なら安心感、大ありです。
個々の作品について
以下、個人的に好きなものをいくつか紹介します。
・表題作「神の子どもたちはみな踊る」
白い月の光を浴びてピッチャーズ・マウンドで踊る善也のすがたが目に浮かびます。実写の映画では難しいかもしれないけれど、アニメでそのシルエットを表現したらかっこいいんじゃないかと思います。
・「かえるくん、東京を救う」
あなたのような人に声援してほしい、そんなふうにかえるくんに言われたら、うだつのあがらない銀行員・片桐じゃなくたって、一肌脱ぎたくなるでしょう。
がんばっているのに報われない、そんなときにはこれを読むと元気が出てきます。
東京大震災を食い止めるためにかえるくんと片桐が立ち上がる物語。芥川龍之介の「河童」を思い起こさせる作品です。
・書籍の最後を飾る「蜂蜜パイ」
この作品、「ノルウェイの森」に対するアンサー・ソングだと私は思うのだけれど、皆さんはどう思いますか。学生時代からの三角関係がハッピーエンドになる物語。
終わりにこれからの村上作品でもこのような味わいが感じられるのか、ちょっと楽しみです。
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