コーヒー豆に轢かれる|詩
もう来ないと思っていた朝が
性懲りもなくやってくる
悪夢を見た身体は
おそろしく冷たく乾いている
ああ、切実にコーヒーが飲みたい
昨日までの弱い自分を砕くように
ゆっくりと丁寧に豆を挽く
豆に轢かれる気分だ
やかんの湯気は私の眼鏡を曇らせて
視界を閉ざし、現実から遠ざけてくれる
無色透明だった自分に、芳ばしい絵の具を垂らす
いい香りのする、濡れたコーヒーフィルターみたいになった私は、犬の嗅覚に嫉妬する
不公平で理不尽なこの世界
戦うのが苦手で、逃げてばかりいる
主張して戦うのか、本当に沈黙は金なのか、
届かない言葉を声が枯れるまで叫ぶのは無駄なのか
漆黒の湯気がぐるぐると私を包む
思考がぐるぐると攻めてくる
今日は逃げずに立ち向かおうか
傷ついたら包帯でぐるぐる巻けばいい
昨日までの自分を、豆に轢き殺してもらう
そんな朝の儀式
ああ、切実にコーヒーが飲みたい
いかがでしたか☕️
少しでも楽しんで頂けたら感無量です。もうこの世に思い残すことはありません。嘘です。冷蔵庫の中にはコーヒーによく合う、まだ食べかけのバスクチーズケーキがあるからです。
私のページに立ち寄ってくださる皆さま、ぜひご自分の大好きな飲み物と、お気に入りのおやつを口いっぱいに頬張りながら、これからも言葉遊びを楽しんでいってください。おやつには致死量の砂糖を使うのがお勧めです。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
#詩 #ポエム #言葉 #創作 #エッセイ #写真 #珈琲 #コーヒー
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?