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海猫沢めろんの仕事まとめ

★最新刊




■海猫沢めろんはどんな仕事をしてきたのか

いろいろな仕事をやってきたおかげで、「名前は知っているけど何をしている人なんですか?」そう言われる場面が増えた。
なので説明する。随時更新。

■時間がない人向け、経歴まとめ

本が好きで小説を書き、本にまつわる仕事をしてます。サブカルチャーも好きですが、一番好きなのは小説。
とくに影響を受けているのは中学生の頃好きだったOVA美少女アニメ、80年代後半から90年代の純文学とSFとライトノベル。90年代後半から00年代の新本格ミステリとエロゲです。
著作はアマゾンにまとまってます。


※デビュー当時のインタビューをアップしておいた。

ぼくの仕事のつながりがわかりづらいのは、2つの要因がある。

・ジャンルの幅が広い

 自分ルールの優先順位の最初に「やったことないことは、とりあえずやる」があるためだ。

・発表が遅い

 すまん。発表時期が遅いせいで、つながりがわかりづらい。

■これまでの仕事をまとめて図にしてみた。

はい、これです。ダウンロードして見てください。

画像1

年表になっているので、左上から順番に解説します。

・2003年

いわゆるエロゲ作りました。翌年このノベライズでデビュー。

・2004年

デビュー作『左巻キ式ラストリゾート』が出ます。


作品作りに「動物化するポストモダン」を援用したことが後に「ゲンロン」の「ディスクロニアの鳩時計」連載につながります。

・2005年

『舞HiME』のノベライズを執筆。



第一原則「やったことないことはやる」が発動。
名義がナカガワヒロユキですが、これは編集さんに「ペンネームが……エロゲすぎるので変えましょう」と言われたため。
このへんで株とかはじめます。

・2006年

『嫌オタク流』という座談会本が出ます。
タイトルどおり、当時流行っていた嫌韓流のパロディです。ぼくはオタク擁護派として登場。なぜかオタクを叩いているという誤解を受けて批判されますが、そもそも決裂するような友達もいなかったので何も起きませんでした。
株に失敗。ほぼ全財産失い家がなくなった。知り合いの家を転々とする。

・2007年

『零式』が出ます。この作品はアリスソフトの「零式」と「特攻の拓」の悪魔合体(ほかにボストン・テラン『神は銃弾』、「メガゾーン23」、「狂い咲きサンダーロード」なども)。
ぼくは迫害されてきた時代のオタクなので、ヤンキーに対して嫌な思い出しかありませんが、「特攻の拓」は「オタク最強!」という話なので許せる。このあたりのオタク+ヤンキーというのは後に斎藤環さんの『ヤンキー化する日本』にリンクします。

この時期、大塚のシェアハウスに住み、ロスジェネ問題やワープアの問題をリアルに体感したことで、後の『ニコニコ時給800円』につながっていきます。

※ちなみにこの大塚のシェアハウスは、「秘伝」などでおなじみ、武道家の高無宝良くんを中心に、のちに「渋ハウス」創始者となるアーティストの齋藤圭太くんもいました。ぼくはこのあと文京区のシェアハウスに引っ越し。


・2008年

ボクシングのプロテストを受けた。
このジムで、出所してきたばかりの瓜田純士くんと出会い、のちに彼の本『ドブネズミのバラード』を企画編集することになります。


このへんからぼくの出身文化圏であるオタク系とのつながりが見えづらくなるんですけど、瓜田くんとなんの話してたかっていうと、PCエンジンとサブカル本の話です。「めろんさん……三沢痴廉に似てますよね」とかマニアックなツッコミされてびびりました。見た目はヤクザより怖いですが、むちゃくちゃサブカルっ子です。ぼくの誕生日に「めろんさん、これどうぞ」ってPCエンジンHuカードの「ダブルダンジョン」くれました。
この前後でたぶんPCゲーム「3Days」をちょっとだけ手伝いました(ほんとにちょっとです)。
あと、清涼院流水先生の「LOVE LOGIC」という作品になぜかホスト役で出てます……謎企画です。


・2009年

友人のKが亡くなり、これがのちに『頑張って生きるのが嫌な人のための本』につながります。
たしかこのへんで『神林長平トリビュート』の短編を書いてます。神林先生はめっちゃ好きな作家さんなんでこれは嬉しかったですね。日本のSFってなぜか言語系の傑作がよくあらわれる印象なんですが、その趣味が「アリスの心臓」(ゼロ年代SF傑作選)につながります。

・2010年


『全滅脳フューチャー!!!』出ます。

これはまさにぼくのルーツであるオタク文化と、地方都市のアンダーグラウンドのことを書いた本なんですけど、ほぼ理解されませんでした。ただ、数人の読者や書店員や編集さんからむちゃくちゃアツい声をいただいて、いまだにこれが一番好きだとよく言われます。連載時の挿絵は新井英樹先生です。チャンスあればあの挿絵で復刊したい。


『ゼロ年代SF傑作選』に「アリスの心臓」という作品が収録されます。ハイパービリオンっていう存在と並行世界の話がでてきますが、そこもディスクロニアの鳩時計と世界がつながっています。


・2011年


『愛についての感じ』と『ニコニコ時給800円』が出て野間文芸新人賞候補になりました。


この二冊は、読めばわかるんですけど、純文学へのオタク文化の密輸の成果です。
この本の関係で鈴木謙介さんと対談したのが縁で、TBSラジオLifeにお邪魔することに。
この年に子供も生まれ、『キッズファイヤー・ドットコム』につながる。

・2012年


ゲンロンで「ディスクロニアの鳩時計」が連載開始されます。
さらに直島を取材したモネと冥王星(単行本化されていない)という小説を書きますがこれはまだ単行本化されていません(震災がらみの話なんですけど、ぼくが純文学に密輸したかったKey作品……というか麻枝准的なものを描いてます。むろん裏設定的にはディスクロニアの世界とつながっている)。取材中にフランス人の映画監督と出会って映画に出ることになりました。第一法則「やったことないことをやる」。のちにその映画は完成して日本でも公開されることに。
直島との縁は深くて、のちに描く「夏の方舟」「怪談実話系」でも直島周辺の取材をしています。

・2013年


全滅脳が文庫化。実話系怪談も書きましたが、これは試しに取材してみようとおもって、直島の隣の豊島で「怪談しりませんか?」と聞いて回った成果です。おもしろかったなあ。
さらに謎仕事ですが、真野恵里菜さんの写真集「まのなの」のポエムも担当しました。


「死にたくないんですけど」は八代嘉美さんとの共著で、iPS細胞にまつわる本。このへんではSFの興味が科学につながって、ルポをやりたいなあと思っていたところですね。これがのちに「明日、機械がヒトになる」につながります。


ゲンロンカフェで、新城カズマさんとふたりで伝説的なイベント「読者工学論」全6回くらいでやった記憶が。いずれ本にしたいですね。

・2014年


『頑張って生きるのが嫌な人のための本』が刊行。『左巻キ式ラストリゾート』『ニコニコ時給800円』が文庫になりました。
左巻キの解説は東浩紀さんですが、ここで伏線を回収しました。同時に表紙には「ゼロ年代という剣をおさめて眠る」という意味が込められています。
ちなみにアンソロジー『名探偵登場』の内容はディスクロニアの鳩時計と世界観をともにしています。
さらに、「頑張って……」で語られる「データ的実存」という考え方は「左巻キ式」のときにかすかにあって、そのあとディスクロニアと、のちの「夏の方舟」にもつながっていきます。
「データ的実存」はこの後、ずっと重要なテーマになってます。
「まのなの」からのアイドル系仕事で、でんぱ組incの相沢梨紗さんのソロ曲の歌詞を担当しました。歌詞仕事、初めてだったんですけどこれはとても楽しかったです。


・2015年

『ディスクロニアの鳩時計』の前半が電子書籍としてまとまります。瞬間的に又吉直樹の『火花』をこえて一位になりました。



モネのときの直島フランス映画が完成。上映され続けています。
バンダイナムコのアプリ「しんぐん デストローイ」のシナリオなどを担当しました。これは第一法則「やったことないことをやる」発動です。
「緊縛男子」のモデルになります。これも第一法則……略。これ、写真家の方が、たまたま同じシェアハウスの住人だったんです。



歌詞仕事が続き、さらに虹のコンキスタドールの「エイリアンガールインニューヨーク」も担当。

・2016年


ゲンロンアートスクール出身の弓指くんの個展に合わせた短編「虚宮」を執筆(ディスクロニアと世界観をともにしています)。これは当時展覧会で発売されました。
4月に熊本に引っ越して4日後に被災。ゲラをやりつつなんとか、『明日、機械がヒトになる』が発売。

続けて『夏の方舟』も発売。装画、めっちゃ気に入っています。BL作品ということで、唐突に思えますが、BLはオタク文化の一部として以前から親しんでおり、栗本薫の小説道場に投稿していた黒歴史が……(もっとも、当時はJUNEとかやおいでしたが……)。このあたりの話はケイクスのネット記事になっています。


河出書房『10年後のこと』に掌編を一本。深夜放送の「真夜中のニャーゴ」にも出演。BSの番組「ご本出しときました」に出演。アナログゲームサークルRAMCLEARを開始、初作品「双六丸」完成。歌詞仕事、虹のコンキスタドール「ノーライイフベイビージエンド」を担当。


・2017年


仕事態勢を整えるのが遅れ、『キッズファイヤー・ドットコム』の後半が書けず、なんとかこの夏に書き終わり発売。野間新人賞候補に。 『キッズファイヤー・ドットコム』はホストと子育てという一見完全にオタク文化から遠いものだと思われがちですが、これは、ぼくなりの「CLANNAD」。このへんはデビューから一貫してます。
『愛についての感じ』が文庫で復刊。RAMCLEARのゲーム「ヘルトウクン」も発売。


・2018年

『キッズファイヤー・ドットコム』が熊日文学賞を受賞。


RAMCLEAR3作目となる「ダイスニコフ」完成。「ヘルトウクン」がアークライト社より発売。ボードゲーム製作は一緒にやっていたツムキくんに任せることに。
FMラジオ「ON THE PLANET」の水曜メインパーソナリティを担当することに。ヴァイナル文學選書の「熊猫」を執筆。

年末に古典BLセレクション『古事記』が発売。初の古典翻訳でしたが、とても楽しかったです。古事記系のエッセンスはディスクロニアにも少しだけ入っています。

・2019年


『キッズファイヤー・ドットコム』の漫画版がヤングマガジンで連載開始。
年末に『キッズファイヤー・ドットコム』の漫画連載終了。

文庫『夏の方舟』、『もういない君と話したかった7つのこと』(『頑張って生きるのが嫌な人のための本』、改題)発売。
Amazonのオーディブルで『キッズファイヤー・ドットコム』と『明日機械がヒトになる』を自分で朗読して配信。


ディスクロ終わらせるために仕事場を借りる。子育てエッセイ「パパいや、めろん」開始。
この年、RAMCLEARより「名前はマダない」「ヘルオストルくん」「探偵シド・アップダイク スローターズパレス」の三作が発売。ぼくが熊本にいるあいだ、ツムキくんが頑張ってます。
この年に新しく初めたことは「雲の絵を描く」「ゲーセンでダンス」「年末にYou Tubeでゲーム配信」など。

・2020年

3月にディスクロニア後篇10話を脱稿。のこり2話……しかしここでコロナ到来。仕事場がなくなり、東京にも行けなくなる。4月発売予定だった『パパいや、めろん』の発売が6月にずれる。
さらに4月のRAMCLEARは新作ゲームを3本発売「探偵シドアップダイク カラミティトルーパーズ」「名前はマダないワンシーン」「ゲットゴッダーテンペスト」。これまたゲームマーケットが中止になりいろいろと大変。

文学系ロックバンド「エリーツ」が再結成。メンバーは佐藤友哉、滝本竜彦、Pha、ロベス、ぼくです。作詞作曲、歌、ギターなど担当してます。初ライヴ完了。


年末、大晦日ギリギリで『ディスクロニアの鳩時計』の第一稿目が完成!やったー!ここから修正だ!でも終わった!8年の長い戦いが一段落した!

・2021年

コロナで低迷。弊社ツムキくんががんばって集英社×RAMCLEARのコラボを実現させる。

エリーツの活動が活発に。文学フリマにて毎回同人誌を頒布。



・2022年

熊本から引っ越し。首都圏に戻ってきました。大塚ギチの意思を継いだゲーム文学『トウキョウヘッド』を復刊、新刊『TOKYOHEAD NONFIX』を刊行。

詳しくはこちら

・『感傷マゾ』vol7
「心臓にふれあう夏の雨をまつ」という短編を寄稿しました。

久しぶりにちゃんと短編を書いた、自信作です。VR空間、世界の終わり、君と僕。そんなテーマが好きな人にはぜひ。

・『エリーツ』
夏と冬、年2回刊行しているぼくらの同人誌です。
今年はvol6にて新連載「異世界先生」「蒼光のパノピリア」という小説を2本はじめました。


・『SWITCH』
米津玄師さん表紙のSWITCH!こちらでプレステにまつわる短編を寄稿しました。ゲームライターのjiniさんが編集に関わっているのですが、依頼のメールとかがめちゃめちゃ丁寧で感動しました……仕事できる人はちがう。



・公式サイトをnoteにまとめました。
いろいろあってもアレなんで、こっちに全部移しました。
日記は相変わらず定期的に更新しているので、購読してもらえると嬉しいです(俺が)。購読してくれてる方には感謝!

・書評
小説すばるの書評を毎月担当してます。あと、たまに共同通信でも書いてます。今年も何本か書きました。
・ネットフリックスフリークス
こちらは年末からはじまった連載。すでに4本書いてます。どんどんふえるぞ。

・作詞
メジャーデビューした、ミームトーキョーさんの新作。PVも面白い……。ダンスもめちゃ上手くなっててまだまだこの先が楽しみ!

・おまけ



久しぶりにロケットニュースでインタビュー受けました。

あと、SPA!のグラビアのポエム書きました。楽しかったです。滝本竜彦くん、佐藤友哉くん、と続く予定(バンド内でバトンを渡してみた)。

・2023年

首都圏生活2年目ですが、プライベートでいろいろなトラブルがあり、夏に都内に引っ越しました。2024年もそのあたりが尾を引くと予想されますが、もうそんなことを言っている場合ではないので、そのまま仕事。
2021年がかなりキツかったのですが、2023年はそれをさらに更新。とくに仕事面は、人生で一番キツかったかもしれない。まさかここにきて辛さレベルが更新されるとは。
つらいときほど人間が試されるのだと思って、なんとかやりすごそう。耐えるとか、反抗するとか、そういう方向だといつか心が折れてしまうので、力を抜いてやりすごすのがいい。曲がるけど折れずの精神で。

前半はナカガワヒロユキ名義でやったライター仕事「ゲーセン戦記」

が非常に好評でした。
5月には同人誌「エリーツ7」

11月には、「エリーツ8」で、

編集とデザインと執筆を行いました。スランプについて深く考える機会になりましたが、結論「ごたくはいいから動け」ってことですね。

大阪大学感傷マゾ研究会の同人誌「青春ヘラ」に、描き下ろし短編「地方都市に於けるアンダーネオン形而上学派少女哲学の終焉」を寄稿しました。前回の感傷マゾの短編につづき、自信作です。

商業ではなく、同人誌の仕事をすることで、本当にやりたいことがわかってきました。

・失うことで得られるもの、について
・ミステリ要素のある暗くせつない作品
・読者と作者をつなぐモノとしての「本」がつくりたい

商業か同人誌かは無関係で、むしろこのポイントが純粋に守られていればいるほどパワーが出る。

・書評
2023年も小説すばるの書評を毎月担当しました。

出版予定だった『ディスクロニアの鳩時計』は2024年に持ち越し。
今年も、人に過度に期待することなく、ひとりでこつこつやっていきます。


最終更新 2024.1.3

こうしてみると、根っこはぜんぶオタク文化にある。

ちなみにここに書いてるのも、たぶんちょっと時期ズレていたりするかも。わりと大雑把なんで。
エゴサしないんで、wikiとかの記述で間違ってるのに気づいたら、誰か訂正しておいてもらえるとありがたいです。

よりよい生活のために役立てます。