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「すべての人に平等な教育を」―日本と海外の当たり前の差を埋めたい―タイ日本人学校次期教員佐藤実紅


東京学芸大学国際教育選修 大学四年生
異文化理解や、海外と日本との比較教育、他者理解などを中心に学んでいる。大学3年生から(株)LX DESIGNでインターン中。2023年4月からタイの日本人学校教員。


自分の『当たり前』が崩れる衝撃

国際協力や、海外と日本の教育の違いに興味をもち、2023年4月からタイの日本人学校で教員としての人生をスタートさせる大学生みくさん。

中学校1年生の時担任が青年海外協力隊に属していた事から、海外に興味を持ち始めたと言います。

「幼い頃から…というよりは、人との出会いが自分を国際化させていったように感じます。(笑)中学2年生の頃、イギリスにゆかりがある友人に出会い、ますます海外へ興味が湧いていきました。」

国際理解を深めていく中で、今まで暮らしていた日本での”当たり前”がどんどんと崩れていく事に衝撃を受けたそうです。

「自分は学校に行ける事が当たり前になっていて、勉強できる環境も当たり前に揃っている。授業中に寝ている子もいる。とりあえず授業を受けていればいい。そんな日本の文化がある一方で、勉強したくて、どうしても授業を受けたいのに受けられない子達がいる。その事実にもどかしさとか、悔しさとか……。生まれた国によって、受けられる教育の機会に差があってはいけないと、そう思いました。」


「海外協力に全力を尽くしたい」想いに共鳴したLX DESIGN金谷との出会い

国際協力の分野で携わりたい。この教育のあり方を変えていきたい。

その想いで入った東京学芸大学国際専修。

しかし、入学直後、周りの友人達との想いのズレを感じたのだと話します。

「私は、本気で国際協力に向き合いたいと思っていました。でも、周りは違ったみたいで…。英語科に入れなかったから仕方なく、とか、教員免許は別に、とか…。」

気持ちのザワつきを抱えていた入学式。
その3日後、みくさんにある出会いがあったと続けます。

「そこで出会ったのが、(株)LX DESIGNの金谷さんでした。自分の想いと周りとの差を泣きながら話すと、その気持ちに共鳴してくださって…。きっと、私を助けたいと思ってくれたんだと思います。そんな私に、色んな面白い企業や人を紹介してくれたり、仕事に誘ってくれたりしました。」

教育業界に踏み込んだ会社の多くが、私立や塾へ矢印を向ける中
『公立の学校へも教育の機会均等を届ける』
『すべての人が自分らしい人生をデザインできる世界を』
というビジョンを掲げる金谷社長に、深く共感したというみくさん。

大学3年生からはインターン生として会社に関わる事に。
教員志望の学生向けや、海外教育関連のイベント企画。海外で働く先生の取材記事のライティングなど、幅広く経験を積んでいったそうです。

「LX DESIGNに関わらせていただく中で、自分のしたことがLXのためになっているという喜びを感じました。自分がインタビューした方との間でお仕事の案件が出来たとか、企画したイベントで素敵な人にめぐり会えたとか。あぁ、自分、携われて良かったなぁと心から思うんです。」


SDGsの研究から見えた、世界と日本のギャップ

また、卒業論文を執筆する中で、沢山の興味や疑問が湧いてきたのだと話します。

「私は、『SDGsを達成するために学校教育はどうあるべきか』というテーマで研究を進めていきました。それがまぁ、結論、とても難しくて…。」

ユネスコなどの国際的な機関はSDGsの17の目標を示しているのに対し、日本の文科省が出しているのは「育てたい態度や能力」についてだったと分析するみくさん。
”持続可能な教育の在り方を進めていこう”、というよりは、”SDGsというものが出たからそれに寄せていこう”という感じを受けたのだそうです。

「現場でもSDGsを取り入れる動きが始まっていると思うのですが、自分がもし現場に立つとしたら少し混乱してしまうかも…、と思いました。」

さらに、日本が課題とするSDGsの項目と、海外で課題とされている項目が違う点にも注目。実際に現場に出て、自分の目で見て、肌で感じ、それを打開していけたらという気持ちから、タイの日本人学校教員になる決意をしたと言います。

「タイの人ってめちゃくちゃ温かいんですよ。トゥクトゥク(タクシー)に乗った時、おつりが足りなかったんですけど、運転手のおじちゃんが『ごめんこれ!ありったけのお金!持っていきな!』とか笑顔で言ってくれたり(笑)タイ教育にもすごく興味があって。小学校の就学率は100%を超えているみたいなんですけど、質は均等じゃないとか。キラキラとしたショッピングモールが並んでいるかと思いきや、少し中道を逸れるとスラムのようなところがあったり。自分がまだまだ知らない世界があると思ったら、すごく面白いなぁって。」

やりたい!や、わくわくを後押しできる存在に

大学へ進学し、研究やLX DESIGNでのインターン経験を通してますます海外協力に興味が湧いたというみくさん。

教育への関わり方って沢山あるんだと知る事が出来ました。どういう風に関わるのがいいのか、日本がいいか海外がいいのかまだ全然この先の事は決めていなくて。
でも、どこの国にいても、私が変わらないのは
『子どもたちのやりたい、わくわくを後押しできる、可能性を広げられる人』になりたいという気持ちです。
学校に通える子どもが増えてほしい。日本なら、就活の時にあわてて仕事を考えるのではなく、やりたい事を早く見つけられるような形をつくりたい。学校の先生に4月からなるけど、なってからも学び続けられる人でありたいと思っています。
大学までの勉強を通じて、偏らずにいろんなものを見た方が選択肢も広がる事をを実感しました。
知っててやらないのと、知らなくてやれないは違う。
まだまだ未熟な私ですが、みなさんと一緒に考えて、いろんな価値観にふれて自分を深めて、一緒に頑張っていきたいです。」

4月から始まるタイでの新しい生活と、これからの新しい自分にわくわくしていると教えてくれました。


編集後記
みくさんの熱い想いをダイレクトに感じるインタビューでした。誰かにとっての当たり前は、誰かにとっては当たり前ではないという言葉の意味を、もう一度深められたなぁと感じています。「日本が」「海外が」という枠でなくて、この地球に生きる人全員の幸せを願っているような。そしてそのために、自分には何ができるのかをまっすぐ見つめて考えて、行動に移しているみくさんを心から尊敬し、応援したい気持ちです。
ぜひともに、素敵な未来を創って参りましょう。
みくさん、貴重なお時間ありがとうございました。
(インタビュー・編集・イラスト By Umi)


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