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「どうすれば内申点を上げられますか?」という質問に対する答え

わたしは高校の教員なので、学校説明会へ訪れた中学生や、一般入試以外の受験を控えている高校生から「どうすれば内申点を上げられますか?」と聞かれることがある。

内申点は進路を考えるにあたってかなり意識を向けるものだと思うが、そうはいっても内申点が何なのかきちんと理解していなかったり、どうすれば内申点を上げられるのかわからなかったりする生徒や保護者もいるだろう。

そのため今回は「どうすれば内申点を上げられますか?」という質問に対する答えを書いていきたい。



まず、内申点とは何なのだろうか。

部活や委員会の実績?
資格や検定の種類と数?
遅刻や早退や欠席の日数?
学校生活全般における態度?

といった具合に、加点や減点の対象があれこれと思い浮かぶひともいるかもしれないが、それはどうやら調査書と混同していそうである。

調査書に内申点は記載されるが、調査書と内申点は別物である。

内申点とは単純に成績(通知表に記載されている評定)のことだ。

中学校の場合は、3年間のうちどの時期のどの成績が内申点の対象になるかという内訳は、各都道府県による。

高校の場合は、3年間のうち、高校1年次の1学期から3年次の1学期までの成績が内申点の対象になる。

つまり「どうすれば内申点を上げられますか?」という質問は「どうすれば成績を上げられますか?」と同義だということだ。



では、どうすれば成績を上げられるのだろうか。



答えはとても簡単だ。

1.定期テストや小テストで高得点をとる
2.提出物はきちんと丁寧に取り組んで期限内に提出する
3.発表やグループワークは積極的に取り組む

この3つをおこなえば必ず成績を上げられる。



では、ひとつずつ説明していこう。



1.定期テストや小テストで高得点をとる

これは結果が点数化されるためわかりやすい。

なお、たまに平均点を見て出来具合を把握しようとする生徒や保護者もいる。
たとえば100点満点中60点をとった場合、平均点が30点であれば評価は高く、平均点が70点であれば評価は高くないという考えかただ。
これは他者と比較して自分の出来具合を把握していることになるので、保護者の世代におこなわれていた相対評価の考えかたになってしまう。

現在は絶対評価なので、他者との比較である平均点を意識する必要はなく、あくまでも50点を基準として、そこから自分がどの程度の到達度(出来具合)であるか把握するという考えかたになっている。

裏を返すと、教員は常に平均点が50点になるようなテストを作らなければならないのだが、これが意外とむずかしいということは、きっと多くの教員が実感しているはずである。



2.提出物はきちんと丁寧に取り組んで期限内に提出する

提出物はただ提出すればいいのではない。

たとえば振り返りの項目(これは“主体的に学習に取り組む態度”に反映される)の場合、「特になし」「よくわからない」などは論外だし、「おもしろかった」「わかりやすかった」「勉強になった」なども言葉足らずだ。
そのため、自分は具体的にどんなことを学んだのかということをきちんと丁寧に書かなければならず、内容の質が求められる。

それから提出期限も重要で、もし授業開始時に提出しなさいと言われたならば、文字通り、授業開始時に提出しないと満点はもらえない。
授業開始後に急いで書き、授業の終わりに提出しても「授業内だからOK」とはみなされず、授業中に関係ない作業をしたり、遅れて提出したりしたことで減点となってしまう。
そのため教員から伝えられた期限をしっかりと守らなければならない。



3.発表やグループワークは積極的に取り組む

人前で話すことが得意で、発表者に立候補したり、グループワークで意見を出したりまとめたりできる生徒は、この部分でぐんと飛躍する。

しかし、人前で話すことにどうしても苦手意識がある生徒は、残念ながらこの部分で減点となってしまう。

そのためそういった生徒は、たとえばグループワークの際に書記のような役割を担うなどして、自分なりの取り組みかたを模索し、それを示すようにするといいだろう。



以上が3つの説明である。

なお、保護者の世代は成績をつける際にテストの比重が圧倒的に大きかったため、テストの点数が高ければそのほかは多少手を抜いても良い成績がとれる(もしくはテストの点数が低ければそのほかでがんばってもあまり意味はない)という感覚を持ちやすい。

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「なぜ我が子の成績がこんなに低いのか」と疑問を抱く保護者は、たいていテストの点数が高く、その点数と成績が釣り合っていないのではないかと感じているパターンが多いだろう。

いまも全体的に見るとテストの比重はやや大きいものの、それだけではなく、提出物や発表やグループワークなどの比重も大きいため、多角的かつ総合的に判断することになっている。

したがって、成績を上げたければ、すべての活動を抜かりなくおこなう必要があるわけだ。



さらに、上記の3つをおこなうにあたり、その根幹ともいえる次のものも付け足しておきたい。

4.授業は休まずに出席する

良い成績をとるためには実のところこれがとても重要だ。

重複するが、保護者の世代のようにテストの比重が圧倒的に大きければ、多少欠席していてもテストで挽回することができたので、さほど影響はなかったはずだ。

しかし、提出物や発表やグループワークの比重も大きいとなると、授業に休んでいるあいだにおこなわれたそれらのものに関してはすべて減点となり、挽回のしようがない。

もちろん提出物はあとから提出することもできるが、遅れとして減点は避けられないし、発表やグループワークはあとからおこなうことすらできない場合がほとんどだろう。

出席停止や忌引きや公欠なら考慮の対象になり得るが、何にもあてはまらない欠席が、良い成績をとるにあたって想像以上に足を引っ張るものになるという認識は持っておいたほうがいい。

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体調不良なら無理をせずに欠席してほしいが、レジャーなどの必要不可欠ではない欠席の場合は、そのリスクをきちんと心得たうえで、個々の自由な判断が求められる。



ちなみに、良い成績をとるにあたって、上記以外に、次のようなことをまことしやかに言う生徒や保護者もたまにいる。

・休み時間になったら先生に個人的な質問をしにいったほうがいい
・先生に挨拶などをして常に態度を良くしておいたほうがいい


こういった意識の背景には「先生も人間だから」という言葉がお決まりのように添えられる。

先生も人間だから、積極的(または好意的)な姿勢を示しておいたほうが印象は良くなり、成績を迷ったときに、上げてもらえるかもしれない。

はっきり言うとこれは間違っている。
すこしきつい表現になるが、間違っている理由は以下の3つだ。

・成績は客観的根拠に基づいてつけられるものであるという大前提を忘れないでほしい。

・教員は人間だから印象操作にやられて成績に影響をもたらすだろうと思われているなら心外だ。

・そういうたくらみがある生徒(及び保護者)のことはすぐに見抜けるものである。

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成績に関してささやかれる「先生も人間だから」という言葉の背景には、成績や教員に対する根本的な誤解も含まれているといえるのではないか。

ただ、当然だが、積極的な姿勢自体は決して悪いことだと思わない。

積極的な姿勢で臨む生徒は結果として成績が良くなることも多いし、その逆もまた然りである。

そのためぜひ積極的な姿勢で臨んでほしいと思っているが、「先生も人間だからこうしておけば成績を良くしてもらえるでしょう」というたくらみがあるのなら、それは教員に伝わってしまうものだし、成績に直接的な影響をもたらすこともないので、すぐに取り払ったほうがいいだろう。



以上が「どうすれば内申点(成績)を上げられますか?」に対する答えである。

1.定期テストや小テストで高得点をとる
2.提出物はきちんと丁寧に取り組んで期限内に提出する
3.発表やグループワークは積極的に取り組む
4.授業は休まずに出席する


5段階評価で5をとる生徒たちは、こういった客観的根拠となるさまざまな種類の活動に対して、多角的かつ総合的に、日々コツコツと取り組んでいるのである。

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