田舎なんだから….
自転車 バス 電車を乗り継いで
都会に出た….
バスに乗るのも2年振り….
小銭じゃらじゃらにドキドキした。
普段 川や山や森を眺めている
今宵は 目が眩しい…
激流の中を 上手く歩けるようになった。
人の海の中を 歩くのは 難しい
まだ 待ち合わせには時間がある。
人の少ない ベンチに腰掛け
空を眺める
Google先生に案内され 出向いたら
そこには 店は無かった。
記憶の底から いつも集まって居た店に
行くと 名前が変わっていた。
ロストポジション ヤバいな….
彷徨いやっと たどり着いたのは
昔の馴染みの店だった…
今宵 祝いの宴に 招かれて….
馴染みの友人達は
ずっと車の話で盛り上がっている。
一台の車から繋がるご縁
そんな彼も いつしかベテランのメカニックに育ち 夢を語る
此処の店には 窯がある。
窯を 観ると 焚きたくなって来る
この階段を 何度も何度も
行き来する スタッフ
“なんだか アスリート養成所みたいだな”
と
“脚鍛えられました”と笑う
スイーツに ドッピオ…
細やかな宴は 愉しく終わる
“またな…って”
猪や鹿や狐や狸の居る 田舎を
結ぶ 猫バスが出る時間だ…..
“走る”と言う 動作を 身体が
覚えていたんだと 確認する。
どうにか ギリギリ間に合った
都会から 田舎に行く猫バス
3名だけだった…..
心地良いシートに 身体を預け
気が付いたら 星空の観える 田舎だ
“猫バス 着いたら タクシーで帰るから
迎えは 要らぬ”
坊にメールを入れていた。
え?
タクシーは 何処?居ない…..
片付けを 始めるバスの運転手は呟く
“田舎ですからね〜 タクシーなんか
居ないですよ”
大丈夫 呼べば来る
“本日の営業は 終了しました”
電話口の音声は 冷たい
マジかよ
パトカーが やって来た。
止まって こちらを観ている…
“厳つい顔の鮎漁師”….
あと数分でカボチャの馬車に変わる時刻
“職質か?”…..
駐車場をひと回りして
また こちらを 観ている
“おい 職質しろよ”....
坊に電話を するも.....絶望感....
“脚 あるから 歩いて帰れば
いずれ着くだろう”....
携帯のライトを片手に 田舎の道を
テクテクと
リハビリ リハビリ
ヒッチハイクするか....
それは 車が通るから 想う事....
電話が入る....
“今から迎えに行くは....”坊だった
テクテクと歩く 半分くらい歩いたら
向こうから 光が近づく
真っ赤な亀号だった。
“悪いな...”こんな夜中に…
“田舎なんだから タクシーなんて
いる訳ないやん”
坊は 呟く.....
“さっきバスの運転手にも 言われた....”
“あのまま歩いてたら 野垂れ死にするよ
田舎なんだから”
“…….”
今朝 家人に 昨夜の話をした。
開口一番
“田舎なんだから タクシーなんか
来る訳ないやん”
田舎での 共通認識だった
“都会の眩い金色の壁を観て
大昔 無人駅に 降り立ち
一面 金色の麦畑を 思い出した日”
平安な暮らしをする縄文人
浦島太郎な浮世雲
真っ赤な亀に助けられて
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