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ベスパで 漁場を 観に行くために….ギランバレーに恋をして…

“ベスパ乗れよ”


バイクの免許を取りに行き出した坊に
呟いた

“あのぼろぼろのベスパ 動くんか?”
坊は呟く

誰が観ても そういうだろう。

1980年生まれ イタリアからやって来て
早 42年
前に乗ったのは.....14年はくらいは経つだろう
“馬鹿じゃない? 毎年税金払って...
錆サビだし..,”
言われ続けて来た

“ベスパは 大丈夫 
ある日
乗りたいと ふと 思ったら
デロルトキャブさえ オーバーホールして 新しい混合ガソリンさえ入れたら
走りだす….“

錆チューンしてるんだと
年々 増える錆に 人肌と同じだと
感じていた。
伊太利亜から来た時には 純白の
イタリア美人さんだったろうに


一月前 鮎漁師がお休みの日
キャブレターをオーバーホールし
新しい混合ガソリンを入れたら
けたたましい煙に包まれながら
鼓動を始めたエンジンは 喜んでいる

“……..“

”ほら ベスパは大丈夫やろ“

そう言って 一冊の本を 手渡した。
ベスパのバイブルである。

その日から 坊は レストアを始めた。

”ただし 外観だけは 洗っても
塗るなよ 錆サビチューンだから“

昨日 バイクの免許を貰った坊
ベスパに乗り 田舎の景色を 堪能して来たと....
“50キロしか出ないけど
楽しくて 愉しくて”

さて 川見に行くかと
いつものバタバタバイクで無く

ベスパを 選んだ
14年振りに乗る

ベスパに 乗るのは とても難しい
左手で クラッチ 
レバーは 重たく 繊細
左手を捻って ギヤを変える
ブレーキは 右手と 右足
そして アクセルを 絶妙に回さないと

高等技能が要るのである。

ギランバレーに恋して…
全ての動きを 絶妙にコントロールして

川まで たどり着いた….

とても とても 嬉しくて
良くここまで 回復出来たなって

錆サビのイタリア熟女は 呟く

“この日を ずっと 待ってたと”

なんだか 雨が降って来たみたいだ

ギランバレーに恋して
回復期リハビリテーション
ベスパで 漁場へ

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