味わいのみかん狩り
週末、みかん狩りに行ってきました。
みかんは大好きです。よく食べます。
子どものときは、「体が黄色くなるからもう食べるのをやめなさい!」と怒られながらも、みかんをひたすら食べ続けていました。
「食べ物で遊んではいけません!」と怒られながらも、親指をみかんに刺しては遊んでいました。
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今回お世話になったみかん畑は斜面になっていて、みかん狩りの受付は斜面の中腹にありました。
そのため、駐車場からは斜面を登っていく必要がありました。
歩きやすい道が整備されているとはいえ、受付のある掘っ立て小屋までは軽い登山になりました。
ようやく掘っ立て小屋に辿り着くと、中にはエプロン姿のおばちゃんがいました。
おばちゃんのルールによれば、ここのみかん狩りは時間無制限の食べ放題。
おみやげ用のビニール袋を買えば、その袋に詰められるだけ持ち帰りOKとのことでした。
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僕は、ビニール袋を1枚買いました。
おばちゃんに、おいしいみかんの見分け方を尋ねてみると、
「皆さん大きいミカンばかりを探して持って帰ろうとするけれど、大きいから良いという訳じゃないのよ。」
とのことでした。
僕は、おばちゃんのなんとも奥深い言い回しに感銘を受けたのですが、ここはあれこれ考えずに、できるだけ小ぶりで甘くておいしいみかんを探すことにしました。
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おばちゃんによれば、斜面を伝って奥の方へ行けば、もっとみかんがたくさんあるとのことでした。
指示通りにしばらく歩いて行くと、みかんが驚くほどびっしりなっているエリアに出ました。
みかんの木の一枝一枝に、まるで大きなブドウのように、みかんの実がたくさん連なっていたんです。
どの実もおいしそうに、日差しをぽかぽかと受けて、まばゆくオレンジ色に光っていました。
みかんだらけの空間に、僕のテンションは否応なしにあがりました。
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早速1つ、みかんをもいで食べました。
皮を剥いた瞬間に、みかんのさわやかな香りがフワーッと空間に広がりました。
日当たりはいいけれど、空気はひんやりしているから、みかんはちょうど良く冷えている。
もぎたてのみかんを一房ちぎって口に入れると、そのみずみずしさに驚きました。
噛めば、ほのかな甘さと、しっかりとした酸味を感じる。
少し運動して暖まった体に、みかんの果汁が染みわたりました。しっかりとした酸味に、体が喜んでいるようでした。
皮を剥いた自分の手のひらが、みかんのいい香りに包まれました。
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もいでは食べ、もいでは食べを繰り返していると、甘くておいしいみかんを見分けられるようになりました。
どうやら、固くてもぎにくいみかんよりは、やわらかくてもぎやすいみかんの方が甘い。
太陽に向かって元気にいっぱいに伸びている枝のみかんよりは、垂れ下がった枝から地面に落ちてしまいそうな頼りないみかんの方が甘い。
それはまるで、「私はもう甘くなっていますよ。このままだと落ちてしまいますので、もいではいかがですか?」と、みかんの方から語りかけてくるようでした。
そういうみかんは、無理やりひっぱることなく、ほとんど力をいれずにスルっととれました。
つまり、大きすぎず、元気すぎずなんです。小ぶりで、頼りない方が、中身は甘いのです。なんとも繊細・・・。
僕は、そんな繊細なみかんたちを、おみやげ用のビニール袋いっぱいになるまで、乱雑に詰め込みました。
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みかんに囲まれた一日を過ごし、体も心もさっぱりとした気分になりました。
誰にも怒られずに心ゆくまでみかんを堪能できたのは素晴らしいことでした。
ふと思い出し、親指をみかんに刺してみようとしましたが、小ぶりのみかんと比べて、成長した僕の親指は大きすぎて、もう上手く刺せそうにありませんでした。
僕の体は随分と成長したけれど、僕の心はまだまだ成長する余地がありそうです。
おばちゃん、ありがとう。ここのみかん狩りは最高でした。来年もまた来ます。
お気持ちは誰かのサポートに使います。