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自分の名前の真意を探る

私の名前は漢字で「育」と書き、「いく」と読む。
「郁子さん」「育美さん」などもいる中で、この漢字1文字で「いく」という名前は今まで出会った人からも少し珍しがられることが多い。

先日ふと、私の友人が「育さん」と漢字表記しているのを読んで、自分の名前の、自分なりの『本当の意味』の輪郭が頭に浮かんできたので文章にして頭の整理をしてみようと思う。

私の名前は、私の両親が考えた割とユニークな付け方が由来になっている。両親の下の名前には、共に「」(ナベブタ)が使われていることに着目し、家族みんな名前に「」をつけよう!というテーマが生まれたそうな。この「」をベースにして、画数の良い漢字で考えたと聞いている。ちなみに姉は「衣」(キヌ)という名前。これまたおばあさんのような、一周回って現代的なような珍しい名前である。そんなナベブタ家族の一人として「育」が誕生した。
余談だが、もし私が男の子だったら「玄」だったらしい。格好良いな。

「育」という名前は、こと経営者や企業側からは印象の良い漢字に見えるようで、過去の就職や転職活動の面接時には「うちの会社も育てていってくれよ〜!」というようなコメントを頂くことが何度かあった。この時は特に疑問には思っていなかったのだが、今になってみると「なんかちょっと引っかかる」のである。

何が引っかかるのだろう?
数年前、私が転職か何かに際して自己分析をする過程で、両親に改めて『私はどのような人になってほしいと思って育てたか?』というような質問をしたことがある。それに対して両親は「偏見や差別のない、優しい子に育ってほしいと思っている」というようなことを答えてくれたと記憶している。私はこの答えを聞いた時、あまりの温かさや深さにその場で涙してしまったことを覚えている。
この言葉と私の名前。私が引っかかっているのは、恐らく「育てる」という、やや上から目線のニュアンスなのだと気付いた。「育てる」というよりも「育む」という言葉のもつ朗らかさの方が、私の両親の思いにも近い気がする。

気になったのでGoogleにも意味を聞いてみたところ、
育てる=手間をかけて養い成長させる。養育する。能力などが伸びるように教え導く。
育む=親鳥がひなを羽で包んで育てる。養い育てる。大事に守って発展させる。
似ているようで、実は少し意味合いの異なる単語ということがわかった。

「育てる」というのはなんとなく外向きな印象で、「育む」というのは内向きな印象を感じる。私は生き物を育てるのが昔から好きで、今も家で金魚を飼っているし、観葉植物も沢山育てている。が、小学生の頃からずっと何かを育てている私が今感じるのは、育てていながらも実は自分自身の感性や癒し、研究心を育んでいるということだ。育てながら育てられている感覚。これが恐らく「育む」のもつやわらかなニュアンスなのだろう。
「育てる」は何か対象を必要とするけれど、「育む」は自分から生まれる、自分主体の言葉だと感じる。まず自分がどう思うか。

面接官はきっと、個人のことよりもまず第一に「会社や事業を育ててほしい」という気持ちをそのまままっすぐ言葉にしたのだろう。その気持ちも痛いほどわかるけれど、きっとそれだけでは良好な関係性は築けなそうかもと偉そうに思ったりもする。今私の周りにいてくれる人たちは「自分自身の気持ちや考え、経験を育んでほしい」と言ってくれるような人たちだ。そして私も彼ら彼女らに同じような気持ちを持っている。お互い育みあえる関係性に感謝しながら、また自分の名前を噛み締めるのであった。

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