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ナイキと僕と、時々ホカオネオネ〜後編〜

前編から読んでいただけると、より楽しんでいただけるかと思いますが、後編からだけで十分、読んでもらえると思います。


前編は、私はブランド好きで、中でもみんなが知ってるブランド、機能的なブランドより、使いにくくてもかっこいいブランドが好きで、そんな私が財布選びをした話を書いています。



最近、久しぶりにブランド選びをする機会があった。


歩いたり走ったり用にしていた靴に穴が空いてきて、奥さんから「買ってあげるからそれを履かんといて」と言われてしまった。

この歩く靴も、年単位ではなかったが、財布選びと同じような基準を設けて、選考を勝ち抜いたPUMAの靴を履いていた。

同じくPUMAの靴を検討してもいいかと思ったのだが、今回は、靴を変えるにあたって、新たに走る習慣を作りたいなとも思っていた。

今の靴より性能がよく、走れる靴にしようと考えた。


もちろんPUMAも悪いブランドではないが、走るとなると、私にはNIKEしか考えられなかった。


この決断には時間はかからなかった。

しかし、すぐに購入とは至らなかった。



私の足が、幅広であることを失念していた。

多くのNIKEの靴が私の足には狭すぎた。


NIKEの靴をひたすら履いてはみたがしっくりくるものはなく、ブランド選びに取り憑かれている私は他のブランドを検討することができなかった。

ナイキの靴は欲しいが、足に合うナイキの靴がないという宙ぶらりんな状態が続いたある日、京都駅でただならぬ雰囲気を醸し出している一行を目撃した。

新幹線の出口から出てきた、日に焼けた、体格のいいスーツを着たの男性の数十人単位の集団で、スーツケースを引いている人もおり、すぐに何かのスポーツ選手かなと推測した。

着ているコートや、背負っているリュックに「YONEX」と書いてあるのを見つけて、「あ、柏レイソルの選手だ」と、気づいた。

翌日に京都サンガとのアウェイ戦に備えて前乗りしてきていた。

昔サッカーをしていたこともあり間近で見るサッカー選手にはテンションが上がった。


ミーハーと言われればそれまでではあるが、YONEXかっこいいなと思った。

私が勝手にブランドの候補を狭めていただけで、世の中にはかっこいいブランドがまだまだあるんだろうなと思い知らされた。



その出来事の後、スポーツショップに行ってみると、ランニングシューズのブランドが私が思っていたよりたくさんあった。

NIKEが厚底シューズを開発して、ランニングシューズ界を席巻していたが、それがきっかけとなり他のブランドも厚底シューズの発売しており、性能のいいランニングシューズが所狭しと並んでいた。


その中にはなんと、YONEXのものもあった。

正直、私の中で、YONEXはテニスとかバトミントンのイメージがあって、レイソルの選手が身につけているのを見てかっこいいとは思ったが、それ抜きでかっこいいとは思えるブランドではなかった。

それでも、なんとなく、たまたま見つけたYONEXのランニングシューズを履いてみようと思った。


サイズはピッタリだった。


流行りのカーボンも搭載されており、素直に「いいかも」と思ってしまった。

テニスやバトミントンのラケットで培われたカーボンの技術が凝縮されており、12メートルの高さから生卵を落としても、割れずに6メートル跳ね返るという特殊な素材も利用されているとのことだった。

完全に機能性に特化しているブランドであった。


自ら敬遠していた、機能性の高いブランドで、デザイン的にはNIKEなどのブランドには正直言って劣っていたが、それでも、欲しいかもとも思った。



この時、私の殻が音を立てて割れた気がした。



ブランドとかじゃなくって、自分の足に合う、自分が欲しいな、と思える一足を選ぼうと、明確に意識が変わった。

もう1つ私が敬遠していた、知る人ぞ知るブランドも履いてみようと思った。

ランニング界隈の方ならご存知の方も多いとは思うが、HOKAONEONEは以前から気になっており、でもまだ世間的には知名度はないかなと避けていたが、いいきっかけだと思い履いてみることにした。


靴のタイプが何種類もあり、多くのタイプが横幅的にきつかったのだが、「RINCON」というモデルのワイドタイプが私の足にはピッタリだった。

asicsやMIZUNOといった有名国産メーカーから、adidasやnew balanceなどの定番の海外ブランドも、今注目のスイスのonの靴など、ひたすらに試着した。

それでも最後まで、YONEXとHOKAONEONE以外に、足に合う、履いて走ってみたい、と思える靴はなかった。

最後の二択はさすがに悩んだ。


履きやすさなどはほぼ同じくらいで、最後は本当にインスピレーションというか、HOKAONEONEの独創的なデザインがいいなと思って、奥さんに買ってもらった。

結果的に、靴を買ってもらったことにより、走る習慣が身について、今のところ数週間ではあるが継続できている。

毎日走れているので、走る靴をもう一足買うことも計画している。

その時は、もう迷うことなく、YONEXを購入する。

どの靴で走っているか、なんてものはどうでもよく、


誰が走っているかの方が重要であることに気がついた。



毎日走っている、「私」という存在も、また立派なブランドの1つだと思っている。

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